全国おすすめ釣り場。「山梨県/釜無川サツキマスのエサ釣り」をご紹介します。
アマゴの降海型「サツキマス」が増えることを願って
この記事は月刊つり人2018年5月号の記事を再編集しています
全国おすすめ釣り場。「山梨県/釜無川サツキマスのエサ釣り」をご紹介します
文◎井上聡
利根川をホームグラウンドに記憶に残るヤマメやイワナとの出会いを求めて全国に足を伸ばす。奔流釣り倶楽部「渓夢」会長
目次
- その1
- サツキマスを増やす取り組み
- 放流個体が釣れた!
- その2
- 6月の再訪。輝く本流アマゴ
- 開始すぐのドラマ
- その3
- 思わぬゲストと可憐なアマゴ
- サツキマスとの出会い
6月の再訪。輝く本流アマゴ
広い流れから大ものを捜し当てた時の達成感は格別だ
5月の釣りのあと、再び釜無川を訪れたのは6月2日。朝一番がチャンスとのことで、寝坊しないようにと前夜からいつものように川近くに車中泊。忘れ物がないかのチェックを済ませ、夜は早々に就寝した。
すると深夜2時過ぎに、突然バシャバシャと車体を強く叩く雨音に目を覚まし、不安で寝つけぬまま夜明けを迎えた。
丹澤さんと待ち合わせた後、釣り場に到着して恐る恐る川をのぞくと、幸い予想していたほどは濁っていない。前回よりだいぶ渇水していたが、この川を熟知している丹澤さんが午前中だけは同行してくれるということで安心して支度を整えた。
河原での雑談では、丹澤さんの飾り気のない甲州弁が炸裂。毎回笑ってしまうのだが、効果的なエサを聞くと「いまっ頃は虫ん一番いいずらね!」「ほこらへんの水ったまりいるから安気してくりょーし」。
翻訳すると、「今時期は虫エサが一番いい。そこの水溜まりにたくさんいるから安心してください」。さっそく持参した専用網を用いて、川原の水溜りの底をトントン軽く叩いて驚かせると、慌てて浮遊しながら逃げ惑うピンチョロの姿。
それを手前から網を1㎝ほど浮かせ、一気に前へ救い上げて採取する。川岸の小石を剥がしてクロカワムシも採取して、ミミズも含めて3種類のエサの準備が整った。
ピンチョロはこのような浅い水溜りにいる。採取には平らなすくい網がマストアイテム
ピンチョロはハリ軸に対してまっすぐ2匹掛けで刺す
クロカワムシは大きすぎない小型の背側にハリを通す
釜無川の特徴として、朝夕は穏やかでも日中は強風になるのが定番だ。
風対策に、最初から硬めのサオを選択する。「スーパーゲームBAISIS H80- 85」に、ラインは「ザイト渓流0・6号」。
さらに「プロ目印」のオレンジとグリーンに、眩しい逆光に対してブラックを追加した。
ハリは刺さりが早くてバレにくい形状の「本流クイン6号」。
オモリは脱着が簡単な「ゴム張りガン玉B~2B」。エサはまずクロカワムシを体側からハリ先が出るように刺す。
これを上流からていねいに筋に流していった。
開始すぐのドラマ
開始5投目くらいだっただろうか。流し終わりでエサをスイングさせるように止めた瞬間にヒット!
それを見ていた丹澤さんは、「へーきたずら、へーきたずら」と興奮気味だ(笑)。
下流を荒らさないように、徐々に上流へ導きながらタモに入れた。凛々しい顔つき、鮮やかな朱点が目に飛び込んでくる。
「いい魚だね」「いい魚ずら!」仕事前に案内役を買ってでてくれた丹澤さんもナットクの一尾だった
眼球の周りには5つの斑紋が現われており、ヒレはクリームがかった透明。尾ビレはオレンジ色。
充分なサイズだが、サツキマスというには小さく、おそらく体高のある本流アマゴだろう。
アブラビレがあり、ねらっていた魚ではなかったがうれしさが込み上げてきた。
「いい魚ずら」と駆け寄ってくれた丹澤さんも一緒に喜んでくれた。
リリースして顔を上げると、朝日に照らされた富士山がこっちも見ろよと言わんばかりに紅に姿を変えていた。
だが、喜びも束の間、このあと川の中を草切れなどのゴミが流れ始め、急激に濁りが入ってきた。
山間部で降った雨の影響が、この時間になって出てきたようだ。
次回はその後の釣りと渓流釣りをご紹介します。
山梨県/釜無川 霊峰富士を眺めて夢は本流サツキマス 最終回(全3回)