今回は私たちがターゲットにしているブラックバスについての基礎知識を4回に分けて解説します。バスの食性や行動パターンなどを改めて紹介するので、ハイシーズンに向け、釣りをするうえで役立ててください。第2回はバスの食性と食物連鎖についてです。
食物連鎖のなかのバス
Basser編集部=文
今回は私たちがターゲットにしているブラックバスについての基礎知識を4回に分けて解説します。バスの食性や行動パターンなどを改めて紹介するので、ハイシーズンに向け、釣りをするうえで役立ててください。第2回はバスの食性と食物連鎖についてです。この記事は、1996年に発売されたBasser別冊『ゲーリーファミリーのバスフィッシング完全教書』に掲載されたものを再編集しています。
食性を知れば、バスが見えてくる
ブラックバスを釣るうえで、食性を理解することがなぜ重要かというと、その行動が食性によって大きな影響を受けるからだ。その湖にどんな餌料生物(ブラックバスのエサとなる小動物)がいて、どんな分布をして、どんな行動をとるのかによって、それを追うブラックバスの行動も変わるからだ。
ある湖では晩夏から秋にかけてシャローからいいサイズのバスが姿を消す。沖を回遊するワカサギの群れについてしまうからだ。こんなときに、岸の岩陰をいくら探ってもいい釣りができる可能性は低い。沖のワカサギについていることを知っていれば、的確なエリア選択とルアーチョイスができるのだ。
多くのフィールドでバスのメインベイトになっているワカサギ
「吉田幸二・泉和摩・川口直人ワカサギ鼎談」では、3人のアングラーがワカサギ絡みの釣りがハマった試合や、ワカサギパターンを組み立てるために注目すべき点などをトークしています。
「豊満ワカサギレイクの寒中ジャークベイトゲーム」では、ワカサギの豊富さで知られる山口県・豊田湖のロコアングラー、田中大介さんが、低水温期のジャークベイトゲームを解説しています。
さて、ブラックバスの食性には何か法則はないのだろうか。ひとついえるのは、「そのバスが生息しているエリアにもっとも豊富にあって接触する機会の多い生物がメインベイトになる」ということだ。これは非常に抽象的で当たり前の話だが、これを笑ってはならない。バスとエサの関係を考えるとき、このルールがすべてのベースになるからだ。
「ベイトフィッシュの動きを理解すれば、どのエリアを選択し、どのルアーを投げればいいのか必然と見えてくる」と話すのは市村直之さん。DVD『市村直之 琵琶湖ベイトフィッシュパターン春編』ではベイトを追う釣りを実践し、60㎝オーバーをキャッチしています
ブラックバスにとって、自らの生息域から大きく離れた場所の生物をエサにすることは非常にロスが大きく危険を伴う。
これは、食物連鎖の上位に位置する多くの動物に見られる傾向だ。
ルアーやフライによるバスフィッシングが成立するのは、こういった食性にかかわる生態に負うところが大きく、その食性を理解することなしにバスフィッシングの成功はあり得ない。
さて、ブラックバスの食性、生態を考えていくときに真っ先に思い浮かぶのが、食物連鎖(FOOD CHAIN)という言葉である。これはいうまでもなく、自然界における「食う」、「食われる」の関係を示したものだが、ブラックバスは水界において間違いなくその上位につく。つまり、アフリカでのライオンのようなものだ。
降り注ぐ太陽光線で、莫大な量の植物プランクトンが光合成をし、増殖する。その植物プランクトンを食べる動物プランクトンがいて、その動物プランクトンを食べる極小の魚や稚魚たちがいる。それを食べるのはブラックバスやナマズのような魚食性の魚だ。
小魚のほか、エビなどの甲殻類もバスが好むエサのひとつ
「大津清彰×秋の利根川 確信のマッチ・ザ・ベイト」では、バスの胃の内容物調査を実践する大津清彰さんが「バスとベイトと釣り」をテーマに秋の釣り方を解説しています。
しかし、ブラックバスも目に見えないような病原菌の感染によって死ぬこともあるし、仮に老いて死んだとしても結局は水中の小動物にその遺骸を食われてしまうわけで、結局は食う・食われるの関係がグルグルと回り、つながっているということなのだ。
2017/03/22