今回のお題は夏のタチウオ。魚探に映りにくかったり、群れの足が速かったりといった特徴から幽霊の異名を持つ。アタリが合っても我慢してシャクリ続けた後の強烈な引き込みが何ともいえない。
おすすめ時期:8~10月
三石忍◎解説 この日は生徒に教えながら33本の好釣果!
沖釣りファンの間で「姉さん」の愛称で親しまれるエキスパート、三石忍さんと旬の魚を追いかける『つり人』の連載企画。テーマはずばり女性でも「イイね!」と言える沖釣り釣行。
今回のお題は本格化してきた夏の東京湾タチウオ。魚探に映りにくかったり、群れの足が速かったりといった特徴から幽霊の異名を持つ。アタリが合っても我慢してシャクリ続けた後の強烈な引き込みが何ともいえない。
この記事は『つり人』2016年10月号に掲載したものを再編集しています。
幽霊の異名を持つ
細長いシルバーボディーにいかつい顔。口には犬歯状の一列歯を備えるタチウオ。海中で定位している際の姿勢は、名前のように頭を斜め上方に向けた立ち泳ぎだ。性格は獰猛であり、典型的なフィッシュイーターである。だが、捕食は下手。エサを見つけるとまず近付き、ひと齧り。放して再びかじることを繰りかえすことが多い。こういった捕食方法のため、アタリはあるのに上手く乗らず、釣り人を熱くさせる。また、水中で縦に泳ぐため、魚探に映りにくいことと、群れの足が速いことから幽霊という異名も持つ。
『スキルアップ!船テンヤタチウオ』
ゲーム性の高さで人気急上昇! テンヤタチウオゲームのすべてがこの一冊に! 犬歯をむき出しにした恐ろしい顔つきとは裏腹に、繊細で気まぐれ。好奇心が旺盛なのに超ナイーブ。そんな掴みどころのない性格にアングラーは夢中になる。そんな魅力いっぱいのタチウオを、スリル満点、釣趣あふれるテンヤで釣るなら、この1冊は欠かせないバイブルとなる!
ゲーム性の高さで人気急上昇! テンヤタチウオゲームのすべてがこの一冊に! 犬歯をむき出しにした恐ろしい顔つきとは裏腹に、繊細で気まぐれ。好奇心が旺盛なのに超ナイーブ。そんな掴みどころのない性格にアングラーは夢中になる。そんな魅力いっぱいのタチウオを、スリル満点、釣趣あふれるテンヤで釣るなら、この1冊は欠かせないバイブルとなる!
こういったタチウオの性格や生態により、釣り人がどうアプローチするかによって釣果に大きな差が生まれ、ゲーム性は高い。
夏から冬にかけて楽しめるが、夏は比較的浅場ねらいで、冬は深場ねらいになる。タチウオは本州、四国、九州と幅広く分布しており、ポピュラーな魚の1つ。2016年シーズンの東京湾の夏タチウオは6月頃からポツポツと釣れ始め、7月に入ると本格化し好釣果が続いた。7月下旬に行なった今回の取材の数日前にはトップ65尾、スソでも19尾という大爆釣を見せた日もあったほど。
今回は釣り好きレディースクラブ(TLC)のタチウオ教室に同船させていただいた。タチウオ釣りのエキスパートである三石忍さんに教えてもらいたいという熱心な女性アングラーを乗せて、富津港から6時に出船。
アタリがあってもシャクリ続ける
ポイントに着くとタチウオ釣りをレクチャーする三石さん
富津沖のポイントに到着すると、船長がポイントを捜している間にまずは三石さんが釣り方のレクチャー。
「まず、沖釣りの超基本、サオは風上、仕掛けは風下ね。けっこうできていない人多いからもう一度チェックしてみて。これを守らないと手前マツリし、時間のロスになってせっかく来たチャンスを逃してしまうから。
タチウオは何といってもエサ付けが超重要! まっすぐになるようにセットして。エサの中心とハリの軸がズレていたり、エサがたわんでいると海中でエサが回転します。エサは切り身だけど、小魚だと思って。小魚はクルクル回転して泳がないでしょ!(笑) 仕掛け投入時と回収時は海面下でしっかり確認。自分でも上手くエサ付けできているかチェックできるからね。ここは絶対妥協しないように!」
ハリが中央に真っ直ぐになればOK
