今回は私たちがターゲットにしているブラックバスについての基礎知識を4回に分けて解説します。バスの食性や行動パターンなどを改めて紹介するので、ハイシーズンに向け、釣りをするうえで役立ててください。第4回はバスの行動パターンについてです。
バスの行動パターンを決める障害物、太陽光、風
Basser編集部=文
今回は私たちがターゲットにしているブラックバスについての基礎知識を4回に分けて解説します。バスの食性や行動パターンなどを改めて紹介するので、ハイシーズンに向け、釣りをするうえで役立ててください。第4回はバスの行動パターンについてです。この記事は、1996年に発売されたBasser別冊『ゲーリーファミリーのバスフィッシング完全教書』に掲載されたものを再編集しています。
バスの行動を決定する要因
日本で主なターゲットとなっているノーザンラージマウスバスは、どんな生活を送っているのだろうか。まず、彼らの行動を支配する最大のキーは、障害物指向ということだ。岩、立ち木、水生植物、桟橋、窪みなど、ありとあらゆる身を隠すものを好み、その陰に潜もうとする。ブラックバスを釣る場合に、障害物を捜せと言われるのはそのためだ。
岩や立ち木など、バスは何らかの障害物に身を寄せていることが多い
彼らが障害物を求めるのにはいくつかの理由が考えられているが、中心となるのは次のふたつだろう。
まずひとつめは光。ブラックバスは基本的に直射日光を避ける傾向がある。冬の厳寒期などを除けば、彼らが太陽光線を好み光に誘い出されることは少ないと考えたほうがいい。
冬は、太陽光線によって水温が上がり、それによってバスが浅場に出てくるということがあるため、間接的に彼らが太陽光線を好むと言えなくもないが、晩春から初秋にかけては、晴天より曇りの日のほうが釣果においてもいい結果に結びつくことが多い。
この理由については、瞼をもたないブラックバスにとって直射日光は刺激が強いという説もあるが、それ以外の要素も多いだろう。
明るい状態では、ブラックバス自身も姿をさらすことになるため危険が増すし、同じ理由でエサとなる動物たちも行動を控える。結果として太陽光線の強い日は、ブラックバスの行動が弱まるということになるのだ。
せり出した枝などが作り出す日陰は、バスにとって直射日光を避けられるスポットだ。積極的にねらってみよう
ふたつめは、風。私たち人間にとっては、無風がいちばん都合がいい。風が強くなれば釣りづらくなってしまい、足が遠のく。
しかし、ブラックバスにとって風は大きな意味を持つ。ほとんどの場合、無風でいい釣りができることは少ない。強弱の程度はあっても、何らかの形で風が吹いている場合にいい結果が出る。それはなぜか。風によって、ブラックバスの活性が高まるからだ。風は水中に酸素を送り込む。ブラックバスは、サケ・マスに比べれば水中の溶存酸素が少なくても生活できる魚だ。しかし、酸素量が増加すれば活性があがり、減少すれば下がるという図式はかわらない。
さらに、風は波というスクリーンを作り出し、ブラックバスの行動を隠してくれる。彼らにとって、これは陸上や空からの脅威が減少することを意味する。
風はプランクトンや微細な生物を風下に吹き寄せる働きもある。そしてそれを食う小魚が集まる。ブラックバスにとってもそれはエサ場の出現にほかならない。風は、こういったいくつかの理由でバスの活性を上げるのだ。ブラックバスたちは、こんなファクターに支配されながら湖で生活している。
生活の場としての深場
基本的に障害物指向で、浅場でエサを捕る魚だということはすでに書いた。しかし、それだけではバスという魚を理解することはできない。なぜなら深場もバスにとっては大切な生活の場だからだ。浅場で1日を過ごす場合もあるが、深場でほとんどを過ごすこともある。前にも書いたように、太陽光線が強すぎたり、無風だったり、真冬で浅場の水温が下がりすぎていたりという場合だ。
そして、深場は浅場に比べ、条件の急変が少ないという利点がある。浅場ならサーッと風が吹いただけで水温がすぐに上下する。太陽光線の強弱で、水草の光合成が増減するとpHも変わる。しかし、深場はそんなに急な変化をみせない。ブラックバスにとっては、楽といえば楽な場所ではある。
夏期、冬期は日中のほとんどを、やや深場で過ごすことが多い。夏期は朝夕に浅場に出てくるし、冬期は水温が上がる日中に浅場を目指す。いずれにしても深場は、湖の条件が厳しいときの駆け込み寺なのである。
だから、その日、その時間のブラックバスが浅場にいるのか、深場にいるのかを的確に判断することが、好釣への近道となるのだ。