例年サオの林になる長良川郡上ウインドパークの解禁日
加藤達士さんは8.5mのミディアムショートロッドを操り、的確なポイント攻略が得意技。オトリの付き場を実に細かく見極めて好循環を生み出す。釣技に磨きをかけたのはエキスパートが揃う長良川である。激戦区の場荒れ河川もなんのその。どうすればオトリの回転率は上がるのか? その効率的な着眼点とオトリ演出とは―――。
激戦区でのポイントの選び方
文◎加藤達士
例年サオの林になる長良川郡上ウインドパークの解禁日加藤達士さんは8.5mのミディアムショートロッドを操り、的確なポイント攻略が得意技。オトリの付き場を実に細かく見極めて好循環を生み出す。釣技に磨きをかけたのはエキスパートが揃う長良川である。激戦区の場荒れ河川もなんのその。どうすればオトリの回転率は上がるのか? その効率的な着眼点とオトリ演出とは―――。
大混雑するウインドパークの解禁日
私が所属するクラブ「TEAM ALLSTARS」のメンバーは、ここ10年ほど釣れても釣れなくても「大和奥長良ウインドパーク(通称ウインドパーク)」で解禁を迎えることが慣例となっている。ウインドパークとは、長良川郡上で行なわれる、ほぼすべての大会で本部が置かれる公園だ。車を停めやすく、川相もチャラありトロあり早瀬ありで変化に富んで面白い。大会のメインポイントのため下見のトーナメンターが入れ替わり立ち替わり入川する。また足場がよいので、お年寄りや初心者にも人気である。常に混雑している激戦区だが、混雑しているからといって避けるわけにはいかない。ここで開催されるあらゆる大会の決勝ポイントとなるウインドパークは、中部地区から勝ち上がってブロック大会や全国大会を目指すトーナメンターにとって攻略必須のポイントなのだ。
そこで、トーナメンターにもそうでない釣り人にも参考にして頂けるよう、激戦区で数を伸ばすための私なりの戦略を紹介したいと思う。
激戦区で最も重要なのがポイント選びである。解禁日や大会の予選など、多くの釣り人が一斉にサオをだす混雑状況では、一度入ったポイントからなかなか動けない。なので、最初に入るポイントを誤ると、「釣れる気がしない……」と感じながらも延々とそこでオトリを泳がせる破目になる。そんな状況に陥らないために、私の混雑時におけるポイント選びの条件を挙げてみよう。
①明確な1人分のタナ
混雑時は上下にも対岸にも釣り人が入る。開けたポイントではそうやって周りから攻め込まれ、いつの間にかポイントからはじき出されてしまう。はじき出されなくても、オマツリやサオが当たらないように気を遣う。そこで、石の配置から見て、「ここからここまでは自分のポイント」と明確に主張できるようなタナ状のポイントを選ぶようにしている。たとえば自分の上かみて手に白泡の落ち込み、下手に大きな石が頭を出しており、その間が7~8mであれば、誰が見ても1人分のポイントで他の人はオトリを入れ難い。自分1人で隅々までじっくりと攻めることができる。
②ナワバリアユと群れアユの両方が望める場所
ナワバリアユは釣り切ったらおしまい。動ける状況ならどんどん動いてナワバリアユだけを拾っていけばよいが、混雑時はそうそう動けない。そんな時、ナワバリアユを釣り切ったら次のターゲットは群れアユである。群れアユには掛かる群れと掛からない群れがあるので注意が必要だ。大石裏のタルミにいる群れや広範囲を移動している群れは掛かりにくい。ある程度流れがあり、砂地ではなく底石の入った水深の浅い場所で狭い範囲をウロウロしている群れは掛かりやすい。
総括すると、ナワバリアユが付く水通しのよいスジがあり、その脇に緩めの流れで水深が浅くしっかり底石が入った群れの付くエリアがある一人分のタナ。そんなポイントを選ぶとよい。
落差の大きな瀬肩のタナにアユが密集
加藤達士(かとう・たつし)
1975年生まれ。三重県三重市在住。ダイワ鮎マスターズ’15年、’17年と準優勝。激戦区でも釣りまくる理論派エキスパート
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この記事は『つり人』2018年8月号でも読むことができます。
2019/6/19