梅雨時にベストシーズンを迎えるテナガエビ釣りを、仕掛けやエサなど釣り方の基本から解説します。アタリはあるのに乗らないスリリングな駆け引きや、大きさからは想像できない小気味よい引きにすっかり魅了されてしまい、この時期を楽しみに待っているベテランも多い。
道具やポイントの選び方と釣り方のコツ
まとめ◎つり人編集部
梅雨時にトップシーズンを迎える手長エビ釣り。仕掛けや餌など釣り方の基本から解説します。
アタリはあるのに乗らないスリリングな駆け引きや、大きさからは想像できない小気味よい引きにすっかり魅了されてしまい、この時期を楽しみに待っているベテランも多い。
だが、安・近・短で楽しめるターゲットでもあるので、釣りビギナーにもおすすめ!
目次
テナガエビが釣れる時期は6月上旬~7月上旬がピーク
「テナガエビはファミリーフィッシングや釣りビギナーにおすすめです。それに、短い時間でもサクッと楽しめるのがいいですよね」とはキャスティング青戸店に勤務する渡辺諒さん。湾奥のシーバスフィッシングをメインに楽しんでいるが、タナゴ、ハゼ、テナガエビなどの小もの釣り全般も好きとのこと。毎年この時期になるとテナガエビの動向が気になりだすという。
水面を割る瞬間まで小気味よい引きで楽しませてくれる
5月中旬、ゴールデンウイークも過ぎるとあちこちの河川でポツポツとテナガエビの釣果が聞かれ始めた。テナガエビは蒸し暑くなる梅雨時にトップシーズンを迎える。関東地方は6月上旬から7月上旬の約1ヵ月間がハイシーズンになる。
「テナガエビの仕掛けなどを購入するお客さんも少しずつ増えてきましたし、間もなくシーズンインといったところですね」
とワクワクしたようすの渡辺さん。今シーズンの釣況を確かめるために中川を釣査するということで同行させていただき、テナガエビ釣りのテクニックを解説していただいた。
テナガエビ釣りの竿・仕掛け・エサ
テナガエビ釣りの竿
メインフィールドになる消波ブロック帯では全長1.2~2.1mの小もの用小継ぎ竿が活躍する。長さが異なる竿を2~3本用意しておくと、たいていのフィールドをカバーできる。ズームロッドがあると便利だ。
渡辺さんが用意したのはダイワ『ひなた四』。今回の釣り場は足もとを釣るポイントだったので、この長さが最適だった
テナガエビ釣りの仕掛け
ビギナーには完成仕掛けがおすすめだ
ハリはエビバリ2号を中心に新半月などのタナゴバリもあると心強い
仕掛けは玉ウキを使った仕掛けが一般的だ。ミチイト0.8~1.2号を竿いっぱいに取り、3~4号の玉ウキをセットし、自動ハリス止めを介してハリをセットする。
テナガエビではウキの浮力とウキ下調整が独特だ。ウキの浮力より少し重めのガン玉や板オモリをセットしてウキを水面下1~3cmに沈ませておく。そうすると仕掛けが波立ちの影響を受けない。また、ウキの抵抗がなくなるため、テナガエビがエサをくわえた時に違和感を与えにくい。浮力調整はシビアになる必要はないが、重いガン玉をセットしすぎると今度はオモリが抵抗になるので、そこには注意しよう。ガン玉B~2Bを噛ませ、流れが早いなど仕掛けが止まらない場合にはガン玉を追加する。
主に使うのはB、2B あたりだが、浮力調整用に各種用意しておくと安心。タナゴ仕掛けを使う場合は板オモリがあると浮力調整を行ないやすい
浮力よりも重めのガン玉を背負わせて、ウキは沈ませて使う。ウキ下は水面下3㎝ほど
シーズン初期など小型のテナガエビをねらう場合、タナゴ仕掛けで繊細に釣って行くのも有効だ。この場合もウキは沈ませてねらう。
ハリは専用のエビバリが各社から販売されているので、それを購入すればよい。2号を中心に小型や食い渋り用にタナゴ用の半月、流線、新半月も用意しておきたい。ねらう場所が消波ブロック帯のため、根掛かりしやすい。予備のハリは多めに用意しておこう。
テナガエビ釣りのエサ
エサはキヂ、アカムシ、サシ、アオイソメ、ジャリメなどの虫エサが使われるが、アカムシが主流だ。付け方は1~2尾のチョン掛けでOK。
エサはアカムシがよく使われる。チョン掛けでOK
