今回は私たちがターゲットにしているブラックバスについての基礎知識を4回に分けて解説します。バスの食性や行動パターンなどを改めて紹介するので、ハイシーズンに向け、釣りをするうえで役立ててください。第3回はバスの繁殖方法について解説します。
バスの繁殖と子育て
Basser編集部=文
今回は私たちがターゲットにしているブラックバスについての基礎知識を4回に分けて解説します。バスの食性や行動パターンなどを改めて紹介するので、ハイシーズンに向け、釣りをするうえで役立ててください。第3回はバスの繁殖方法について解説します。この記事は、1996年に発売されたBasser別冊『ゲーリーファミリーのバスフィッシング完全教書』に掲載されたものを再編集しています。
バスはどのように繁殖するのか
ブラックバスの生殖は、非常に大きな特徴を持っている。オスが卵を守るということだ。この1点によって、彼らは浅場での産卵という危険性の高い繁殖方法を成功させている。では、実際にどんな順序でそれは進められているのだろう。
彼らの産卵行動はだいたい全長20cm前後になったあたりから始まる。このサイズがブラックバスにおける成魚だと考えていいだろう。
冬が終わり、水温が10℃台半ばになると彼らは産卵行動を始める。オスが浅場の産卵に適する場所を捜し出し、そこに産卵床と呼ばれる産卵場を作る。産卵床には、水通しがよく小砂利や砂礫のエリアが選ばれることが多いが、場合によってはテトラポッドや漁港の防波堤の窪みなども対象になる。
産卵を控えたバスは浅場を目指す
オスはそういった場所のゴミやドロを尾や口で取り払い円形の産卵床を作る。気に入った産卵床ができあがると、やや沖めで待っているメスのもとに向かい、産卵床までエスコートしてくる。この場合、メスがそのオスを気に入っても、産卵床を気に入らなければもとの場所に戻ってしまうわけで、相手がなかなか見つからず苦労するオスの姿をみることもある。産卵床にやってきたメスはそこで卵を産み落とし、オスがそれに放精し、産卵は完了する。メスは産卵が終わると産卵床を離れる。メスは一度の産卵ですべての卵を生み出さない場合もあり、別のオスの誘いによってほかの産卵床に向かう場合もあるといわれている。
ブラックバスの産卵期は春。産卵を控えたこの時期のねらい方をフィールドタイプ別に解説した記事を公開しています。
「プリスポーンのバスをねらうには? 自然湖篇」
「プリスポーンのバスをねらうには? 沼篇」
「プリスポーンのバスをねらうには? ダム湖篇」
「プリスポーンのバスをねらうには? 自然湖篇」
「プリスポーンのバスをねらうには? 沼篇」
「プリスポーンのバスをねらうには? ダム湖篇」
オスが卵と稚魚を守る
ノーザンラージマウスバスの受精卵は直径1.4~1.8㎜でオレンジ色だ。孵化の適温は18~22℃。18℃だと約55時間で孵化するという。オスは、卵が孵化するまで、産卵床で卵を守り、育てる。育てると書いたのは、ただ産卵床に付き添っているだけでなく卵を順調に生育させるためいろいろな作業をするからだ。まず、卵の周囲に絶えず新鮮な水が対流するよう、尾と胸ビレで水流を作り続ける。これは非常に大切なことで、水が滞ってしまうと卵が酸素不足になったり、腐敗したりする。水中で呼吸するということは大変なことで、多くの魚がエラという器官を持ち開閉によって水流を作るのは、そのためだ。ブラックバスのオス親は、卵のために一生懸命、水を送り続けるのである。
卵をゴミが覆えばそれを払いのけ、外敵が卵を食べにくれば撃退する。この時期にブラックバスは非常に攻撃的になると言われるのはこのためだ。それでもブルーギルのように群れで襲ってくる場合は卵を食べられてしまうことも少なくない。ブラックバスも決して無敵ではないのである。
ブルーギルは産卵床を荒らす外敵のひとつ
孵化直後もオスは仔魚を守る行動をとるがやがて仔魚たちが旅立っていく。
ブラックバスは、サケのように一度の産卵で死ぬわけではないので、毎年産卵期が来れば産卵を繰り返すのだ。
……次回、ブラックバスについて知っておきたい基本的な事柄 :第4回 「バスの行動パターン」