エサの先端が整っていない場合はハサミでハリが中央に真っ直ぐになればOKカット。変な水の抵抗を受けないようにする
「続いて釣り方。エサを使っているけど、“身エサを使ったジギング”だと思って。仕掛けを投入したら、船長の指示ダナ下限で止め、ハリス分、つまり、約2m巻き上げてハリスをしっかり張る。仕掛け絡みを防ぐのと、張らない状態でシャクってもエサはキビキビと動かないから。ここからシャクリスタート。サオ先を海面に向けたら斜め45度ぐらいまでサオ先を上げる。状況にもよるけど、誘い幅はだいたい50㎝ほど。シャクリ上げた時にしっかりと穂先をいったん止めること。スタートの位置に戻しながらミチイトのイトフケを取る。これの繰り返しね。イトフケをしっかり取って、ハリスを張らないとエサはしっかり動かないから」
ロッドの誘い幅は約45度
「あと、もう1つ大事なのが、アタリがあってもシャクリを止めないこと。慣れないとクワセの間を作ろうと、手を止めたり、もしくはびっくりアワセをしてしまうよね。タチウオは基本的に向こうアワセでいい。アタリがあっても手を緩めず、一定のペースでシャクリ続けること。シャクリ続けて引き込まれるようなアタリがあったらサオを持ち上げるように合わせる。止める間やシャクるスピードはいろいろ試して、その日のベストを見つけてね。
レクチャーしながら1尾釣ろうと思ったけど、群れが見つからないみたい……とりあえず、みんなやってみて! 個別で教える時間があるから、各自それまで課題を見つけておくこと!」
人気13魚種の基本とコツを三石忍さんが徹底解説!
国内で唯一の総合釣り雑誌、月刊『つり人』誌上にて、2016年から現在まで掲載されている、女性プロアングラー・三石忍さんの船釣りテクニック解説を単行本化。当代のアングラーの中でも、男女を通じて人気・実力ともにトップクラスと誰もが認める〝忍ねえさん〟の船釣りノウハウや考え方を、初めて1冊に収録しています。理論を分かりやすくする、仕掛け図や釣り方イラストも豊富に掲載。東京湾、相模湾、千葉外房、駿河湾での四季折々の釣りものに、関西で圧倒的な人気を誇る大阪湾のテンヤタチウオの釣りも加え、掲載魚種は、タチウオ、カワハギ、ヒラメ、マダイ、アジ、イシモチ、メバル、マゴチ、アマダイ、アオリイカ、マダコ、ショウサイフグ、キンメダイの13種。ビギナーには分かりやすく、ベテランにも目からウロコの上達のヒント満載で、海釣りの楽しさを知りたい、深めたいすべての人に見逃せない1冊です。
国内で唯一の総合釣り雑誌、月刊『つり人』誌上にて、2016年から現在まで掲載されている、女性プロアングラー・三石忍さんの船釣りテクニック解説を単行本化。当代のアングラーの中でも、男女を通じて人気・実力ともにトップクラスと誰もが認める〝忍ねえさん〟の船釣りノウハウや考え方を、初めて1冊に収録しています。理論を分かりやすくする、仕掛け図や釣り方イラストも豊富に掲載。東京湾、相模湾、千葉外房、駿河湾での四季折々の釣りものに、関西で圧倒的な人気を誇る大阪湾のテンヤタチウオの釣りも加え、掲載魚種は、タチウオ、カワハギ、ヒラメ、マダイ、アジ、イシモチ、メバル、マゴチ、アマダイ、アオリイカ、マダコ、ショウサイフグ、キンメダイの13種。ビギナーには分かりやすく、ベテランにも目からウロコの上達のヒント満載で、海釣りの楽しさを知りたい、深めたいすべての人に見逃せない1冊です。
アタリが合ってもシャクリ続け、穂先が持って行かれたら大きく合わせる
最後はハリスを持って勢いよく抜きあげる。真夏の太陽に輝くシルバーボディーがまぶしい
歯が鋭いタチウオはハリを外す時に指をケガしてしまうことが多い。ハリスを船べりに固定すること魚はあまり暴れずにハリが外しやすい
三石さんからひと通りレクチャーを受けると、生徒は釣り座に着き、釣りをスタート。
タックルだが、ロッドは全長2m前後の7:3調子の沖釣りロッド。三石さんが監修したがまかつ『ライブラML』は浅場も深場もねらえておすすめの1本。
