今回は将監川・長門川のシーズナルパターン「秋編」を紹介! クセのない教科書どおりの長門川とクリークの性質が強い将監川。 トーナメントも開催される関東のメジャーフィールドだ
メインベイトは甲殻類から魚類へ。水位の減少とともにオフショアを回遊するスクールをねらい撃ち
解説◎鈴木美津男&飯島崇史
この記事は『将監川・長門川・印旛沼大明解MAP』に掲載したものを再編集しています。
千葉県のレンタルボートフィールドとして人気の長門川と将監川は、ともに「川」という名で親しまれているものの、どちらも源流は存在せず、上流、下流といった一般的に川と聞いて連想する概念とは違い、バスアングラーには「水路」や「クリーク」と表現したほうが適切かもしれない。今回はこのフィールドで秋に有効になる釣り方を紹介します。
■将監・長門川シーズナルパターン 夏編(6月上旬~8月下旬)
魚類がメインベイトになる秋はハードボトムに注目!
秋はさまざまな魚類がバスの捕食対象になるので、よりゲーム性の高いシーズンといえる。
イナッコやオイカワが群れで回遊する姿は頻繁に見かけるし、その他にもモツゴやフナなどコイ科のベイトや「ゴリ」に総称されるハゼ科のベイト、ブルーギルやアメリカナマズの稚魚などもこの時期のメインベイトになる。
このように多様なベイトが存在するシーズンに効果的なバスの探し方がハードボトムである。長門川・将監川はゴージャスに続くショアラインのカバーに目を奪われてしまいがちだが、それらを一旦無視して底質を意識したエリア選択を行なうことでバスをキャッチできる確率が格段に上がる。
まずはハードボトムを基準とし、プラスアルファの要因を掛け合わせれば、どのようなエリアを釣ればよいか自ずと見えてくる。
秋はさまざまなパターンが存在するが、私が特にオススメしたいのがイナッコに付いて回遊するスクーリングフィッシュをねらうオフショアのパターン。
9月になると田んぼの落水の関係で利根川の水を開放するので、それにともない長門川・将監川の水位も減少する。水位が下がるとバンクを嫌った警戒心の強い大型のバスが沖にポジショニングするようになる。
そして時を同じくして、春の時点では2~3cmだったハクが10cm程度のイナッコに成長し、沖でスクールを形成しているので、沖に出たバスもそのイナッコに付いて回遊する。
このスクールに付くバスは総じてサイズがよくコンディションも良好。クランクベイトやスピナーベイトなどのテンポの速い釣りを展開すると、スクールに出会う確率が上がるのでオススメだ。バスのレンジを見極め、宙層を攻略することができれば、さらに強烈なパターンになる。私が毎年「秋爆」と呼んでいるのがこのパターンだ。
このスクーリングフィッシュをねらう条件として、もう1つ必要不可欠なのが風。無風時には水面付近を散り散りに泳いでいたイナッコが、風が吹き水面が波立つことで一段レンジを下げ、10~20尾のスクールを形成し、ブレイクラインのショルダーや沖のマンメイドストラクチャー、張り出したブッシュやレイダウンの先端付近を回遊する。また水面が波立つことで水に動きが発生するのでバスも浮き足立ち、ハードルアーで口を使わせやすい状態になる。
このパターンは11月いっぱいまで有効だが、水位が下がることで初めて成立する釣りで、台風や秋の長雨で増水状態が続いた時はオフショアパターンを成立させることが困難になる。そんな時は前述したハードボトムを基準としたプランを組み立てたほうがバスと出会える確率は高い。
秋は底質と水位を意識し、とおり一辺倒ではなくテクニカルな釣りを展開して楽しんでほしい。
秋のタックル&ルアー
(ロッド・リール・ライン・ルアーの順)
①クランクベイト用(長門川/鈴木)
ギャップツールズSTRIKE66(ジャストエース)
アルファスSV105H(ダイワ)
FC スナイパーインビジブル12lb(サンライン)
LCMTO1.5(ラッキークラフト)
②チャターベイト用(長門川/鈴木)
Makimono X 510MHB(テーパー&シェイプ)
ジリオンSV TW 1016SV-H(ダイワ)
