<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=170559842213036&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">
編集部2024年8月20日

和歌山県田辺市/熊野川支流 アユイングフィールド探訪

アユ 全国おすすめ釣り場 和歌山

和歌山県は広い。アユイングの第一人者である木森直樹さんも同じ県内にいながらもこれまで行くことがなかった熊野川。しかし行ってみたらフィールドの素晴らしさにぞっこん。以来、観光も兼ねて、行くのがとても楽しみな川になったという。

和歌山県は広い。アユイングの第一人者である木森直樹さんも同じ県内にいながらもこれまで行くことがなかった熊野川。しかし行ってみたらフィールドの素晴らしさにぞっこん。以来、観光も兼ねて、行くのがとても楽しみな川になったという。

写真と文◎編集部

今も昔もオトリルアーはOK

今も昔もオトリルアーはOK

「今日は解禁初日ですから、どうなりますかね。こればっかりは蓋を開けてみないと分かりませんが、今朝、川の水の色を見て安心はしました」

そう語るのは和歌山県岩出市在住の木森直樹さん。この日は田辺市の熊野川漁協管轄の熊野川へやって来た。

「同じ和歌山県内ということで庭のようなものかと思われがちですが、全然ちゃいますよ(笑)。自分が住んでいるのはほぼ大阪で、スーパーでの買い物も泉南市に行くほうが便利なくらいですから」

そんな木森さんといえばつり人2024年 6月号のエギングの記事にも登場してもらったが、紀伊半島南部は庭のようなイメージを勝手に抱いていた。

「たしかに昔から釣り好きで、幼稚園の頃から釣り好きの親父に連れられてサビキ釣りを始めて現在まで、まったく同じ温度で釣り好きです。大人になって自分で車を運転するようになってからは行動範囲が広がり紀南にはよく足を運ぶようになりましたが、それでも行くたびに身も心もリフレッシュする別天地ですね」

釣りはグレ、イシダイの磯釣り、投げ釣り、バス釣り、渓流はエサ、ルアー、フライ、テンカラとすべてやり、ソルトルアーはエギング、アジング、ロックフィッシュ、ショアジギングと岸からの釣りはほぼやった。

「アユ釣り歴は10年くらいですかね。紀の川とか釣り場は近くにたくさんあったんで友釣りをやってて。大好きですけど特に上手いわけではないです(笑)。アユイングはそのあとに始めました。ほとんど前例のない新ジャンルの釣りだったことと、メイド・イン・ジャパンのルアー釣りという点に惹かれました。そこはエギングにハマった理由も同じです」

集合したのは熊野川支流・大塔川の下流にある川湯温泉地区。

「ここ、めっちゃいいでしょ。水もきれいやし、無料の駐車場もあるし、夏休みに家族を連れて泳いだり釣りをしたりして遊びに来てみんな喜んでました。川原を掘れば温泉が湧いているんですよ」

 

鯉のぼり

 

温泉街

 

公共浴場

今回の釣り場のひとつである四村川の下流域にある湯の峰温泉は開湯1800 年の日本最古の湯として今も愛される風情ある街並み。木森さんも宿泊したことがありすっかり雰囲気が気に入ったという。熊野古道沿いにはこうした小さな温泉街が点在してりハイキング客や訪日外国人客でにぎわっている

 

熊野川が大好きなようすがすぐに伝わるが、アユ釣りで通い始めてからはまだ日が浅いという。

「友釣りでも来たことがなくて。きっかけはアユイングですね。県内でできるところを調べていたら、熊野川にはルアーに関する規則が書かれてなかったんで、漁協さんに問い合わせてみたんです。そのときに丁寧に対応してくれたのが上桐さんです」

