冬になると思い出すあの味。寒さが極まるほど旨くなる魚。この時期ならではの釣りの楽しさ。とっておきの寒の味はまさに十人十色。今回は高知県沖ノ島の「寒グレたたき」をご紹介します。
脂が乗った上身とポン酢の相性抜群!薬味のニンニクで箸が止まらない
解説◎高崎冬樹(たかさき・ふゆき)
この記事は月刊つり人2021年3月号の記事を再編集しています
冬になると思い出すあの味。寒さが極まるほど旨くなる魚。この時期ならではの釣りの楽しさ。とっておきの寒の味はまさに十人十色。今回は高知県沖ノ島の「寒グレたたき」をご紹介します。
高崎冬樹(たかさき・ふゆき)
兵庫県神戸市在住。フリーのライター、カメラマン、編集者。友釣り歴は30 年以上。冬は大好きな磯からのグレ釣りに通う
冬のおすすめ。寒グレたたき
丸々太った沖ノ島の寒グレは「たたき」だけでなく刺身、鍋ネタにも抜群!
喉の渇きで目が覚めたのは深夜1時ごろ。手を伸ばし枕元のペットボトルのお茶で喉を潤して、さあもうひと眠り……。ん? 隣で寝ていた釣友、高知は土佐市のおんちゃん(土佐弁でおっちゃんのこと)も何やらゴソゴソやっている。同じく喉の渇きで目が覚めたらしい。
ここは高知県沖ノ島、母島港にある高見旅館。当時から冬場の恒例となっていた1泊2日寒グレ(メジナ)釣行、初日の晩である。寝床に入ったのは午後7時半。関西の自宅から山陽路、四国路を夜通し走り、日中めいっぱい釣りを楽しんで午後6時頃から早い晩飯。明朝4時起床に備えて……でもあるし、寝不足でサオを振り続けた身体に晩酌効果も手伝って「もう限界」と、誰もが布団に入るやいなやの高いびき。
そんな睡魔にも打ち勝つ喉の乾きの原因は宿でふるまわれた薬味のニンニクが効いた「寒グレたたき」だ。
カツオだけでなく、いろいろな魚を「たたき」で食べる習慣がある土佐ではグレもしかり。特に高見旅館の「グレたたき」は火で炙った上身が見えないほどネギ、タマネギ、キュウリなど、視覚的にニンニクの存在を忘れさせるほど野菜たっぷりで、脂が乗った寒グレの身にポン酢に絡んで抜群に美味い。おかげで毎回、ついつい箸とビールが進んでしまうのだった。
写真奥が沖ノ島本島。手前中央がクロハエ、左端が大型オナガで有名な二並島
食のワンポイント
ニンニクは全体に散らさなくてもよい。ポン酢に柚子酢もしくはスダチ酢を加えると、なおよろしい!
三枚におろし腹骨、中骨を取った上身を火で炙り、皮に焦げ目が付いたら冷水にくぐらせ、残ったウロコや汚れを落とす。生の造りより薄めのそぎ切りにし、好みの薬味、ポン酢をかけて完成。薄めに切るのは皮が硬く口当たりが悪い場合があるから。
付け合わせの野菜や薬味はお好みで。青ネギやカイワレなどもいいかもしれない。盛りつけたグレの身が隠れるほどの野菜が乗っているのが高見旅館の「グレたたき」だった。
釣りのワンポイント
宿毛市の片島港に並ぶ沖ノ島、鵜来島行きのカラフルな渡船
沖ノ島の磯へは宿毛市片島港から渡船利用。7 軒の渡船が磯割りローテーションを組んでいる。ほとんどの渡船店が併設している島の民宿で1泊すると翌朝は優先的に好みの磯に上がれるシステム。
釣り方は一般的なウキフカセ釣りだが準離島クラスのタックルを準備しよう。クチブトだけなら磯ザオ1.5 〜1.75 号でOK だが磯によっては大型オナガの可能性もあるので2 号以上のロッドも準備。なお沖ノ島では生オキアミ、配合エサの使用は禁止。撒きエサはボイルのオキアミにアミエビを混ぜる人が多い。渡船=高見渡船(母島=☎ 0880・60・1311)、初福渡船(弘瀬=☎ 0880-69-1305)など。
沖ノ島エリアは生オキアミと配合エサは使用禁止。撒きエサはボイルとアミエビをミックスしたもの
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