スローな展開になりがちな冬でも巻き物で結果を残すアングラーがいる。Basser2016年2月号では、巻き物に精通し自らルアーデザインも行なうルアービルダーたちに、冬場に試したいルアーをふたつ紹介してもらっている。今回はテッケル前田秀樹さんのワイドウォブルクランクベイトについて話してもらった。
テッケル前田秀樹さんのワイドウォブルクランクベイト
前田秀樹=文
スローな展開になりがちな冬でも巻き物で結果を残すアングラーがいる。Basser2016年2月号では、巻き物に精通し自らルアーデザインも行なうルアービルダーたちに、冬場に試したいルアーをふたつ紹介してもらっている。彼らのメソッドとともにぜひ参考にしてほしい。この記事はBasser2016年2月号に掲載したものを再編集しています。
前田秀樹
テッケル代表
◆ウェブサイト
http://teckellure.com/
スローリトリーブでもワイドウォブルが伝わり、ショートバイトを感じとりやすい
アメリカでコールドウォータークランキングの定番中の定番といえば、ウィグルワートです。とくにストームがラパラに買収される前のモデルはプリ・ラパラとかヴィンテージモデルと呼ばれ、eBayなどのオークションサイトでは高値で取り引きされ、今でもバスマスターエリートやFLWツアーのプロたちに愛用されているばかりか、数多くのマネーベイトになっています。
ウィグルワート(50㎜、12g/ストーム)
2014年のエリートシリーズ・テーブルロック戦ではわかっているだけで優勝のマイク・マクレランド、4位のアーロン・マーテンス、12位のジャレッド・リントナーが使っていましたし、FLWツアー・ビーバーレイク戦でもトップ10中、2位のアンディー・モーガン、3位のデビッド・ダッドリー、5位のケイシー・アシュレー、7位のトロイ・モロー、8位のスコット・マーティンが使いました。
なぜ旧モデルなのか。その好奇心から、私はウィグルワートを買いあさって研究し、アメリカのプロたちと話をするうちに、「ウィグルワートを超えるクランクベイトを作ってみたい」という衝動にかられたのです。そして開発を始めてから8年の歳月を経て発売に漕ぎ着けたのがドランカーです。
ドランカー(50㎜、9.5g/テッケル)
使用タックル例
ロッド:ポイズンアドレナ1610M-G(シマノ)
リール:スコーピオンMg1000(シマノ)
ライン:フロロカーボン10Lb
スナップ:E.G.ワイドスナップ#2(エバーグリーン)
フック:VMC7554(ラパラ)またはトレブル13(がまかつ)#6~5
ドランカーは旧モデルのウィグルワートのコピーではなく、特徴的を際立たせた設計です。アクションの質や使い方は同じですが、ウィーワートに近いアクションに仕上がりました。アメリカを意識してカラーはクローフィッシュパターンを多く作りました。ちなみに本場のテーブルロックレイクに代表されるオザークマウンテン水系のダム湖に一番近い日本のシチュエーションは、ウチダザリガニがいる桧原湖だと思っています。
ドランカーは浮力は抑え気味で、ロールをほとんどしないワイドウォブリングアクションが特徴です。最近は巻き心地の軽いクランクベイトが多いですが、ドランカーは引き抵抗がとにかく大きいので、スローリトリーブでもロッドへ明確にアクションを伝えます。ドランカーは低水温期専用ではないですが、水温が下がるほどスローに巻いてみてください。
最初からデッドスローだと有効な深度まで潜らないので、助走はノーマルスピードで巻きます。フロロカーボンの10Lbを使えばキャスト&リトリーブで約3mは潜ります。
ある程度潜らせたら、下向きに構えたロッドティップを短いストロークでゆっくり前後させ、ウォブリングの一振り一振りを感じながらリールを巻きます。ポンプリトリーブに近いですがサスペンドルアーのように止めて誘う必要はありません。こうすることでルアーの状態変化を素早くとらえ、瞬時にアワせられます。
低水温期のバスは、速いルアーを追い切れないばかりか、ルアーを丸呑み&反転するようなバイトは少なく、ショートバイトですぐにはき出してしまいます。そんな状況でショートバイトによるルアーのわずかな状態変化を捉えやすいのがスローリトリーブでも抵抗の大きいドランカーというわけです。
ドランカーは根掛かりを回避するのはそれほど得意ではないので、ウッドカバーよりもロック系のハードボトムで使ってみてください。
標準フックはVMCフックの#6ですが、低水温期のショートバイトを掛けやすくするには交換をオススメします。私はがまかつのトレブル13を使います。フックハンガーが横アイ仕様なので、従来型のフックバランスが座りがよく、ひと回り大きい#5サイズを前後に装着してもフック同士が絡みません。
わき役が輝くすてきなドラマ
ときにメインとなるルアーよりも選択が重要となるわき役「トレーラー」が今号の主役です。たとえばジグの場合、トレーラー次第でルアー全体のサイズ感やアクション、フォールスピード、イミテートするベイトフィッシュまですべてが変わってくるからです。
巻頭の「THE TAKE BACK」では、田辺哲男さんが真冬の菅野湖をバルキートレーラー+フットボールジグの組み合わせで攻略し2尾の50cmアップをキャッチ。並木敏成さんはカバージグの黄金コンビネーションを紹介。そのほかスイムジグやフットボールジグ、ワイヤーベイトのトレーラーも細かく紹介。アメリカのツアープロが本気の勝負で投入するトレーラーのトレンドについてもまとめています。
また、2018年に創立30周年を迎えたエバーグリーンの歩みを特集。日本のバスフィッシングシーンをリードしてきたタックルとプロスタッフ陣の輝かしい戦歴はどのようにして紡がれてきたのか。菊元俊文さん、今江克隆さん、清水盛三さん、福島健さんらへのインタビューを交え、その歴史を紐解きます。
2018/01/31