偏光レンズがあると水中のようすが分かりやすくなる。テナガエビを見つけて目の前にエサを落としてねらうサイトフィッシング(見釣り)も面白い
ポイントは障害物&日陰をねらおう
テナガエビは夜行性のため日中は消波ブロック帯の影などに潜んでエサをねらっている。消波ブロック帯以外にもゴロタ、流木など身を隠せるような障害物周りなら何でもポイントになる。初めての釣り場に出かける時は干潮時に到着し、川底のようすを見ておくと釣りがしやすい。
消波ブロックの隙間に仕掛けを落としてテナガエビの反応を探っていく
潮回りを見て釣行するのが大事だ。潮の干満差が激しい大潮回りは避けたい。中潮や小潮回りの上げ潮時の潮位が高いタイミングだと消波ブロックなどテナガエビの隠れ家が水の中に入るためポイントが増える。ただし、場所によっては潮が引いたほうがねらえるポイントが増えることもあるので、一概にはいえない。ただ、引き潮のタイミングは川の流れも加わり、流速が早くなりすぎて釣りにならないケースもあることを覚えておいてほしい。
テナガエビの活性が高いのは朝夕マヅメ。マヅメ時にいい潮回りに当たれば好釣果が期待できる。小雨や曇天の日も釣果が伸びやすい。
この穴で連続ヒットが続いた。釣果が集中する穴があるので、“テナガマンション”を探り当てよう
アワセは隠れ家までエサを運ぶのを待ってから
基本的な釣り方は消波ブロックの穴釣り。重めのオモリを背負わせたウキ仕掛けでブロックの日陰部分などの穴に仕掛けを落としていく。テナガエビが待ち構えている〝当り穴〟であれば10秒も待たずしてウキに反応が見られるはず。反応がなければその穴は諦めて、テンポよくねらっていくことが大事だ。
アタリがあっても早アワセは禁物。すっぽ抜けてしまうからだ。テナガエビはエサを見つけるとその場では食べずに安全な隠れ家までエサを運んでから食べるようだ。ウキがピクピクと動いてもこれは見送り我慢。10秒から20秒ぐらい待ち、ウキが止まったところで10カウントして引き上げるぐらいのタイミングでOK。仕掛けをそっと持ち上げると、〝クンクン〟と手元に小気味よい引きが伝わる。その後、サオに乗せるように聞き合わせればよい。
目で見つけたテナガエビをねらうサイトフィッシングもOK
渡辺さんと中川に向かった日は朝から日差しが強く、テナガエビ釣りには不利な条件であった。少し不安になりながらもポイントに到着し、水面を覗いてみるとチラホラとテナガエビの姿が確認できたのでまずは一安心。しかし、シーズン序盤ということもあり、目に入るのは5~6㎝と小型。ときおり10cmクラスが見られる程度であった。
今回入ったポイントは護岸されていて足場がよく、岸際から2mほど沖まで消波ブロックが入っている。
「私の釣り方は主にサイトフィッシング。テナガエビを目で確認してその前にエサを落とすスタイルです。ねらうエビが小さいので、親ウキとシモリがセットになったタナゴ仕掛けで繊細にねらってみましょう。仕掛け全長は手尻から20cmほど短くして手返し重視。テトラの穴釣りみたいですね。もちろん、玉ウキ仕掛けでも充分に釣れますよ」
連動シモリウキ仕掛けから玉ウキ仕掛けに変えてもヒット
ダイワ『ひなた四』に連動シモリ仕掛けを接続し、ハリにアカムシをセットして消波ブロックの隙間に仕掛けを入れていく。するとほどなくして5㎝ほどの可愛いサイズがヒット。この後もコンスタントに釣りあげていく。この日の潮回りは干潮が11時48分。10時半をすぎると徐々に消波ブロック帯が露出し始め、ねらえるポイントが少なくなってきたタイミングで納竿とした。
梅雨に入り、シーズンが進めばこのサイズが楽しませてくれるだろう
「小型がけっこういるようなので、これからの成長に期待ですね。梅雨に入れば良型が楽しませてくれそうですね」と渡辺さんの声は明るい。今回サオをだしたのは2時間ほどであったが、充分に満足できたようすの渡辺さん。ちょっとした隙間の時間でも充分に楽しめるテナガエビ釣り。都会の水辺で癒されてみてはいかがだろうか?
この記事は『つり人』2017年7月号でも読むことができます。
2019/6/18