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編集部2021年11月22日

寒タナゴ挑戦記 茨城県/行方市蔵川のホソ編

タナゴ 河川・湖の釣り 茨城 魚種別釣りガイド

本格的な冬の訪れとともにシーズンインを迎える寒タナゴ釣り。うっすらと婚姻色をまとったオカメタナゴはまるで宝石のようだ。3人のタナゴフリークがホソの宝石を捜しに枯れ野へ。

豆バラと対峙する静寂の時間

レポート◎若林隆生

この記事は月刊つり人2020年2月号の記事を再編集しています

真冬のオカメ釣りは、厳しい条件下だからこそ1尾を釣った時の喜びは大きい。寒タナゴの神髄を味わうなら水郷がおすすめだ。

 

若林隆生

茨城県鉾田市在住。タナゴ釣りのほかにもフライフィッシング、アユ釣りなども楽しむ。タナゴ専門店・明日叶元店主。たなご悠遊会顧問、テンフライズ代表、鹿行研究会会長

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繊細な冬のオカメにしびれる

 底冷えのする湖岸で、白い息を吐きながら無心に釣りイトを垂れる冬の日。視線の先にある繊細な仕掛けは、オカメからの微かなアタリを待っている。わずかな手振れさえもシモリに伝わらないようにサオを持つ釣り人の緊張感。神経を集中させて、その一瞬を待つ。そして微かなアタリを静かに合わせ、サオに伝わるオカメの引きを味わいながら、釣りあげる幸福感。すべての所作は、冬枯れの北浦湖岸の風景に収まる。

tanago03 (1)タナゴ釣りで有名なポイントが蔵川のホソ。これからタナゴ釣りを始める人にもおすすめ

tanago03 (2)冬枯れのアシの間でオカメをねらう釣り人たち

 厳寒期のオカメ釣りの面白さは、神経を集中させないと分からないようなアタリを取り、合わせていくところにある。そして穂持ちで感じるオカメの引きの強さもたまらない。

 そのため、私の真冬のタナゴ釣りは繊細なアタリが分かる短ザオ。しかもオカメのトリッキーなファイトが楽しめるような軟らかい調子が好きだ。そして可能な限り深ダナでの釣りを心掛けている。

 平均すると60~120㎝の本調子のサオが主役となることが多い。蛍光塗料を塗り重ねたシモリに硬質発泡ウキをセットしたものが標準。仕掛けが水を吸って浮力が狂うのを避けるためだ。ミチイトは0.3号にハリスは絹イト素材の組みイトを2cmにする。板オモリはS型ハリスの真上に巻く。これらはアタリが確実にシモリに伝わるための必要条件だと思っている。

tanago03 (5)微細なアタリを逃すまいと集中するタナゴファン。その背中から熱気が伝わってくる

 

まずは寄せる努力

 さて、前置きが長くなってしまったが、この日は85歳のタナゴファンである佐久間博さん、小坂和雄さん、たなご悠遊会会長古川由治さん、渡部富男さんとオカメ釣りを楽しむことになった。寒さと温かさが日替わりでやって来る天候が続き、こんな時期の釣果は安定しない。

tanago03 (3)85歳のタナゴファンである佐久間さん

tanago03 (4)小坂さんもオカメを手ににっこり

 

tanago03 (6)タナゴ悠遊会会長の古川さん

 釣行前日は今年一番の冷え込みだった。足裏に冬の音を感じながら水温が安定した北浦右岸の蔵川のホソに入った。シビアな釣りになりそうだ。ベテランタナゴファンたちは、思い思いの場所に釣り座を定め、藻穴を空けて実釣開始。バラケやすいグルテンを打ち込み、オカメを寄せながら活性を高める。

 この場所は水深が浅く、底スレスレがタナになる。エサ打ちから10分。アタリが出始め、可愛らしいオカメが次々と宙を舞う。サイズは2~4㎝の小型。それなりに順調に釣果が伸び、笑顔が絶えない。

 私は足場のよいホソの角に釣り座を構え、愛竿をだした。サオは4本継ぎの穂先が総クジラの63cm。3cmクラスのオカメでも穂持ちから曲がるほど軟らかい。愛用の屋久杉の合財箱にアンティークの総銅造りの水桶を脇に添え、実釣開始。藻穴を空けた小さなポイントに仕掛けを垂らすが、まったく反応がない。ご飯粒大のグルテンをハリ先に付け、静かにポイントに落とす。練り込まないグルテンは10秒もしないでエサが落ちる。エサ持ちのよい練り込んだグルテンや黄身練りでは集魚効果が弱い。真冬のオカメ釣りでは、まずは釣ることよりも寄せて活性を上げることが大事である。

tanago03 (11)合わせると穂持ちから曲がり込む。これくらい軟らかいサオを使うと面白い

 7~8分したあたりからシモリが不自然な動きをするようになってきた。オカメが寄ってきた証である。グルテンを少し練り込み、粘り気を出す。エサはゴマ粒大、すぐにアタリがあったが、合わせない。頻繁にアタリが続くようになったら、真冬のオカメ釣りモードに入る。最初に釣れたオカメは3cm。できるなら2cm以下の豆バラを釣りたい私にとって中途半端な大きさだ。4㎝サイズも混じった。研ぎバリも最小サイズを使う必要もなく、通常の手研ぎバリで半日を通した。理想とするアタリを求めていろいろな誘いを試みる。自分にしか分からないようなアタリで釣った1尾はうれしい。そんなアタリは脳裏に映像として残り、釣りに行けない日の慰めになる。

 アシの合間に点々といる仲間たちの笑顔を見ると安心する。息抜きに目を上に転じると晴れ渡った青空が、いつしか朝の冷気を追い払っていた。冬枯れの湖岸が清々しい。しかも風もなく絶好の釣り日和になっていた。周りの景色を見るゆとりがあるということは、ある程度、満足したという証。午後から所要があった私は2時間ほどの釣りで早上がり。釣果は50尾までは数えていたが、その後も釣れたため最終釣果は70尾前後といったところだろうか。

 真冬のオカメ釣りでは、寄せて活性を上げることが何より大事。これを習得すれば楽しい釣行になるだろう。

tanago03 (8)愛用の屋久杉を使った合財箱

 

tanago03 (9)銅製の水桶は職人技の極致といえよう

 

tanago03 (10)この日の2時間ほどの釣果。70 尾ほど釣れた

 

tanago-tackle03

 

◆蔵川

 

交通●東関東自動車道・潮来IC を降りて県道50号を北西にしばらく直進。県道185 号との交差点を右折。県道185 号で蔵川河口へ

 

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