と紹介されたのが、当日も一緒に川を案内してくれた熊野川漁協の請川地区で理事をされている上桐広市さんだった。

「そう、木森さんからアユイングの問い合わせがあったんですが、ここらは今もそうですが昔からリールザオを使った友釣りが盛んなところでして、また、渓が深いもんでオトリ缶の運搬が難しいところではオトリルアーで最初のオトリを確保するということも昔からやっていたから、特にルアーやリールザオに関する注意事項を明記しておりませんでした。ところが最近になって友釣りのオトリ確保のためではないルアー釣り、いわゆるアユイングが流行ってきたんで、これはちゃんと明記しないといけないなとなりました」

と上桐さん。そんなやり取りをきっかけに交流が生まれたふたり。

「上桐さんはスーパーおじいちゃんですよ。自分も高低差のある地磯を1日に何往復もするくらい足腰の強さには自信がありますけど、上桐さんはどんな渓でもひょいひょい行きますからすごいです」

そして上桐さんに案内してもらい熊野川で釣りをしてみて感動したのが、とにかく景観が素晴らしいことと、ルアー釣りに対しての規制がなく友釣りと同じ条件で釣りができる点だった。

「これほど広大で、これほど景観のいいアユルアー釣り場を僕は知りません」

そしてもうひとつの楽しみが温泉地巡り。川湯温泉を始め、歴史を感じさせる温泉地が熊野古道沿いに点在し、それぞれが個性的で「めっちゃ癒されます」と言う。全国の渓谷沿いの温泉街といえばかつては団体旅行が人気で大きなホテルも林立したが、今ではすっかり廃れて廃墟と化しているところも少なくないなか、熊野川沿いの温泉街は小ぢんまりとしながらも熊野古道巡りのハイキング客や訪日外国人旅行者が多く活気にあふれている。

「熊野川を気に入っている点はざっとそんな感じです。じゃあ肝心の釣り場に向かいましょう」

そう言ってふたりは大塔川の上流へ車を走らせた。

 

 

ADVERTISEMENT

ADVERTISEMENT

 

ADVERTISEMENT

 

ADVERTISEMENT

 

輝きで挑発

川

正直、タイミングとしてはかなり悪かった。6月1日は解禁日であるが、この数日前に大雨が降り、熊野川本流はこの日もかなりの濁り。滅多に濁らないような清冽な支流も数多く存在しているというが、やはりアカが飛んでしまったようで、解禁前には橋の上からナワバリアユをいたるところで観察できたというが、この日は水温も下がったようで、時折群れアユが見える程度だった。

最初に入った「エンテイ」という釣り場は木森さんもお気に入りのダイナミックな景観の釣り場。本流と違って濁りはまるでなく透明度の高さは息をのむほどだったが、「追っても来ないし跳ねもない」状況。

大塔川と並行する支流の四村川に入り「平井郷」から釣り下ってみるも状況は変わらない。釣れるとすれば水温が上がる午後からではないかとは推測していたが、アユそのものの存在がつかめないまま時間が過ぎていく。解禁日とあって友釣りファンも多かったが、同様に苦戦しているようで川を覗きながら頻繁に場所替えをしている光景を何度も目にした。「この雨の前まで状態がよかったから残念です。自分もこの状況ではまだサオをだそうという気にはなりません」

と上桐さんは言うが、あと数日もすれば友釣りで20 尾や30尾は普通に釣れるようになるだろうとも。

「去年もそうでしたが、人気エリアの中でもこうしたオーバーハングの下は友釣りのサオ抜けになっていることがとても多いので絶対にねらいます」

とピッチングでテンポよく撃っていく木森さん。「スピニングモデルもありますが、飛距離よりもコントロールの精度が求められる釣りなので、おすすめはベ イトタックル」と言い、サオ先の真下の 筋を探る釣りでもあるのでロングロッド の利点は多いという。

