湖上でキャストと操作、アワセを学んだAとYは 草深先生の教えのもと順調にヘビキャロで釣果を伸ばしていく。 そして取材の最後には草深先生が50㎝オーバーをキャッチ! これがヘビキャロの威力だ!
生徒ふたりはヘビキャロ特有の不明瞭なアタリをキャッチできるのか!?
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
湖上でキャストと操作、アワセを学んだAとYは 草深先生の教えのもと順調にヘビキャロで釣果を伸ばしていく。
そして取材の最後には草深先生が50㎝オーバーをキャッチ! これがヘビキャロの威力だ!
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ! ノ※この記事はBasser2013年8月号に掲載されたものを再編集しています
講師=草深幸範(くさぶか・ゆきのり)
草深幸範先生のfacebook
1976年8月生まれ、東京都出身、東京都在住。2012年、W.B.S.のAOYを獲得。プロクラシックとスーパースリーデイズをすでに勝っていたため、同団体の3大タイトルを制覇してグランドスラマーとなった。その原動力は「沖の釣り」と「ヘビキャロ」。2005年のオールスタークラシック(霞ヶ浦大会)では3位入賞とビッグフィッシュ賞をダブル受賞してもいる。
生徒=ヤマガタ
「ソフトベイトをダイレクトに操作できないし、アタリがわかりにくいからキライ」という理由で、キャロはほとんど食わず嫌い状態だったが、この道場取材で威力を実感。2015年10月号の遠投特集記事の取材では草深先生にオカッパリでの追加講習を受け、さらに釣らせてもらいご満悦。現Basser編集長。 (fujisan.co.jpにてBasserの定期購読を申し込むとデジタル版のバックナンバーが2年分以上読み放題になるサービスを実施中です!)
生徒=アマノ
1キャロ=エサ釣りではポピュラーな中通しオモリ仕掛け。ハゼ釣りや、ソルトルアーのアジング、メバリングではよくやりますが、ヘビキャロでバス……となると、前世期まで遡るくらい昔で、その記憶は忘却の彼方。というわけで今回は生徒役を志願した次第。現ルアーパラダイス九州編集長。
ヘビキャロとは……フックの前方にリーダーを介してスイベルとシンカーをセットしたものをキャロライナリグと呼ぶ。そのうち1/2ozなどの重めのシンカーをセットしたものがヘビーキャロライナリグ。遠投性とボトム感知能力が高く、シンカーとワームが離れているのでノーシンカー状態を作り出せるのが強み
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1976年8月生まれ、東京都出身、東京都在住。2012年、W.B.S.のAOYを獲得。プロクラシックとスーパースリーデイズをすでに勝っていたため、同団体の3大タイトルを制覇してグランドスラマーとなった。その原動力は「沖の釣り」と「ヘビキャロ」。2005年のオールスタークラシック(霞ヶ浦大会)では3位入賞とビッグフィッシュ賞をダブル受賞してもいる。
生徒=ヤマガタ
「ソフトベイトをダイレクトに操作できないし、アタリがわかりにくいからキライ」という理由で、キャロはほとんど食わず嫌い状態だったが、この道場取材で威力を実感。2015年10月号の遠投特集記事の取材では草深先生にオカッパリでの追加講習を受け、さらに釣らせてもらいご満悦。現Basser編集長。 (fujisan.co.jpにてBasserの定期購読を申し込むとデジタル版のバックナンバーが2年分以上読み放題になるサービスを実施中です!)
生徒=アマノ
1キャロ=エサ釣りではポピュラーな中通しオモリ仕掛け。ハゼ釣りや、ソルトルアーのアジング、メバリングではよくやりますが、ヘビキャロでバス……となると、前世期まで遡るくらい昔で、その記憶は忘却の彼方。というわけで今回は生徒役を志願した次第。現ルアーパラダイス九州編集長。
ヘビキャロとは……フックの前方にリーダーを介してスイベルとシンカーをセットしたものをキャロライナリグと呼ぶ。そのうち1/2ozなどの重めのシンカーをセットしたものがヘビーキャロライナリグ。遠投性とボトム感知能力が高く、シンカーとワームが離れているのでノーシンカー状態を作り出せるのが強み
不明瞭なバイトを察知せよ!
