この梅雨、多摩川のテナガエビは大型である。テトラと蛇篭で構成されたテナガのマンションは、初挑戦の釣り女子も夢中にさせる。
梅雨はテナガエビ釣りチャレンジのチャンス!
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年8月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
梅雨はテナガエビ釣りを始める好機。テトラと蛇篭で構成されたテナガエビのマンションは、初挑戦の釣り女子も夢中にさせます。
目次
大人気のテナガエビ
小誌(月刊つり人)とテナガエビの付き合いは長い。1946年(昭和21年)発行、75年前の創刊号の巻頭には「民族と釣」と題した伊藤武さんのコラムがある。原始日本人の釣技の発生や風習について書かれており、タイトル周りの挿絵には魚ではなくテナガエビが描かれている。70年、60年前から梅雨時の号には必ずといってよいほどテナガエビの釣果が躍り、1954年(昭和29年)の6月号では多摩川のテナガエビが表紙を飾った。高度経済成長期には埋め立てと水質汚濁でエビは激減したようだが、現代に至っては都心を潤す河川の各所で復活を果たした。手軽な道具、スリリングな釣趣、食味もよい。三拍子そろった身近な人気者なのだ。
1946年のつり人創刊号のコラムにはテナガエビの挿絵
1954年6月号は多摩川のテナガエビが表紙である
さて、6月初旬に訪れたのは多摩川六郷橋下流の右岸。この日はテナガエビ釣り初挑戦という川越すずさんと、多摩川中流部の川崎市登戸に住みキャスティング横浜港北店に勤務する鷲尾純さん、同店勤務の八木良平さんの姿があった。
キャスティング港北店に勤務する鷲尾純さん。川崎市多摩区登戸在住で多摩川のテナガエビ釣りに親しむ
キャスティング港北店のスタッフ、八木良平さんも良型をキャッチ
川越さんは両親が大の釣り好き。中でもバスフィッシングに熱心で、2歳のころから釣りを始め、現在もバスフィッシングを中心に週2回はサオをだすという生粋の釣りキチ女子。
「前からエビは釣ってみたかったんです。釣れたら持って帰ります! 空揚げが楽しみなんです」と目を輝かせている。
30cm超の特大テナガを手にしたHapysonガールの川越すずさん
数珠シモリ仕掛けが好適
テナガエビの道具立ては釣り場に応じて1.2〜2.1mの振り出しザオを用いる。ミチイトは0.8〜1.5号と小もの釣りにしては太め。ウキ、オモリ、ヨリモドシをセットし、ハリス付きのエビバリ2〜3号やタナゴバリを組み合わせる。底を探るためオモリはウキの浮力より、やや重めをセットする。エサはアカムシが基本だ。
アカムシの匂いに誘われ寄ってきたテナガエビ
サオを3、4本並べて複数の仕掛けを垂らし、効率よく探って数を釣る方法もある。しかしここでは一本ザオでエビとの対話や駆け引きを味わうことをおすすめしたい。
テナガエビが潜むポイントの多くはテトラ帯や敷石周り。障害物の周辺に集中している。六郷橋下流右岸はテトラや蛇篭の隙間をねらう穴釣りが釣果有望だ。サオの長さは1.2〜1.5mが使いやすい。
六郷橋右岸下流の土手は梅雨時にテナガエビの巣窟になる
鷲尾さんの仕掛けは発泡玉を4つ付けた数珠シモリ式。3号、2号、1号、0号というぐあいに上から段々と小粒にする。
「足付きの玉ウキを1つ付けた仕掛けも釣れます。ただ、エビがエサを運ぶと仕掛けが斜めになりやすい。水中に複数のウキがあったほうが、イトの斜めの変化が分かりやすいし、ハリに近いウキは小さいほうが抵抗も少ないと考えています」
そう言う鷲尾さんは1.5mのサオに仕掛けを張って、川越さんに渡す。
この日は10時が干潮である。時刻は12時半で上げ潮が利いている。テトラや蛇篭は潮が上げてくると水に浸る。足場が広く、釣りやすいのは潮が低い時間帯だ。
「サイトで釣るのが簡単ですよ」
と八木さん。つまり、エビの姿を見つけて探る見釣りが手っ取り早いのだ。
テナガエビは物陰があれば10㎝の水位でも潜んでいる。潮位に合わせてガサガサと移動をするので、浅場ほど姿を確認しやすい。なにせその存在感は際立っている。長い腕の大型を見つけた時はドキッとするほどである。
次回は鷲尾さんのシモリ仕掛けをご紹介します
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