冬になると思い出すあの味。寒さが極まるほど旨くなる魚。この時期ならではの釣りの楽しさ。とっておきの寒の味はまさに十人十色。今回は福島県・桧原湖の「ワカサギの一夜干し」をご紹介します。
ブランドワカサギは干して焼くとさらに美味!
解説◎鈴木一美
この記事は月刊つり人2021年3月号の記事を再編集しています
冬になると思い出すあの味。寒さが極まるほど旨くなる魚。この時期ならではの釣りの楽しさ。とっておきの寒の味はまさに十人十色。今回は福島県・桧原湖の「ワカサギの一夜干し」をご紹介します。
鈴木一美(すずき・かずみ)
福島県耶麻郡在住。呑んで泊まれる『おやど風来坊』主人。春から秋はヤマメ・イワナのフライフィッシング、冬は桧原湖のワカサギ釣りを楽しんでいる
冬のおすすめ、ワカサギの一夜干し
囲炉裏や七輪で網焼きし、マヨネーズと七味でいただく。会津の酒にもぴったり合う最高の寒の味!
ワカサギ釣りの聖地とも呼ばれる桧原湖。美味しいことで有名なブランドワカサギは天ぷらや空揚げでも文句なしに美味しい。さらに南蛮漬け、佃煮など食べ方はいろいろ。
しかし焼いて食べている方は意外に少ない。釣り立てを網の上で素焼きにして醤油にちょっとつける焼きジューという食べ方はあるものの、どうしても生魚の臭みや苦みが気になるという方も多い。
しかし桧原湖のワカサギは臭みも苦みもなく、ほんのり脂が乗ってとても甘い。当然、素焼きでも旨い。旨いのだが、もっと旨い食べ方がある。それが一夜干しだ。
干すことで表面は乾燥するかと思いきや、膜ができてむしろ水分を閉じ込めてくれる。生のワカサギよりも瑞々しく、生のワカサギよりも旨味がぐっと凝縮されている。身の表面は締まって歯ごたえがあり、中はふんわりした食感がたまらない。
揚げ物は美味しいけれどたくさんは食べられない方でも、一夜干しを焼いたワカサギはいくらでも食べられる。
一晩干すだけなので調理は簡単だが、釣りをしないと食べられない。ここが重要!
もともと市場にあまり流通していない桧原湖のワカサギの中でも新鮮なものだけが一夜干しに向いているからだ。
まさに今は桧原湖のワカサギシーズン。ぜひ釣りに来ていただき、味わっていただきたい。
外は極寒、中はヌクヌクのワカサギハウス。デラックスなログハウスから大人数で楽しめる乗合タイプもある
食のワンポイント
ワカサギは釣り立ての新鮮なものがよく、サイズも大きめのほうがいい。まずは軽く塩を振りヌメリと汚れを落としたら冷水で洗い、ペーパータオルで水分を拭き取る。私流の干し方は二種類あり、ひとつは適量の塩とコショウを振りかけたら、干し網にいれてひと晩からふた晩、ワカサギの表面が乾くまで寒風にさらす方法。
もうひとつは塩コショウは振らず、海水くらいの塩分濃度(5 〜10%)に半日漬け込み、ペーパータオルで水分を拭いたのち干す方法。どちらも表面に焼き目が付いて中まで火を通す。マヨネーズと七味のほか醤油を垂らしても旨い。
このほか大型は三枚におろして酢と塩で締めて刺身や握り寿司しても美味しいことも付け加えておく。
釣り立ての生のワカサギの素焼きも旨いが、ひと晩干すことでさらに旨さが凝縮される
釣りのワンポイント
近年は桧原漁協のワカサギ養殖の成果もあって以前よりも釣果が安定しているが、それでも厳冬期のワカサギ釣りはそれなりに難しい。かすかなアタリを察知して1尾ずつ釣っていくため繊細なタックルが必要。一般的な電動タックルは、オモリ負荷1〜10g、全長250 〜300㎜の穂先が合うが、レンタルタックルもある。仕掛けはキツネまたは細地袖1〜1.5 号の全長70㎝ほどの5 〜7 本バリ。各社から完成仕掛けが充実している。
桧原湖のワカサギは地産地消でほとんど流通していない。食べるには自分で釣るしかない!
おやど風来坊では桧原湖の氷上ワカサギ釣りのハウスも運営。宿泊しないで釣りだけでもOK だが、宿泊者は割引サービスあり。料金はハウスのサイズやタイプにより異なる。詳しくはホームページでチェックだ!
おやど風来坊 https://www.flybow.jp/
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