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編集部2022年4月18日

鋭い引きを楽しもう!キビレ投げ釣り入門 その1(全3回)

キビレ 魚種別釣りガイド

東京近郊では近年キビレが増えている。汽水域の河口部や東京湾各所で釣果があがり、投げ釣りファンの好敵手になっている。食わせるまでの駆け引きは時に繊細。ヒット後は鋭い疾走を楽しませてくれる。

流れを探る!キビレとの駆け引き

文◎坂井勇二郎 写真◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2020年6月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。

東京近郊では近年キビレが増えている。汽水域の河口部や東京湾各所で釣果があがり、投げ釣りファンの好敵手になっている。食わせるまでの駆け引きは時に繊細。ヒット後は鋭い疾走を楽しませてくれる。

 

キビレは投げ釣りの好ターゲット

kibire2006 (1)45cm クラスのキビレ。掛かった瞬間のスピードが素晴らしい

 キビレ(標準和名キチヌ)は、以前から東京湾はじめ関東全域に生息していたが、近年の温暖化により生息域が広がって数も増えているように感じる。しかしながらクロダイに比べ圧倒的に人気、認知度、価値観は低い。投げ釣りでヒットしやすいタイ科の魚はマダイ、キダイ、チダイ、ヘダイ、クロダイである。その中で南方系のクロダイ属を除けば、クロダイとキチヌの2種のみとなる。つまりクロダイとキビレは双璧であるにもかかわらず、キビレの人気が低いのが「なんだかなあ」と思う。おそらくクロダイほど大型化せず50cmクラスが稀であること。クロダイが磯場や外洋に面した場所にも生息しているのに対し、キビレが川の中やその近くの内湾に多いことが人気の低い要因になっているのだろう。

 陸から釣れるこれらタイ類で「引きの強さや鋭さ」を同サイズで比べれば、「ヘダイ>マダイ」、「キビレ>クロダイ」というのが私の主観的感覚だ。日頃クロダイとキビレを同じ海域で釣っているので、掛かった瞬間に「ああ、クロダイか」(鈍重)、「おっと、キビレだ」(鋭敏)という反応になる。キビレは瞬発力があり、最初から最後までやり取りにハラハラさせられる。対してクロダイは、トルクはあるものの鋭く引かない。対応する時間的余裕があり、意外とすんなり取り込める。つまりキビレの魅力はこの引きの強さにあると思う。

kibire2006 (2)キビレをねらっていればクロダイも顔を出す。クロダイは主にマヅメ時や暗い時間帯に食ってきやすい

 クロダイは泳層が幅広い。低水温時や夜は海底のエサを好んで食べるから投げ釣りでもターゲットになりやすいが、寄せエサを撒けば中層まで浮くし、夏場になると岸壁に付着したカラスガイもよく食べる。スイカやサナギをエサにするウキフカセ釣りでは水面でも釣れる。

 一方のキビレは海底のエサに反応がよい。夏場はカラスガイも捕食しているものの、周年海底に群れなしていることが多く、投げ釣りでヒットしやすい魚といえる。ちなみにヘダイも海底のエサを食べやすいように上アゴが長く、キビレ同様に投げ釣りでヒットしやすいタイの仲間だ。

kibire2006 (4)富津岬では時にマダイもヒットする。投げ釣りでタイ科の魚をねらうなら大潮の下げっパナが最高の潮時

kibire2006 (3)坂井さんの釣友の関さんにヒットしたヘダイ。脂がのっていると非常に美味だ

汽水域と流れが好き

 キビレを釣るには川の存在がキーポイントだ。河口から中流の汽水域でヒットする魚であり、昔から利根川や九十九里浜に注ぐ川の河口部は好釣り場であった。東京湾に注ぐ各川でも荒川、江戸川、多摩川、鶴見川、小櫃川の河口部では高確率でヒットする。神奈川県も相模川や藤沢の境川で実績が高い。またその周囲の内湾や漁港内では見られ、5月以降の水温むシーズンは出会える確率もより高まる。なお外洋に面した磯場や浜ではなかなかヒットしない。

kibire2006 (6)鶴見川の河口付近でヒットしたキビレ。傷ひとつないきれいな魚体である

kibire2006 (5)昨夏、荒川の河口部でもキビレがヒット。入梅のころからシーズンは本格化する

 私のホームグラウンドである富津岬は周囲に川はないものの、北の小糸川、小櫃川、南の湊川に生息しており、これらの河川で生まれ育ったキビレの成魚が、岬周辺に回遊して釣れる。岬先端部は潮の高低、干満により激流が発生する。この流れを大きな川と認識するのか、成魚が集まってきているように思う。

 富津周辺のキビレは私のイメージでは激流の本流にキビレが群れなし、クロダイは激流の中におらず、その本流から外れた流れの弱い部分で必ずヒットする。泳いでいる場所が明らかに違うのだ。キビレは激流を好み、クロダイは間違いなく激流を避けていると感じる。二者の泳力の違いはその体型からも推測できる。一般に遊泳力に優れている魚は、下半身が細長く、尾ビレが切れ長になっている。タイの仲間ではクロダイが一番丸くてメタボ体型である。

 

次回はコチラ▶▶▶ 鋭い引きを楽しもう!キビレ投げ釣り入門 その2

 

 

ルアーでもキビレは釣れます!

 

 

 

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