ウキ仕掛けを用いるフカセ釣りはクロダイねらいの最も一般的な釣法といえる。寄せエサを撒いて魚を集め、そこに仕掛けを同調させる釣り方である。仕掛けの操作を格段に楽にするのがPEミチイト。ここでは円錐ウキを使った半遊動と全遊動の沈め探り釣り仕掛けを解説していく。
クロダイ「フカセ」の仕掛けをご紹介
まとめ◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年5月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
ウキ仕掛けを用いるフカセ釣りはクロダイねらいの最も一般的な釣法といえる。寄せエサを撒いて魚を集め、そこに仕掛けを同調させる釣り方である。仕掛けの操作を格段に楽にするのがPEミチイト。ここでは円錐ウキを使った半遊動と全遊動の沈め探り釣り仕掛けを解説していく。
目次
ガン玉使いと食い渋り対策
フカセ釣りの基本イメージはウキを支点に付けエサをフワフワと漂わせることだ。そして寄せエサに集まった魚の口もとに流し込んでいく。理想はハリから穂先までのイトを真っ直ぐにし、エサを先行させて流し込む。近距離の足もとを釣るのならそう難しくないが、ポイントが遠くなるほど理想の状態を演出しにくい。なぜならミチイトが長く海面に漂い、風、潮、サラシなどによって生じる表層流をはらみやすくなる。付けエサが引っ張られるので、魚がエサを吸い込みにくく、口に入ったところですぐに放してしまう。そうならないようにミチイトの置き方を工夫したり、馴染ませやすい最適な仕掛けを選んだりするのが釣果をあげる第一歩である。
B のウキを使えば適度に重い仕掛けにセッティングできる。ウキがウキ止メに止まるまでの馴染みも早くメンディング時もポイントからズレにくい。サラシや風にイトが取られて馴染みにくい場面ではさらに2B、3B、5Bと重くしていくとさらに安定して仕掛けがズレにくくなる。
B のウキではB までのガン玉を背負うことができる。多くのウキは余浮力というのがあって、B のウキにBを打ってもまだ浮力が残されている。ぽっこり浮かんでいるよりは海面すれすれを漂うくらいのシブシブの浮力に調整したほうが魚の食い込みはよくなる。だから浮力表示に合わせた号数のガン玉を打つのが基本で、さらにどれくらいの浮力が残されているかは現場でG 8~ G 5程度の軽いガン玉を足して試してみるとよい。ガン玉の打ち方例をいくつか挙げると次のようになる。
・ウキ止メゴムの下にのみウキの表示号数と同じガン玉を打つ。ハリスには打たずエサをふわふわとフカせるイメージ
・分散させてハリスに段打ち。ハリに近くなるほど軽めのガン玉を打つのが基本。流れが強いポイントでハリスの吹き上がりを抑えるイメージ
・ハリの側に重めのガン玉を打つ。表・中層に沸くエサ取りの層をすばやく通過させて底までエサを一気に届けるイメージ
クロダイのタナは基本的に海底付近であり、根の際や海底に溜め込んだエサの上に仕掛けを留めておくことが有効になる。こうなると重い仕掛けですばやく仕掛けを立て、底層にエサを送り込むのが合理的と思える。しかし重い仕掛けでは、エサをくわえても抵抗を感じて放してしまうケースがよくある。
食い渋る時には次の3つを意識するとよい。
・ハリを小さくする。2号→1号
・ハリスを細くする。1.5号→1.2号
・仕掛けを軽くする。B→0
ハリとハリスを変えるのが手っ取り早いが、すっぽ抜けや、根ズレのリスクも高まる。そこで仕掛け全体を張り替えてみる。B を0号の仕掛けに替えるとそれまでモゾモゾというもどかしいアタリしか出なかったのが、ウキが消し込む爽快なアタリに変わることはよくある。ただし、軽い仕掛けを使うにはミチイトをしっかり管理できる条件が整っていないと難しい。風やサラシでミチイトが取られる時はあえてミチイトをメンディングせず、ポイントからズレないように送り込み続けるのも有効になる。こんな状態でも細いPEラインを使えば食い込みをさまたげにくいのだ。
クロダイ釣りのエサ使い
エサ取りの餌食になりにくい「残りやすいエサ」を使うこと。基本はオキアミ、エサ取りの状況に応じて練りエサやコーンも使用する。
オキアミの腹掛けは一番ポピュラーな刺し方。
オキアミの背掛け。外れにくく、沈下もゆっくりになってアピール度が高まる。
加工オキアミは生よりもエサ持ちがよい。
練りエサは手を濡らしてよく練り込み、耳たぶくらいの軟らかさにすると食い込みがよくなる。
コーンは最もエサ取りに強いエサだ。2~3 個を付ける。
クロダイ用の配合エサは重く練ることができて海底に溜めやすい。
空気を抜いてしっかり練り込む。重量のあるエサに仕上げる。
深場は全遊動で探るのもよい
クロダイは底付近を釣ることから、底取りオモリをハリにセットして水深を測るとウキ下をより具体的に決めやすくなる。海底が砂地であれば、ウキ下を少し長めに取ってハリスを這わせて釣るのもよい。根の上を釣るなら、根掛かりしない高さまでウキ止メを上げる。
半遊動仕掛けはウキ下をきっちり決めた釣りになる。しかし魚のタナは一定ではなく変化する。底付近を回遊しやすいクロダイだが、活性が高くなれば浮いて食うことも多い。特に水深が深くなるほどその調整がシビアになる。そこでウキ止メを付けず全層を探る名手は実に多い。
全層を探るなら基本的に重い仕掛けは使わない。ウキ止メがないためオモリが重いとウキ下の仕掛けは一気に底まで沈んでしまう。ゆっくり仕掛けを入れてタナを探っていくイメージで釣る。ウキは0号以下のマイナス浮力で海面下に入れこみ潮をつかませたほうが安定しやすい。ここでも大切なのはミチイトの管理で、穂先からハリまで仕掛けを真っ直ぐに張れないとアタリをだすことが難しい。ウキは沈んで見えないのでアタリはラインの変化で取るか、穂先まで引き込むアタリで取る。
クロダイの引きは重量感があるが、サオをしっかりためていれば浮いてくる。チヌザオには1号以下の柔軟ザオもラインナップされていて、こうしたしなやかなサオは魚が暴れにくいのがメリットだ。
春は産卵を控えた大型が浅場でエサを荒食いする。いわゆる「乗っ込み」の好機だ。堤防や地磯でも大型が釣りやすい。堤防や地磯の主なポイントは図を参照に、ぜひとも春のビッグチャンスに挑んでいただきたい。
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