平井郷をさらに釣り下ると友釣りファンの姿が増えたが、とりわけ道路から水辺までの傾斜のきつい「武住」からエントリーすると見渡す限り人影は見えない。

「雰囲気は最高なんですけど、肝心のアユが……あ、いる!」

選んだ場所がよかったのか、日差しが降り注いだことでアユの活性が高まったのか、黒っぽい大石がゴロゴロと並ぶトロ場で盛んに若アユたちがアカを食み始めた。

「喧嘩っ早いナワバリアユなら一発ですっ飛んできますけど……そうはならないですよね。でも、ここで諦めずにじっくりとアユの動き、石の色をよく観察してどのコースなら反応するのかを探ることが大切です」

そう言うと、立ち位置を変え、着水点、通す筋、ルアーのサイズや色、アクションなどを変えながら、5分、10分と粘る。

通常の食わせ要素の釣りであれば、これほど通したルアーに反応することはまずないが、口を使わせる釣りではないのでスイッチが入った途端に体当たりしてくることがある。それはスレ掛かりではない。

ギラッ、ギラギラッ。

黄色い追い星の閃光と3Dマルチ反射構造の強いフラッシングが透明な流れの中でもつれると「やっと時合だ」と木森さん。

 

ルアー

強くフラッシングする

 

「これまでソルトのルアーではよく使われていたレーザーインパクトですが、この輝きはどうもナワバリアユをすごく刺激します」

再びアユイングミノー94SP-LIをアユたちの下流側にキャスト。下からナワバリに侵入するように操作する。浮力をギリギリまで減らしたことで水中を漂うようにサスペンドしつつ、リップが水を受けるとまるで底石のアカをボトムタッチ。その際に強いフラッシングを伴うため、やる気のあるアユを刺激する。

「来ました。ほら、背掛かりの傷が深い。怒ってます」

事前情報のとおり、川の状況は芳しくなかったものの、アユたちの姿はたくさん確認。

「1年ぶりに訪れる熊野川で自分自身もとても楽しみにしていましたが、やはり広大な景色ときれいな水、空気に身も心をリフレッシュして釣りを楽しめました。この号が発売になる頃からアユイングはシーズン本番を迎えます。アユの状態もどんどんよくなりますのでもっと楽しめます。暑い夏こそ、こんなきれいな涼しい川でアユイングを楽しんでもらえたら最高だと思います」

と木森さん。今年もまた家族を連れて遊びに行く予定という。

熊野アユ

「めっちゃいい香り!」と木森さんも納得の待望の熊野アユ

 

釣り道具

●ロッド:ネオステージ AY 100MB-S
●リール:アルファスSV TW 800S-XHL
●ライン:UVF PE デュラセンサーX8EX+Si3 ライム
グリーンマーキング0.5 号
●リーダー:フロロショックリーダーX の3Lb を1.5 m
●ルアー:アユイングミノー94SP-LI

 

アユルアー

上から。深場や急流の中でボトムまで到達させやすいリップレス仕様のアユイングジョイント。その下のショートリップがスローシンキングタイプのアユイングミノー95SS。下2 つのロングリップがスローフローティングタイプのアユイングミノー94SFと110SF。この4 種類にサスペンドタイプのアユイングミノー94SP-LI を加えた5 種類があれば、どのような状況にも対応可能だ

 

 

 

アユ 記事一覧

 

※このページは『つり人 2024年8月号』を再編集したものです。

おすすめ記事

記事検索

  • 検索フィールドが空なので、候補はありません。

月刊つり人 最新号

つり人 2020年5月号

列島をゆるがすコロナウイルス。けれども、日増しに暖かくなる春の日を、じっと家にこもって過ごすのはやっぱり体によくない。その点、手軽な海の釣りは、風も気持ちよく、大人も子どもも、思い切り深呼吸しながら時間を過ごせる。ウミタナゴ、メジナ、クロダイ、カレイ、アオリイカ、カサゴ……。元気な魚たちが泳ぐフィールドで、がんばろう、ニッポン! そのほか、3名手の渓流解禁レポート、里川で見つかる美味しい道草、みちのくタナゴ旅など旬の釣り満載でお届け。