トップウオーターでねらうナマズ釣りは捕食の瞬間が見えてスリリングだ。豪快なバイトに強烈な引きは釣り人を魅了してやまない。そんなナマズ釣りにハマっているのが内藤祐介さん。ホームグラウンドの山梨のフィールドを案内していただいた。
ありそうでなかった!画期的なテンヤでタチウオをねらいます
写真と文◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2021年9月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
ジャッカルから発売されているタチウオテンヤは、誰もが「なるほど」と思えるヘッドとフックのセパレートタイプ。釣り場や日々の状況に応じた組み合わせも自在にできる。時に気難しい魚を相手にそのユニークさを実感した。
ありそうでなかった新しいテンヤ。東京湾のタチウオを周年追い掛ける小幡船長(左)も興味津々
●ひらの丸(☎ 0439・87・2183)タチウオ乗合は男性9500 円、女性と18 歳以下6500円。テンヤはエサ付き。追加は出船前に1 パック500 円で販売
目次
「千葉県/富津出船 「替鈎式」アンチョビドラゴンテンヤ(ジャッカル)でねらうタチウオその1」 ◀◀◀前回はコチラ
反応はあっても気難しい魚群
この日の釣り場は、富津を出ておよそ20分の観音崎沖。「ミチイト1.5号」「テンヤ40、50号」の船宿指定に従えば、テンヤもテンビンと同船できる。そのうえでオマツリにならない状況なら、自分の判断でより軽いテンヤを使うのもOKだ。
この日の釣り場は観音崎沖から走水沖。周囲には多くのタチウオ船が浮かんでいた
この日は釣り開始から「反応自体はバリバリです」と船長が言うとおり、一日の前半は水深40~50mライン、後半は少し浮いて30~40mラインに終日タチウオの魚影があった。しかし、テンヤには朝イチに連続してイワシが齧られる小さな時合らしき時間帯があったものの、なかなか本アタリにまでは至らないスローな展開が続いた。
吉岡さんはスタート時、まず活性の高い魚を拾うことを意識。4分の1回転ずつ連続するテンポのよい小刻みなジャーク&ストップ、次にハンドル2回転のストップ&ゴーなどを駆使してアタリを探っていくが、どの誘いにも反応が弱く、途中から意識してロングステイを織り交ぜると何度かバイトを得るも乗り切らない。時折り入れ直しのフォールでアタリが出ることもあったが、それも続くわけではなく、なかなかパターンが読めなかった。
イワシが軟らかめの時は背中を下にセットするのもよい
そんな中、いきなりロッドを絞り込まれたのは同行の中尾未来さん。やはりアタリがなく、水深30mから一度回収に移ろうと速巻きに入ったところでドスンと食い込んだ。上がったのはこの日の船中最大となる118㎝。しかし、その後はまたスローな状況が続き、もう一人の同行者である鹿島一郎さんも「ネチネチ誘いでたまにアタリが出せても、次の追い食いがないんです」とのことで、3人で「厳しい~(笑)」と顔を見合わせた。
この日の船中一を見事に釣りあげたのはテンヤの中尾さん
「タチウオ釣りの場合、テンヤはタナが圧縮されている時ほど強いですね。今日は指示ダナから外れたところでも単発のバイトが来たりするので、むしろ魚が散っている感触があります。こんな時はテンポよく探れるジグが強いですが、テンヤにいい時間帯も必ず来ると思うので、そのチャンスをものにしたいですね」と吉岡さん。
ちなみにテンビンでコンスタントに掛けていたお客さんに聞くと、「指示ダナの下限から同じタナで3回シャクったら1回リールを巻いて、サオ先に反応が出る当たりダナを見つけたら、そこでしつこく誘い続ける。そうしないとなかなか食ってこないです」とのことで、結局その状況が沖上がりまで続いた。
マメなチェンジで納得の1尾
タフな状況とはっきりしたところで、吉岡さんはマメなチェンジで集中力を継続する。紫、ピンク、さらに近くのルアー船でヒットが出ていたのが見えたチャートとヘッドの色をこまめにローテーション。また、ハリをノーマルからショートシャンクにしてシルエットを小さくしたり、新しいテンヤの特性も生かして粘り強くパターンを捜した。
すると後半戦、船長の指示ダナは「40mから上10mまで」のポイント。タダ巻き2回で一度止めるシンプルなストップ&ゴーで2mほど誘ったところで久しぶりのバイト。しかし乗らないが、アタリのあったタナまですぐに落とし直し、慌てずにステイして待ったところで、穂先が"クン"と入った。
落ち着いて大きく合わせたところで重みがロッドに乗る。いつも冷静な吉岡さんが、この時ばかりは「今日だけはバレてくれるな!」と思わず口走る。待望の一尾は掛かりどころもよく、無事アングラーの手に収まってくれた。
ようやく訪れたチャンス。「今日だけはバレてくれるな!」と最後の取り込み
「今日はしびれました~」と集中力を切らさなかった吉岡さん。テンヤゲームならではのスリリングな展開はやって分かる醍醐味がある
この一尾を掛ける前、指示ダナが浅くなってきたこともあり、吉岡さんは30号のヘッドにショートシャンクの軽めの組み合わせをしばらく試していたのだが、どうも反応がよくないということで、直前にヘッドだけ40号に戻していた。「それだけが正解だったかは分かりませんが、貴重なアタリが取れましたね」と吉岡さん。粘り強いローテを続けた先の価値ある一尾だった。
鹿島さんも細かい誘いやフォール誘いなど、テンヤならではのあの手この手を楽しんだ
東京湾のタチウオは、これからが夏タチともいわれるセカンドシーズンに入る。魚影自体はしっかりあるので、その後は昨秋のドラゴンフィーバー再来も充分に期待できそうだ。時に悶絶するテクニカルなタチウオテンヤの釣り。今から腕磨きを楽しめば、きっと面白いシーズンを過ごせるはずだ。
吉岡さんの使用タックル
●ロッド:アンチョビドライバー(取材当時プロト)
●リール:オシアカルカッタ300HG
●ミチイト:PE1.5 号
●リーダー:5号(サオ1本分ほど)+80ポンド(サオ半分ほど)
●テンヤ:ジャッカル「替鈎式アンチョビドラゴンテンヤ」30 ~ 40 号
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