冬になるとどんなフィールドでもジャークベイトを投げるという小林知寛さん。そんな小林さんにジャークベイトの理論と技を披露してもらいました。 バス釣りの専門誌バサーが、バス釣りのテクニックから道具、試合の最新情報、初心者のバス釣り入門までバスフィッシングのすべてを公開しています。
ルアーを1種類に絞る意味
Basser編集部=写真と文
12月から早春まで、小林知寛さんはフィールドタイプを問わず第一投にフェイスを選ぶ。
そして時には終日ジャーキングを貫徹する。
「絶対にコレでしか獲れないデカバスがいるからです」。
初冬の高梁川で、その信頼を支える理論と技を披露してもらった。
小林知寛(こばやし・ともひろ)
JB TOP50や同マスターズなどで試合漬けの日々を送るアングラー。2012年JBマスターズ年間優勝。2014年JB TOP50年間優勝。2016年はJB全日本バスプロ選手権河口湖優勝、チャプター岡山第3戦高梁川優勝。パワーフィッシングを得意にしており、TOP50の試合でもジャークベイトなどでたびたびビッグフィッシュを持ち帰ってくる。「釣りのスタイルは清水盛三を思わせるな」とは菊元俊文さんの言葉。 愛称は「コバ」。
高梁川(たかはしがわ)
高梁川ローカルルール
この記事は2014年1月号に掲載されたものを再編集しています。
キャラクターを把握しているルアーを使いこなす
12月、小林さんが使用するジャークベイトはフェイスのオリジナルサイズのみ。以前はラトリンログが好きだったが、より飛び、個体差がないフェイスが登場してからはコレ一辺倒だという。
フェイス(エバーグリーン)
11.5㎝、18.6g、潜行レンジ1~2m、スローフローティング仕様
小林さんがフェイスを使う理由は4つ。
① やや長めのリップを採用しているため水深2mまで潜らせることができる。ウエイトチューンによってはさらに深くまで到達してくれる。
② 3フックなのでフッキング率が高い。
③ タングステンウエイトの重心移動システムで向かい風でもよく飛ぶ。
④ 使い込んでいるので、「この強さでジャークするとこのくらいダートする」などとキャラクターを完全に掴んでいる。自分のイメージどおりの操作ができる(この理由が一番重要)。
ドン深のリザーバーでも、遠浅な野池でもルアーチェンジはなし。たとえば水深80㎝のエリアをねらうときなど、フェイスでは潜りすぎるように思われるが、小林さんはロッドを立ててジャークすることで潜行深度を調節している。
フェイスにはダウンサイジング版の「87」もあるが、冬はルアーの存在感でバスを浮かせたいため出番は少ない。逆に、春はシャローにいる小魚が小さく、またバスがシャローにいる(わざわざ浮かせる必要がない)ことが多いため「87」も使う。ルアーが小さいほうが威嚇バイトをとりやすい印象があるという
取材前に気になったのは、たったひとつのジャークベイトで状況変化に対応できるのかということ。しかし取材をしていて感じたのは、「一種類“だからこそ”変化に対応しやすい」ということだった。
小林さんはフェイスのキャラクターを完全に把握しているからこそ、ウエイトチューンやカラーローテーション、ジャークの強弱やポーズ時間の長短を調節することで状況を把握しアジャストできているのだ。「冬にひとつのルアーを投げ通す」とだけ聞くと、根性推しの精神論に聞こえかねないが、小林さんの釣りはむしろその対極にある。0.1g単位でウエイトを調節し、ひとつの橋脚に20投以上を費やし、フッキングのようすを見ながらカラーローテーションを行なう。もしこれを複数のルアーで行なうと、釣りが散らかり収拾がつかなくなる可能性もある。
今回の取材は2013年11月上旬の高梁川で行なった。この日キャッチした6尾のうち3尾が50㎝クラスの1500gオーバーだった。
この記事のページトップに掲載した魚は52cm、1700gのビッグワン。正午ごろ、杭の脇からバイトしてきた
夕マヅメの水温が上がったタイミングでは上流エリアでビッグバイト。50㎝ジャスト・1840g!!
日没間際には50㎝弱(1640g)を追加。流れのヨレに何度もフェイスを通すと食ってきた
「12月や1月にこんな釣果に恵まれることもありますよ!」と小林さん。「ひとつのルアーを信じて、考えながら細部を詰めていく釣りをやっていくことは、間違いなくバスフィッシング人生のプラスになります。釣れなかったら……と考えず、ジャークで押し切ってみてください! きっとシビれる1尾が待っています」。
詳しい使用法は後日公開予定の記事で紹介します。お楽しみに!
第3回:ウエイトチューンとタックル
第4回:カラーローテーション
第5回:釣果に差がつく操作法
第3回:ウエイトチューンとタックル
第4回:カラーローテーション
第5回:釣果に差がつく操作法
Basser Allstar Classic 2016で5位に入賞した沖田護選手がプラクティス時から追いかけたのがジャークベイトパターンでした。冷え込みによる状況変化で競技中はうまく機能しなかったものの、ハマったときは1300g以上のキッカーのみが反応したといいます。詳しい釣り方は発売中のBasser2017年1月号でレポートしています。
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2016/12/4