最初に入った浚渫跡で基本操作などを教わったのち、次に入ったのは北利根川だった。
A 傾斜護岸の先にゴロタがあって……なんかボクらも普通に釣りをしているロケーションですね。
草深 はい。沖のフラットや浚渫だけがヘビキャロの出しどころではありませんから。カバー際をライトリグで丁寧に探っても反応が薄いときこそ、そのチョイ沖にバスが落ちたのかと疑うべきです。
Y ここ、何度も釣りしたことありますけど、めちゃくちゃ根掛かりしますよね。
草深 しますね。シンカーもスタックしやすいですしフックも根掛かりしやすい。それこそオカッパリからやったら根掛かりの嵐だと思います。でも、ボートからならダウンヒルの釣りになるので、丁寧にシンカー操作をすればそこまで根掛かりしません(※図B参照)。
図B
草深 ここでヘビキャロを使う理由は、多少風があってもライトリグより深みまでしっかり探れることと、そうしたライトリグでは口を使ってくれない状況でも口を使ってくれることがあるからです……ん、食った!
そう言うと素早くスラックを巻いてアワセを入れ、ハリアーを曲げた草深先生。慎重にハンドランディングしたのは38㎝のレギュラーサイズだった。
牛堀の浚渫跡で基本動作を教わったのち、今度は北利根川へ。ヘビキャロの出しどころは沖のオープンウォーターだけではない。傾斜護岸+ゴロタで草深先生に初ヒット!
AとYが根掛かりを連発するなか、3/4ozというヘビーシンカーを使い続けた草深先生はまったくスタックさせることなくこの1尾に辿り着いた。「1.5mのロングリーダーです」と草深先生
草深 ヘビキャロではありえないくらい明確なバイトでした(笑)。さっき岸際でボイルしてた魚かも?
Y こんなゴロタ場でもシンカーは3/4ozですね。
草深 もう少し軽くしたほうが根掛かりはしにくいです。でも気を抜かずに操作すればスタックしないのでボクはそのまま使いました。シンカー選びの基準は「根掛かりしない範囲で極力重く!」ですから。おふたりは早くも根掛かりを連発しているので、軽くしたほうがいいですね。
A ワームはパワーホッグ3in ですね。
草深 浚渫跡でアタリもなく、まだ魚も動けていないのかなあと思って、よりスローフォールする低比重素材のワームをロングリーダーで長く漂わせてみました。
ここでは長く粘らず、今度は北浦へ。潮来マリーナの沖合で魚探掛けを開始する。
草深 ここは広大なハードボトムですが、フラットに近い緩やかな傾斜で変化に乏しく、だからこそ所々に点在する小さな起伏に魚がつきやすい。昔はそうしたピンを魚探で探してマーカーブイを入れて、またボートを離してという釣りでしたが、今はサイドイメージがありますから、GPSにマーキングした真上まで近づかなくても正確な位置と形がわかります。じゃあやってみましょう。
今度は北浦へ。広大なハードボトムで丹念に魚探掛けを開始する。有望なガレ場やブレイクはGPSにマーキングされているが、今回は3人が片舷に並んで釣りをするので、効率よく探れるコースをサイドイメージで確認していた
サイドイメージの映像の一例。中心線は自船のコース。右側は平坦に近いハードボトムが広がるだけだが、左側には起伏のある岩盤もしくはこぼれ岩があることがわかる。自船からの正確な距離と位置がわかっているので無駄に遠投する必要がない
サイドイメージの映像の一例。こちらはナチュラルブレイク。色が濃いほど浅く、浅場から深場にかけて2段のブレイクが形成されていることがわかる
Y ここは全体的に硬い感触がよく伝わります。でも、思った以上に操作感はヘビーではないんですね。は3/4ozだけど、全然重すぎるとは感じない。むしろ、これより軽かったら情報が不足するかも。
草深 とくにアマノさんは前のふたりとは違うところを探ろうと遠投していますから、操作感はビンビンではなくフワフワしていると思います。僕はピンスポットへショートキャストしているので、より感度が高いわけです。
Y コツコツコツコツ……コツコツコツコツ……コッツン、コッツン……???……コンコン。
ズル引きの感触の変化から半信半疑でスラックを巻き取り、でも確信のアワセはまだ入れられずにそーっと聞いてみると、明確なバイトに変わった。
奇妙な念仏を唱えつつフランカーでバチコーンとアワセを決めたY
Y そうか、あの時点で食ってたんだ。うう〜引く、たまらん!
ドライブクロー3inで40㎝アップをキャッチ。「このサイズを遠くで掛けるとその後のファイトが長時間楽しめるから最高です」とY
草深 いきなりの40㎝アップじゃないですか! 掛かりどころもバッチリです。
Y あざ〜す。ヘビキャロ、楽しいです!
