「そこまでやるのか……」 テナガエビ釣りにも深い深い世界がある。 月刊つり人では過去にもたびたびこの釣りの最先端を詳報してきた。 5時間100尾を釣るタイム釣りのハウツーやサオ置きの作成方法、アカムシ以外のエサの可能性など、マニアックなネタをまとめてみた。テナガエビは凝れば凝るほど面白い‼
座イスと3本ザオによるタイム釣りで作る一定リズム
まとめ◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2020年8月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
「そこまでやるのか……」
テナガエビ釣りにも深い深い世界がある。
月刊つり人では過去にもたびたびこの釣りの最先端を詳報してきた。
5時間100尾を釣るタイム釣りのハウツーやサオ置きの作成方法、アカムシ以外のエサの可能性など、マニアックなネタをまとめてみた。テナガエビは凝れば凝るほど面白い‼
目次
- マニアックだけど真似できる!テナガエビ釣りの工夫
- その1:置きザオ術
- その2:ワンタッチサオ置き
- その3:効率大幅向上のクーラーボックス
- その4:アカムシだけじゃない!エサ検証
- その5:他にもいろいろ!(料理・仕掛け)
釣り人:橋本春雄さん
橋本春雄さんは「テナガエビは数を釣るのが面白いね」と言う。かつては都内の釣具店に勤務しており、アユ釣りやハエ釣りの競技会で優勝を含む多数の好成績を収めていた
100尾越えを実現する工夫
江戸川区在住の橋本春雄さんにとってテナガエビ釣りで釣果が100 尾を超えるのは「当たり前」のことだという。取材日も朝8時から午後1時過ぎまでの釣りで束釣りを達成。その秘密はヘラブナ釣りで使う座イスに3本の置きザオをセットし、一定の間隔を保って上げていくという独特のスタイルにあった。
特製のヘラ台に3本ザオという独特のスタイルが橋本流
「基本はタイム釣りです。アタリを見てひとつひとつ掛けていくのでなく、アタリが出る状況を作ったら、あとは一定の間隔でサオを上げ下げする。このリズムを崩さないことが大切です」
テナガエビ釣りではエビがエサをつまんでから口に運ぶまでの「間」をとる必要があり、ウキ釣りの場合はウキの動きを見てタイミングを計るが、橋本さんは3本のサオを順番に上げることでオートマチックにこの「間」を作っているのだ。
サオは扇状にセット。サオの近くに仕掛けケース、エサ(アカムシ。緑のエサ箱から必要分を湿らせたクッキングシートを敷いた別の木製の升に移す)、手拭きタオルを置く
特製のヘラ台は脚ががっちり護岸に食い込む。生かしバケツが釣り座の前面に取り付けたフックに固定してあり、テナガエビが釣れたらハリを外して投入する
「3本の置きザオには意味があります。一定のリズムを作るのに、2本でも4本でもなく、やはり3本がやりやすいからです。そしてちょうどいい『間』がとれます。私の場合、サオは常に右から左に順番を変えずにチェックします。気まぐれで気になったサオを上げないのがポイント。1つのサオに反応があって、エビがそろそろ掛かっているかなと思ったら、頃合いを見てそのサオを上げるわけですが、そこで釣れていてもいなくても、1本のサオを上げたら次は隣のサオを確認し、さらに残りの1本のサオも同じように確認します。1本のサオを引き上げて、エビを外すなりエサの状態をチェックしてふたたび仕掛けを投入したら、必ずその流れで残りの2本のサオについても作業する。この繰り返しです」
つまり、他の2本のサオの仕掛けを上げたり入れたりしている時間を、ほかの1本のアタリを待つ時間として活用する。2本のサオを操作する時間がほかの1本のアタリを待つ時間としてちょうどいいと橋本さんは確信している。まったく無駄のない時間の使い方がコンスタントな束釣りを可能にするのである。
サオは3本とも同じで、量販店で売られている2.4 mの清流ザオ。手元の上の節にストッパーを自作してあり、1 節短い2.1mで使うことが多い
仕掛けの先端部分。ミチイトの先には極小のサルカンを介してフロロの中ハリス1.2 号を20㎝弱付けてあり、その先にオモリ、自動ハリス止メ(上側にウレタンチューブを被せている)、ハリスを結んだハリが付く。ウレタンチューブを入れるのは、「そのほうがオモリ近くで仕掛けが曲がらず、全体がまっすぐになる気がして気分がいいから(笑)」
橋本さんが使っているもう1つの仕掛けが虫ピンを曲げた自作テンビン。小さな穴にも入りやすいようアームを短くしている
橋本さんの仕掛けと釣り方
仕掛けの張りぐあいはシモリ玉が気持ち縦に並ぶくらいに調節。オモリはウキが浮く倍くらいの重さを目安にしており、取材日は4Bを1個使った
エサについて
アカムシはチョン掛けではなく通し刺しのほうが釣れる!?
1日100 尾釣る橋本さんのこだわりはもうひとつある。それはアカムシの刺し方だ。チョン掛けだと両端をかじられることによるバラシが多いと橋本さん。通し刺しにすることでバラシを大幅に減らせるという。
2017年6月に取材を行なったのは江戸川の市川橋下。千葉県側は足もとがよく釣りやすい。下流にある水門によって釣り場の水位が変わる
リズムよく次々とテナガエビを釣っていく橋本さん
取材日も余裕の100 尾超え……!
次回は、身軽な移動を可能にする「ワンタッチサオ置き」をご紹介します!
▶▶▶ マニアックだけど真似できる!テナガエビ釣りの工夫その2 ~身軽な移動を可能にするワンタッチサオ置き~