FC スナイパーインビジブル14lb(サンライン)
スティーズカバーチャター3/8oz(ダイワ)
③ジョイントベイト用(将監川/飯島)
リンクス68CMJ(フェンウィック)
ジリオンSV TW 1016SV-XXH(ダイワ)
FC スナイパーインビジブル16lb(サンライン)
ヴァタリオン(メガバス)
④ジャークベイト用(将監川/飯島)
Makimono X 510MHB(テーパー&シェイプ)
ジリオンSV TW 1016SV-H(ダイワ)
GT-R ウルトラ20lb(サンヨーナイロン)
SK ジャーク100(ラッキークラフト)
⑤スピナーベイト用(将監川/飯島)
MakimonoX67MMHB(テーパー&シェイプ)
ジリオンSV TW 1016SV-H(ダイワ)
FC スナイパーインビジブル14lb(サンライン)
ドミネータースピナーベイト3/8oz(ブルドッグルアーズ)
⑥ダウンショットリグ用(将監川/飯島)
スティーズ661MFB-SV(ダイワ)
SS エア(ダイワ)
FC スナイパーBMS10lb(サンライン)
パルスワーム3.8inch(バークレイ)+ 3.5 ~ 5gシンカー
将監川
将監川は利根川の支流にあたるクリークといえる。
長門川との合流部をクリークマウス、最奥の突き当たりをクリークエンドと解釈したほうが理解しやすい。
ただクリークと表現してしまうと釣りをする季節や釣り方が限定される印象を受けるかもしれないが、全長約3にわたる広大なクリーク内で四季折々の釣り方が存在し、季節感のある釣りを展開することでオールシーズン楽しむことができる。
長門川との合流部が利根川に近い関係で利根川の水の影響を強く受け、基本的に印旛沼の水といえる長門川とくらべ水質がよく、農業用水路として使用されていないこともあり、田畑の影響による水質悪化が起こらずニゴリにも強い。その影響かバスのみならずその他の生き物も豊富だ。
クリークという性質上、特に春と秋にバスの出入りが頻繁に起こり、フレッシュな状態が確保されやすいことから、フィッシングプレッシャーにも強く長門川よりもバスは多い。
シ ョアラインには杭やレイダウンといった、さまざまなウッドカバーが続き、そのすべてが釣れそうで思わず目移りしてしまうが、一見するとただのストレートバンクが実はボトムに起伏があったり、シャローフラットが張り出していたり、川の中央部にイケス跡やオダ、コンクリート塊があったりと、現場で発見しなくては分からないことが多々あり、そのすべてが将監川でバスを釣るうえで重要な要素になる。
とにかく攻略しがいのあるフィールドなのだ。
季節により水位変動があり、おおむね4月から8月が満水期、9月から3月が減水期となるが、利根川の潮汐の影響を受けるので季節だけでなく日に~も水位変動する。
レンタルボート店は長門・将監で3軒あり、将監ボートと長門川マリーナの2軒は有料スロープも完備しているのでマイボートを浮かべることも可能。
将監川で船外機を使用する場合は、全域デッドスローでの航行がローカル・ルールとして定められている。ハイシーズンにはトーナメントも頻繁に開催される関東メジャーフィールドのひとつである。
長門川
印旛沼と利根川を結ぶ長門川は、主に印旛沼の排水を目的とした水路のため、平水時は印旛沼から利根川への流れが発生するが、酒直機上からの給水や利根川の増水により流れが逆流することがある。
この流れを攻略することで釣果に差がつくことから、利根川本流へとステップアップするうえでも非常に勉強になる。
それほど距離がない水域ながら何箇所も蛇行していることで、インサイドベンドはシャローフラットを形成、アウトサイドベンドはブレイクが寄った急勾配のバンクが続く。
将監川にくらべクセのない教科書どおりといえるフィールドなので、初めて訪れるアングラーでも釣行前に机上である程度エリアを絞り込めるし、木が茂っていれば倒木が沈んでいたり、杭に沿ってブレイクが入ったりとボトムのようすや地形もショアラインを見ればおおよそ判断がつく。
初心者にもオススメのフィールドだ。