草深 今、ちょうど風が吹き始めたんでまだまだ食いそうですよ。やっぱり風が吹いた直後は水が動いてベイトも動くからバスにスイッチが入りやすいんですよ。でもボートがちょっと動いちゃったんで修正します……ん?(と言って即座にボート横に軽くキャスト)キタ!
「移動しま~す」と言って生徒ふたりにリグを回収させた直後、サイドイメージを見ながら「ん?」と言って即キャスト、即ヒットを演じた草深先生
「ごめん、食っちゃった(笑)」
A マジっすか……。
ドライブシュリンプ4in(ゴーストシュリンプカラー)でキャッチした草深先生の2尾目は、まさにアフター回復系。45㎝=1300g のナイスフィッシュだった。
「70㎝リーダーとドライブシュリンプ4inの相性は抜群です!」と草深先生。ヘビキャロはアフターの魚に効くことを45㎝のナイスサイズで実証してみせた草深先生と、その背後で物欲しそうに魚を凝視するA
草深 ボートを動かそうとしたらすぐ横にも沈み物があったから、思わず投げちゃいました(笑)。
Y 魚探掛けしながら、何かがあれば投入というのが本来の使い方ですもんね。
Yもグッドコンディションをキャッチ
草深 そうそう。ヘビキャロに反応がなくてもクランクベイトを通したら食うこともあるしヘビダンなら食うこともある。その逆で、ヘビキャロならではのダイレクトな操作性+ノーシンカー状態の食わせじゃないと口を使わないときもある。
A シンカー以上の重み……シンカー以上の重み……シンカー以上の重み……。
Y ん、何をブツブツと?
A シンカー以上の重み!
念仏を唱えながらスラックを巻き取り、バチコン! とアワしたAのハリアーが曲がる。かなり遠投していたので、遠くでバスがジャンプする。跳ねさせまいとロッドを下に向けてグリグリとハンドルを回すA。
草深 ロッドは立ててください。ファイトも強引すぎます。ヤバいと思ったらクラッチを切って!
いろいろなダメ出しをもらい、軽くパニックになりつつも草深先生がハンドランディングしてくれ、ホッと胸を撫で下ろすA。
置いてきぼりを食らっていたAも草深先生と同色(ゴーストシュリンプ)のドライブシュリンプに交換した途端にヘビキャロ特有のバイトを察知。やり取りに数々のダメ出しを食らいつつもハンドランディングしてもらうことに成功
A あざ〜す。もしかしてキャロってバレやすいんですか?
草深 そんなことはないです。むしろ、バスの口元に重みが乗ってしまうフットボールジグなどと比べれば首振りで飛んで行ってしまうこともありません。ただ、ヘビータックルだからとゴリゴリ巻いてしまうのはNG。さほどバルキーではないワームを扱うためフックも細軸ですから伸ばされてしまいかねないし、フックが貫通している穴が広がってバレてしまうこともあります。
草深 メインラインは14Lbでもリーダーは8とか10Lbなんで大型が突っ込んだ際も瞬時にクラッチを切って対処しないといけません。あと、バスが跳ねたときにロッドを下に向けていましたが、あれはボート際まで寄せたときじゃないと逆効果になります。魚が遠いときにはロッドを立てたほうが魚は下に向かいます。
A なるほどです。
「今度はシンカー以上の重みでした!」
草深 あれ、これプリの魚ですね。長さはヤマガタ君の魚のほうがあったけど、重さはアマノさんの魚のほうがありますね。
A それにしても、たしかに不明瞭なバイトでした。3/4ozのタングステンシンカーだから遠投してもまあまあボトムの質感を伝えてくれていたものがボケる程度。その変化がバイトなんですね。
草深 そうです。だからズル引きの感覚を鮮明に伝えてくれるタックルが必要になる。そうじゃないとかなり曖昧な釣りになりますから。
その後、岸寄りのハードボトム+ストラクチャーでYが1尾追加。
草深 優秀ですね〜。このペースなら船中10尾イケそうです。サイズは……そうだなあ、この時期のマックスの1800g をねらいましょう!
食わせを重視か、リアクション重視か
その後は江川の浚渫跡で草深先生が1尾を追加。これで船中6尾目。
A 先生、ショートリーダーの釣りを試してもいいですか?
