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編集部2022年3月28日

渓流用ミノー『リュウキ51&46(DUO)』フルリニューアルの舞台裏 その3(最終回)

ヤマメ イワナ 河川・湖の釣り 魚種別釣りガイド 渓流

インジェクションルアーというと、高度にマシン化された無機質な生産ラインを思い浮かべるかもしれないが、事実は違う。特にデュオがつくるルアーは、そのマスターの削り出しから、組み立て、色付けまで、ほぼすべての工程が手仕事なのだ。今回、さらなるアキュラシーを求めてフルリニューアルを遂げる渓流クラスのリュウキ51Sと46S開発のストーリーについて、同社代表であり主幹ルアーデザイナーでもある安達政弘さんにうかがいつつ、デュオが誇るルアー製作の現場を取材した。

そのルアーでやりたいこと、盛り込みたいことの基本的なところはハンドカービングでほぼ完結している

まとめ◎編集部
こちらの記事は『鱒の森2022年4月号』に掲載したものをオンライン版として公開しています。

インジェクションルアーというと、高度にマシン化された無機質な生産ラインを思い浮かべるかもしれないが、事実は違う。特にデュオがつくるルアーは、そのマスターの削り出しから、組み立て、色付けまで、ほぼすべての工程が手仕事なのだ。今回、さらなるアキュラシーを求めてフルリニューアルを遂げる渓流クラスのリュウキ51Sと46S開発のストーリーについて、同社代表であり主幹ルアーデザイナーでもある安達政弘さんにうかがいつつ、デュオが誇るルアー製作の現場を取材した。

 

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デュオ代表・安達政弘さん。ルアーデザイナーとして同社のすべてのルアーを製作監修する。北陸のサクラマス釣り黎明期を知るルアーアングラーのひとりであり、近年は渓流ベイトフィネスにはまり中。

 

渓流用ミノー『リュウキ51&46(DUO)』フルリニューアルの舞台裏 その2 ◀◀◀前回の記事

なぜリュウキはどのミノーよりも飛ぶのか?

━━そもそもリュウキは同クラスで同ウエイトの渓流ミノーの中でもよく飛んで、そしてまたアキュラシーに非常に長けたミノーだと思います。こうした「投げる」ための性能をルアーに与えるにあたり、何かデザイン的な秘訣があるのでしょうか?

 どちらかというと、渓流釣りはねらったところにキャストパワーをセーブしながら投げる釣りなので、飛距離に特化して深く考えることはまずしません。小型の渓流ミノーをつくる際に気にしているのは、僕の中では飛距離というよりもアキュラシーですけど、それも「渓流用だから」と取り立てて何か珍しいことをしているわけでもないですね。普通に渓流で使えるミノーをつくったら、こうなるという感じでしょうか……。

━━ 特別ではないけれど、渓流で「普通に使える」ミノーを目指せば、おのずとそれなりに飛んでアキュラシーに長けたミノーになるとも言えませんか?

 それはありますね。これはどの釣りでもそうですが、ストレスがないっていうことが一番ですから。細かなアクションパターンがどう、カラーがどうというよりも、ストレスなく釣りができる、不安なく釣りができることが、何にも増して優先されるべきという考えがベースにあります。そして、ストレスのなさというのは釣りによってそれぞれディテールが変わってくるので、渓流というロケーションの釣りではねらったところに投げられる性能があること、つまりアキュラシーに長けているものが、ストレスなく普通に使えるルアーであるというわけです。

 ちなみに、あまり変なことはしない、フォルムに無駄なカタチを加えない、というのも渓流ルアーに限らずルアーをつくるうえで心掛けていることです。それがアキュラシーを始めとした「投げる」ための性能全般に貢献しているかもしれませんね。それと、リュウキのような固定ウエイトについては、ちょっとウエイトを後ろめに入れることも昔からの僕のトレンドではあります。

056_060-DUO-14デュオの開発室にあるスイムテスト用水槽。4・5m の深さがあり、横や下からもルアーの泳ぎが確認できるつくりになっている

 

手仕事だから盛り込めるいち釣り人としてのエッセンス

━━ 今回、工場内部を見学させていただいて、職人の皆さんによる手仕事でルアーの1つ1つが出来上がっていくようすがよく分かりました。そもそもデュオのルアーは安達さんがハンドカービングでデザインしているとのことですが、それはどんな作業なのでしょうか?

 マジックで簡単な下書きをしたプラスチックブロックを、ルーターやヤスリで削り出していく作業がハンドカービングです。これがすべてのルアーのもと(マスター)になっていて、削り出したプラスチックの型をデータ化し、同時にその際に内部の設計もやりつつ、それぞれの計測値から今度は機械でマシンカットと呼ばれるサンプルを削り出します。

━━プラスチックブロックを削り出す段階で、完成のイメージはどのくらい固まっているものですか?

 のちのち調整する必要が出てくる場合もあるんですけど、そのルアーでやりたいこと、盛り込みたいことの基本的なところはハンドカービングでほぼ完結しています。どの釣り場、どういう状況、そしてどんな釣り方を想定したルアーなのか? ということを具体的に思い描きながら、そのために必要なデザインをフリーハンドで削り出していく感じです。

 たとえば、サクラマス用のディープダイバーであれば、浮いた時に頭を下げる姿勢になったほうが一般的に潜らせやすいですよね? ただ、そのために頭部分を単純に重くすると飛びが悪くなる傾向があるので、それを見越して、頭を重たくするというより尻を浮かせて頭を下げるバランスにするために、ルアーのテイル付近を太く成形する……といったことを最初のハンドカービングの時点ですでに盛り込んでいくわけです。

━━ということは、今回のリュウキもプラスチックブロックを削り出した段階ですでにオニギリ型だったんですね。

 もちろん。しかも、リュウキに関してはあっという間にできました。通常、頭の中にあるアイデアと、それを実現するためのバランスを考えながら左右2枚のマスターを削り出していきますが、リュウキ51と46の場合は片方の1枚分だけを精密に掘り込んだだけで「決まり」でした。それだけアイデアが具体的で、迷いがなかったんです。僕自身も最近は渓流ベイトフィネスの釣りを楽しんでいるので、ベイトタックルでのアキュラシーキャストや、アップ気味に引いた時の流れの押し、そしてまたダウンで引いた時のリップがとらえる水圧を思い浮かべるうちに、おのずとこのカタチにまとまりました。

 ハンドカービングについては、図面を引いたりするよりも、自分で削り出してしまったほうが早いという側面も大きいのですが、そのルアーの求める質感、質量をリアルなものとして感じるにはこの方法が一番とも感じています。ルアーが使われるロケーションを具体的に思い浮かべながら自身の手で少しずつ具現化する。それによって、釣り道具としての精度はきっと高まるように思うんです。

熟練の職工による手作業がデュオ製ルアーのクオリティーを支えている

056_060-DUO-15今回は新型リュウキの製作現場を見学させてもらった。これはボディーにオリジナルウエイトとエイトリングを入れているところ

 

056_060-DUO-16ボディーの接着。手早くそして正確にルアーがかたちになっていく。

 

056_060-DUO-17バリ取りもすべて手作業だ。デュオ製ルアーが誇る高品質のクオリティーは職工の方々の技術によるところが大きく、同社ではその育成も行なっているという

 

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056_060-DUO-19こちらはタイドミノーランスの色付け作業。エアブラシで淡い色彩が吹き付けられていた。ルアーそれぞれのカラーの配合も同社のカラーリングセクションで行なわれている

 

 

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