本格的な冬の訪れとともにシーズンインを迎える寒タナゴ釣り。うっすらと婚姻色をまとったオカメタナゴはまるで宝石のようだ。3人のタナゴフリークがホソの宝石を捜しに枯れ野へ。
寒に味わう至福のひと時
レポート◎水廣昭次
この記事は月刊つり人2020年2月号の記事を再編集しています
春~秋は在来タナゴを追いかけているが、この時期になると、オカメタナゴがメインターゲット。友人の案内で琵琶湖周りの小河川へ向かった。
水廣昭次
大阪府寝屋川市在住。ヘラブナ釣りを始めルアー、フライなどさまざまな釣りを経て、現在はもっぱらタナゴ釣りを中心とした淡水小もの釣りに没頭している
◆関連記事
1時間粘ってアタリゼロ。移動を決意
四季折々、婚姻色豊かな在来タナゴを中心に、関西のさまざまな場所を釣り歩くのが好きな私だが、朝晩の冷え込みが厳しくなる12月ともなれば在来タナゴは徐々に姿を消し始める。必然的に冬期でも移動の少ないオカメ(タイリクバラタナゴ)釣りに足を運ぶことになる。実釣に向かうことになったのは12月初頭であった。
釣り場は緩く浅くなった流れ。場所によっては溜まりのようになっている
今回の釣り場だが、滋賀県在住のタナゴ釣り仲間である西村さんに協力をお願いし、彼のホームである滋賀県守山市周辺の小河川(溜り)を訪れることにした。在来タナゴほど大きく移動せず、冬期でも安定した釣果の望めるオカメとはいえ、やはり釣れるポイントは限られるものだ。春から秋のシーズン中は在来タナゴを求めて琵琶湖周りを何度も訪れる私だが、同時にオカメが混じることは少なく、滋賀県下では案外その生息場所は少ないと感じている。
さて今回の釣り場だが、付近一帯の公園化に伴い小河川全体が緩く浅い流れ(場所によっては溜り)になっており、いかにもオカメの生息に適しているように見える場所だ。ここをホームとしている西村さんによると、元々全体的に浅いため、オカメの寄るポイントは限られるそうだ。流れの落ち込みなど、他より多少でも水深のある場所がポイントになる。当日の状況は普段よりかなり減水しているという。水深は20㎝あまりしか無く大半の場所が底まで見えてしまっている。
西村さんがいつもサオをだすポイントに行くと、土壌の鉄分の影響なのか、水面には油膜が張っているが、濁りがあってかろうじて底は見えていない状態。このように極端に浅い釣り場では少しでも水深のあるポイントがねらいめになる。そのため、まずは流れ込みがあって他より多少深くなっている実績場所からサオをだすことにした。
サオは竿昌作2尺の和竿に標準的な連動シモリ仕掛けをセット。エサは「タナゴグルテン」を付属の計量スプーン1杯に「タナゴグルテン競技用」1杯をブレンド。水は軽く3杯で、標準より柔らかめに仕上げて使った。
愛用の合切箱とサオ。和の道具が好きだ
釣り道具はカゴに入れて運ぶと便利かつ趣がある
西村さんも2尺の和竿で同様の仕掛けにグルテンエサを使って、並んでエサ打ちを開始したものの、2人ともまったくアタリがなく時間が過ぎて行く。2週間前にこのポイントでサオをだした西村さんは短時間で納得の釣果だったという。その時より減水しているらしいが、釣り場は川状とはいえ小さな溜りのようなポイントで周囲はさらに浅くなっており、魚が大きく移動したとは考えにくい。しかし2人で1時間以上もエサ打ちして何のアタリもないとなると、さすがに場所移動も考えなければならない。
使用した和竿は竿昌作の矢竹8寸切り4 本継ぎ。仕掛けはミチイトがモノスレッドS にウキは極小親ウキと7 連シモリを組み合
わせたもの。ハリはオーナーばり『魅玄タナゴ』(漆黒ハリス)
当日使用したエサはマルキユー『タナゴグルテン』と『タナゴグルテン競技用』
この時期におすすめのアイテムがモンベルのジェットボイル。多少の風でも短時間でお湯が沸き、釣り場で熱々のカップ麺、コーヒー等を用意できる。冬期の釣りの必需品になっている
日当たりがカギ
そんな状況を憂慮し西村さんは別の実績ポイントチェックのため、移動した。だが、私はその前に、日当たりはよいがさらに浅いであろうポイントに移動。ダメ元でサオをだしてみることにした。すると意外にも水深は先のポイントとさほど変わらず20~25㎝あり、エサ打ち10投足らずでこの日初めてのアタリを取ることができた。寄せ重視で大きめのエサ付けだったため、2~3度空振りの後、この日初めて手にしたのは5㎝ほどのオカメだった。
不思議なことに初めのポイントから距離にして3~4mしか離れていないのに、移動後すぐにアタリが出たのは驚きであった。明け方の気温が5℃以下まで冷え込んだこの日、やはり日当たりのよい浅場は水温上昇が早く、オカメもそちら側に寄っていたのだろう。
日当たりのいい場所に移動するとすぐにアタリがあった。3~4m移動しただけでこの違い。これがまた面白い
婚姻色がうっすらと出た個体も見られた
この後いいペースでアタリが出て、入れ食いモードになるかと思ったが、アタリの割に乗りが悪い。普通なら乗るはずの典型的なアタリでも空振りが多く、ヘラ釣りでいう「カラツン」状態だ。平均サイズは釣りやすい4~6㎝なのでエサ付けをさほどシビアにする必要はない。こんな時考えられる原因はエサが硬いか粘りが出過ぎているかなのだが、経験上手触りでそうでないことは分かる。おそらく水深が浅くシモリ仕掛けのシモリ幅が5㎝ほどしか取れなかったため、上から追わせて食わせる「間」が足りないからなのではないかと自分なりの勝手な答えを出してみた。釣り場によるこんな違いもこの釣りの楽しいところだ。
その後ポイントチェックのために移動した西村さんを呼び2人ともいいペースでオカメ釣りを堪能することができた。短ザオで気の合う仲間とのんびりオカメ釣り。これは私にとって至福のひと時といっても過言ではないだろう。
釣り場は浅いが、ニゴリがあるおかげで多少魚の警戒心は低い
渋い中手にした1尾だけに見とれてしまう
◆守山市
交通●名神高速道路・栗東IC を降りて守山市へ
◆関連記事