この梅雨、多摩川のテナガエビは大型である。テトラと蛇篭で構成されたテナガのマンションは、初挑戦の釣り女子も夢中にさせる。
梅雨はテナガエビ釣りチャレンジのチャンス!
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年8月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
梅雨はテナガエビ釣りを始める好機。テトラと蛇篭で構成されたテナガエビのマンションは、初挑戦の釣り女子も夢中にさせます。。
目次
同じ穴で連発!
川越さんは小さなエビを発見し、その穴に仕掛けを入れた。水深は30㎝程度。小型に気を取られていたが、コンクリ下の暗部から大きなハサミが伸びてきた。長い腕が仕掛けを抱き、アカムシが口に運ばれる。
「今だ!」そんな勢いで合わせると、強烈なキックバックにサオ先がグングン引き込まれる。抜き上げられたのはオス。青空の下でバチンバチンと躍る。
「小さいエビの側からいきなり大きいのが現われて。かなりビックリです」
鷲尾さんもいきなりの良型に驚いているようす。
ファーストヒットがいきなり大型。「びっくりしました」と川越さん
「僕が教えることは何もないかもしれません」と喜ぶ。エビはひとつの穴に密集していることも多い。再度仕掛けを落としてみると、案の定まずまずの良型がヒットした。
鷲尾さんも八木さんもエビを捜してあちこちの穴をのぞく。最初は小さなエビを無視し、良型ばかりを探ったが、そのうち小型の見える穴に大型が同居していることに気付いた。やがて立派なハサミのオスが抜き上げられていくのである。
こちらは小型すぎてびっくりと微笑む。ただ小型のいる穴には大型も同居している可能性が高い。エビが好む穴があるのだ
見えないエビより、見えるエビ
夢中になっていると、みるみる潮位が高くなった。エビの姿を確認しづらくなってきた。サイトフィッシングが簡単ではなくなった。ウキの動向を見ながら、気になる穴をテンポよく探る。エビが当たればフワフワとウキが動いて止まる。さらに引き込まれたところで聞きアワセをするのだが、ググっときて外れてしまうことも多々ある。このもどかしい感じもエビ釣りの釣趣で、時おり川越さんは「うわーっ」と天を仰いでバラシを悔しがっている。
テナガエビ釣りの必需品がエアーポンプとエビを生かしておくバケツである。ハピソンYH-708B はエアー量を強にしても連続約55 時間の電池寿命。基本は生かして持ち帰り、泥抜きをしっかりすると臭みが消える。泥抜き時間の目安は最低半日。水温を上げ過ぎないように注意し、水を入れ替えると死なない
満潮時刻が近づいた。足場も限られ、穴の水位が1mほど上昇した。この釣り場は蛇篭の中にゴロタ石が詰まっている。その石と石の隙間や折り重なったテトラの隙間からエビが現われては消える。つまり底付近だけでなく、中層部分の障害物にもエビがいる。いわば各階に住人がいるマンションのようなものだ。テトラの傾斜部にエビの姿を認めた川越さん。それもかなりの大型だ。「見えないエビより、見えるエビ」とアカムシを落としてみる。と、ハリスを抱き込みモグモグタイムが始まった。
「聞いてみます」
ソロリとイトを張ってようすをうかがう。グッと抵抗があったがすぐ軽くなる。エサを離されてしまったのだ。そのエビは逃げず、まだエサを探しているようす。もう一度トライをする。と、アカムシの匂いに誘われて仕掛けに寄る。長すぎるほどの腕を折り曲げて、アカムシを口に運んだ。
ここでもう一度、「いける!」と合わせた。同時に、この日一番の強烈なキックバック。もうバラしたくないという思いの強い川越さんは、勢いよくエビを抜き上げ、そのまま土手に上陸させた。そのエビは長くて重厚なハサミをもったオス。鷲尾さんも八木さんも「こんな立派なテナガエビは見たことない」と口を揃え、3人で喜びを分かち合った。
この日は上げ潮の時間帯をねらって3人とも良型を次々に釣りあげた。多摩川の場合は上げ潮時に釣果が集中しやすい
エビの口には神経が集中している。乱暴にハリを外して傷めてしまうと弱る。ハリ外しにはフォーセップがあるとよい
●交通:六郷橋はコインパーキングも近く、京浜急行大師線・港町駅の目の前なので電車釣行も便利
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