三石忍さんのタックル&仕掛け
オモリは50 ~ 80 号。ねらう水深に合わせて変える。何より船のルールに従おう
テンビンは腕長が約30cm のものを使用。写真は川崎丸オリジナル。アームの硬さが絶妙でタチウオにぴったり
ハリはがまかつ『ケン付タチウオストロング』の2 / 0 をメインで使用
ハリスはフロロカーボン7~ 8 号
サオはがまかつ『ライブラML-180』、リールはシマノ『メタニウム』
オモリは50 ~ 80 号。ねらう水深に合わせて変える。何より船のルールに従おう
テンビンは腕長が約30cm のものを使用。写真は川崎丸オリジナル。アームの硬さが絶妙でタチウオにぴったり
ハリはがまかつ『ケン付タチウオストロング』の2 / 0 をメインで使用
ハリスはフロロカーボン7~ 8 号
サオはがまかつ『ライブラML-180』、リールはシマノ『メタニウム』
リールは小型両軸受けリールにミチイトはPE1~2号。深場をねらうこともあるので、小型の電動リールがあると心強い。テンビンは片テンビン。アーム長が30㎝ほどのものがおすすめ。ハリスはフロロカーボン7~8号を2~3m。ハリはタチウオバリの2/0を中心に3/0も用意しておきたい。
106cm のメガタチウオ
「15~36m」という船長の指示ダナアナウンスの後、午前7時にスタート。潮が早く、魚の群れも速かったため、なかなかアタリがもらえない。30~40mダナのねらえておすすめの1本。
船中のファーストヒットは橋本いつよさん
リールは小型両軸受けリールにミチイトはPE1~2号。深場をねらうこともあるので、小型の電動リールがあると心強い。テンビンは片テンビン。アーム長が30㎝ほどのものがおすすめ。ハリスはフロロカーボン7~8号を2~3ポイントを点々としているうちに左舷のトモに座った橋本いつよさんに待望の船中ファーストヒット。「水深37mからシャクリ始め、2~3シャクリでアタリ。その後に2~3シャクリしたらググッとサオが入りました」と満面の笑み。
7時半頃に下げ潮に変わると状況は好転し、船中は賑やかになってきた。7時40分に三石さんにファーストヒット。その後もコンスタントにタチウオを掛けていく。その数分後にはこの日最大となる106㎝のメガタチウオを二上あやさんが釣りあげた。
この日最大の106cmを釣りあげた二上あやさん
希望者には三石さんが釣れるまで個別で指導
8時半からは三石さんが希望者に個別にレクチャー。「基本を忘れている~、まず仕掛けを2m上げるでしょ!」、「シャクリ上げた後、しっかり止まっていない」、「アタリが合っても止めない! 一定のスピードでシャクル! シャクル! 今、合わせる!」などなど参加者の釣りを見て、すぐにクセとマズイところを見抜き、指摘。少々恐いスパルタ教育だったが(失敬!)、「参加者に上手くなってほしい、もっと釣ってほしい」という熱い思いの表われだろう。三石さんに教えてもらった参加者は、明らかに上達しており、残りの時間で確実に釣果を伸ばしていた。
この日の生徒の釣果はサイズが63~106㎝。船中7~23尾だった。三石さんはというと、生徒の指導をしながら33尾という圧巻の釣果。
三石さんの攻略のポイントを参考にぜひ挑戦していただきたい。
下げ潮に変わると船中はちょっとしたお祭り騒ぎに。黒葛原陽子さんと島布民代さんはダブルヒット
金子マミさんもコンスタントに釣果を伸ばしていた
お昼近くになると第二海堡周辺海域にはタチウオ船が大集合
この日23尾釣って生徒で竿頭になった星野靖枝さん
最後はレディースクラブ(TLC)のタチウオ教室の参加者全員で記念撮影。全員満足のいく釣果があげられたようだ
●乗合料金:9500 円(女性・中学生以下6500円)
※エサ、氷、新品ハンドタオル、料理レシピ付き
●交通:館山自動車道・木更津南IC を下りてR16で富津方面へ
2018/9/5