日本近海に生息するカワハギの仲間とカワハギ釣りでよく見るゲストたちを紹介!
日本近海に生息するカワハギの仲間とカワハギ釣りでよく見るゲストたちを紹介!
写真◎神奈川県立生命の星・地球博物館提供
(瀬能 宏 撮影)(※を除く)
文◎工藤孝浩
この記事は月刊つり人2018年2月号の記事を再編集しています
目次
キュウセン
Halichoeres poecilopterus( ベラ科キュウセン属)
雌
雄
雌雄で体色が著しく異なる。オスは緑色でオレンジの小斑が並び、体側中央に不明瞭な太い黒色縦帯をもつ。メスは肌色で赤い小斑列が並び、体側には明瞭な黒色縦帯をもつ。メスからオスへ性転換するが、メスの体色でオスとして機能するものがいるなどその性は複雑である。佐渡島・函館から九州南岸までの沿岸に分布する。最大34cm になる。
アカササノハベラ
Pseudolabrus eoethinus( ベラ科ササノハベラ属)
従来のササノハベラは本種とホシササノハベラの2種に分かれ、カワハギ釣りでは本種がよく釣れる。眼の下から始まる暗色縦線が本種では下方にカーブして胸ビレ基部に達するが、後者では直走して胸ビレ基部に達しない。また、本種は明瞭な白斑をもたないが、後者は背部に白色斑をもつ。水深50 mまでの岩礁にすみ、最大で29cm になる。
トラギス
Parapercis pulchella( トラギス科トラギス属)
吻から頭部側面に5~6本の青色横線があり、下顎腹面に多数の黒斑をもつことが特徴。体色は赤褐色で、その中央部に白色の斑列が並ぶ。背ビレ棘条部と軟条部との間に深い欠刻がある。浅海の砂礫底にすむ。新潟県・千葉県から九州南岸までの沿岸域、伊豆諸島、瀬戸内海に分布。最大で20cm になる。
オキトラギス
Parapercis multifasciata( トラギス科トラギス属)
体側に約8本の横帯をもつことが最大の特徴。背ビレの棘条部と軟条部との間に欠刻がなく、唇は赤く、尾ビレ基底の上部に暗色斑をもつことなどで他のトラギス類と区別できる。水深100 m前後の大陸棚の砂泥底にすみ、新潟県・茨城県から九州南岸までの沿岸域、東シナ海に分布。最大で17cm になる。
クラカケトラギス
Parapercis sexfasciata( トラギス科トラギス属)
体色は明るい褐色でV 字型の黒色横帯をもつ。その縞模様がトラを連想させることから、標準和名のトラギスと勘違いされることが多い。水深10 ~ 70 mの砂泥底にすみ、青森県から九州南岸までの沿岸域、東シナ海に分布。トラギスの仲間はいずれも上品な白身で極めて美味、特に大型になる本種は珍重される。最大で25cm になる。
キタマクラ
Canthigaster rivulata( フグ科キタマクラ属)
吻がやや突き出た小型のフグ。体側に2 本の暗色縦帯をもつことが特徴だが、濃い体色の個体では見えにくい。夏~秋の繁殖期には、オスの腹部に青い虫食い状の斑紋が浮き出て美しい。食べると北向きの枕に寝かされることが名の由来で、フグ毒をもち食べられない。南日本の沿岸浅所の岩礁や藻場にすむ。全長15cm になる。
ヨリトフグ
Sphoeroides pachygaster ( フグ科ヨリトフグ属)
背から側面は暗灰色で腹部は白色、明瞭な斑紋は持たず、体表に小棘はない。背・臀ビレと尾ビレの下縁が白い。ブヨブヨでよく伸びる皮をもち、大量の水を呑み込んでまん丸に膨れあがることから、ミズフグとも呼ばれる。毒はないとされるが食べるべきではない。南日本の水深50 ~ 250 mにすむ。全長40cm になる。