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編集部2022年3月3日

渓流釣り/テンカラをやってみよう。その1(全3回)

ヤマメ イワナ 河川・湖の釣り 魚種別釣りガイド 渓流

4月が近づけば山々は一気に春めく。春雨により水が増え落ち葉の溜まった枯れた渓も潤いを取り戻す。水も温みヤマメやアマゴの活性も上がるが、解禁から1ヵ月が経って人的プレッシャーが高まってくるのもこの季節。ここでは入渓しやすい里川のスレた魚を想定したミャク釣り仕掛けを解説したい。

世界に広がるシンプルフィッシング。テンカラをやってみよう。

まとめ◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年5月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。

ヤマメ、アマゴ、イワナといった、美しい渓流魚を毛バリでねらうテンカラ。

リールを使わない簡素な道具立てで楽しめながら、一方では水面直下の魚の反応に気を配り、ある種の集中力でアタリを捉えていくテクニックもあることから、やるほどに楽しみが増す。
基本のタックル、釣り方、さらに毛バリの巻き方を紹介。

 

最小限の道具で釣る

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テンカラ名手の一人で普及にも努めている石垣尚男さん。本稿では主に石垣さんの提唱するメソッドを紹介している

 渓流魚を毛バリで釣る方法は、大きくテンカラとフライフィッシングがある。どちらも人気だが、近年はフライフィッシングの本場の海外でも、簡素なアプローチで魚との対話を楽しむテンカラが注目されている。

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 テンカラの対象魚は、主にヤマメ、アマゴ、イワナであるが、ニジマスも対象となる。特にこれから始めたいという人なら、まずは魚が多くいてその姿も見える渓流の管理釣り場に行き、そこでニジマスを対象に、振り込み(キャスティング)を含めてテンカラの道具の扱いに慣れ、魚が釣れる感覚や毛バリにヒットしたあとの取り込みもひととおり覚えてから、渓流で他のヤマメやイワナをねらうとスムーズだ。

 いずれにしても、サオ、ライン、毛バリというシンプルな仕掛けのため手軽に始めることができ、また、エサを使わないため女性も入門しやすい。そして、テンカラの面白いところは魚を見て掛けるアワセにあると言ってよい。俊敏で、警戒心の強い魚がガバッと毛バリに出る一瞬には、エサ釣りにはない興奮がある。

 ただし、テンカラで釣る場合、ここがフライフィッシングと大きく違う点だが、毛バリは完全に浮かべた状態よりも、「半沈み(=深くまで沈みはしないが、水面直下に少し沈んでいる状態)」で流す。

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毛バリは胴にハックルを巻いただけの半沈みパターンが基本

 フライフィッシングにはドライフライといって、しっかりと浮かせて使うことを前提にした毛バリがあり、現代では必要に応じてフロータントという浮力剤まで塗布するが、テンカラの毛バリはハナから半沈み前提で使う。毛バリが半沈みでも、魚が表層まで上がってくれば、前述のようにその姿が見えたり、あるいは気配が掴めるので、その変化をとらえてアワセをすればきちんと魚が釣れる。ドライフライなら一定の時間ごとに乾かす手間がいるが、テンカラはそうしたわずらわしさが一切ない。その代わり、気配にも目を凝らす集中力でカバーする。そんな、「簡素な一方でやってみると実は奥が深い。テクニカルで面白い」という点も、この釣りが人気を高めている大きな理由だ。

おすすめは大型連休頃から

 テンカラは季節も大切。解禁直後の低水温期はエサ釣りのほうがよく、渓流魚が表層のエサに活発に反応するようになり、毛バリによく反応するようになるのは、まずは川虫(カゲロウ、コカゲロウ、トビケラ、カワゲラなどの水生昆虫)の羽化が活発になるタイミングになってからだ。

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開けて日当たりがよく、勾配のきつすぎない山里近くの渓流は、川虫も多く特にテンカラの好フィールドだ

 そのタイミングはだいたい5月の大型連休頃からであり、山里の風景でいうなら、ヤマブキの黄色い花が咲き始めると徐々にその時期に入る。紫のフジの花があちこち目につくようになれば盛期といえる。水生昆虫の羽化は梅雨前には一段落するが、その頃からは入れ替わるように、アリや甲虫などの陸生昆虫が落下して川を流れるので、渓流魚たちはシーズン終盤まで毛バリに反応する。

 基本的なタックルは図のとおりだが、サオは3.3~3.9mが一般的。迷ったら3.6mを基準にするとよい。調子は合わせるラインによって異なるが、一般的な渓流を釣るなら後述のレベルラインがよく、それには軟らかめが向く。

 レベルラインは均一な太さのラインでフロロカーボンが主な素材。テーパーが付いていないので振り込みにコツがいるが、その分、キャストしたあとの毛バリが手前に引かれたりせず、自然に流しやすい。レベルラインはサオの長さにカットして使用する。

 その先のハリスはフロロカーボン0.8号。テンカラではハリスもキャスト性能に関係しており、ナイロンより張りがあるフロロカーボンを使うほうが毛バリの直進性がよく、さらに水切れがよいので扱いが楽だ。長さは1mにする。

 最後に毛バリだが、これは半沈みタイプを自作するのがおすすめ。販売もされているが、自分で作れるほうがいつでも不足分を補充できて費用も抑えられ、何より「自分で巻いた毛バリで魚が釣れる」ことに格別の充足感がある。

 なお、ウエーダー、フィッシングベスト、偏光グラスは必需品だ。偏光グラスはテンカラで必要になる、水面直下の魚の動きを察知するのに欠かせない。また、底石の状態を確認できることで、川を渡る際もより安全になる。

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仕掛けなどを効率よく収納できるフィッシングベストはぜひ用意したい

 

 

次回は毛バリの流し方からアワセについて解説します!

渓流釣り/テンカラをやってみよう。その2

 

 

 

 

◆関連動画はコチラ

 

 

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