草深 もちろんです。今日のこれまでの感じだと、やっぱりアフターの魚なんで止めからのゆっくりとしたフォールや放置で口を使う感じは否めませんが、違うタイプの魚に効く可能性はあります。
Y 食わせではなくリアクションで口を使わせるってことですね。
草深 そう。だから操作もズル引きよりも、しっかりとシンカーを浮かせてから勢いよくフォールさせます。するとリーダーが短い分、ワームはシンカーの動きに同調して素早くフォールします。けど、着底後に止めを入れればノーシンカー状態は作れます。でも、そこで漂わせるくらいならショートリーダーにする意味がないので、キレのあるダートをするようなワームが合いますね。
A じゃあ、ドライブスティックのスペック2にしよっと。
草深 いいと思います。塩の含有率が低い低比重モデルなので適度な浮力があり、引っ張ったときもテンションを抜いたときもキレのあるダートをしやすいですから。
川村光大郎先生のバックスライド道場以来、すっかりドライブスティック信者になっているAは、釣れる気マンマンで40㎝のショートリーダーを操作するとサイズは小さいものの呆気なくヒット。
Aはドライブスティック3.5inスペック2で2尾を追加。ショートリーダーのリアクションの釣りが性に合っているのか、いい手応えのバイトも捉えたが、ラインチェックを怠り痛恨のラインブレイク。は、反省します……
草深 これはズル引きでは食わない魚ですよ。ヘビキャロってリーダーの長さを変えたり誘いを変えることで拾える魚がいるんですよ。
すっかりリアクションの釣りが気に入ったA。次のキャストでも、ボート際まで探ったところでバイトがあった。すぐさまスラックを巻き取って大アワセを入れたが、ラインブレイク……。
A ああ、やってもうた……。
草深 ここは浚渫跡だけじゃなく、その周囲も起伏のある地形ですからスイベルの前のメインラインやリーダーにキズが入りやすい。ましてやリアクションで跳ね上げる動作を入れるとより深いキズが入る可能性があるので、1投ごとにラインをチェックして、少しでもキズがあれば交換するのが鉄則です。
A ああ、けっこうキズだらけでした。反省……。
午後から一発大型ねらいのために霞ヶ浦の恋瀬川河口まで大移動するも、Aのショートリーダーによる小型を1尾追加したのみ。
草深 船中8尾になりましたね。でもだいぶ風が強まってきたなあ。あと2尾、それもデカいの1尾入れてエンディングを迎えたいですね。
A 先生の45㎝も充分にデカいですけどね。
霞ヶ浦が本気で荒れる前に最後の勝負。草深先生が選んだラストスポットは古渡(ふっと)の浚渫跡だった。ウネリに大きく揺れるボート。ライトリグの繊細な釣りはかなりやりにくいはずだ。しかしヘビーリグの繊細な釣りならできる。それを証明するべく、無言でサオ先に神経を集中していた草深先生から「食ったよ」の声。1/2ozシンカーでドライブシュリンプ4inを操作していたフランカーがバットからブチ曲がった!
そして最後にドラマが起こる。主役はもちろんこのヒト。朝から公約のように掲げていた「3人でふた桁、もしくは1800g級のビッグフィッシュ」という目標を本当に手繰り寄せたのだ
草深 これはいい魚だよ!
下アゴをがっちりと掴んだ瞬間、草深先生の表情は完全にイっていた。ちなみに2013年2尾目の50cmオーバーであり、いずれも取材中というからモッテイル
下アゴをしっかりと掴んでデッキ上にランディングしたのは、見事なまでの体高と巨大な口、太く逞しい尾ビレを備えた52㎝のビッグワンだった! 52㎝=1800g。見事な体高、素晴らしい面構えのアフター回復系が沖の浚渫跡に潜んでいた。この取材の翌日、AとYがゴーストシュリンプカラーのドライブシュリンプ4inを買いに走ったのは言うまでもない
草深 ブレイクの上に乗っていた魚ですね。根掛かりのように動かなくなくなって、でも聞いてみたら根掛かりとは違うんでアワせたらこんないいバスでした(笑)。しかも、1800g ジャスト。目標達成ということで荒れる前に帰りましょう(笑)。
A いやあ、ヘビキャロの威力をまざまざと見せてもらいました!
Y 正直、目からウロコの道場でした。勉強になりました!
類まれなるボトム感知能力と違和感なく口を使わせる食わせ能力を備えたヘビーサウスキャロライナリグ。アフターの魚に効くのはもちろんのこと、これから初冬まで長期に渡って出番があるという。「昔はよくやったけど最近はあんまりやってないなあ」という方も「ライトリグばかりでヘビーリグはテキサスオンリー」という方も、ぜひ、理に適った「今のヘビキャロ」をお試しあれ!
青木大介×草深幸範×伊豫部健
バサーオールスタークラシック2015年激闘の記録!
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「the another Dimension」
Basser ALLSTAR CLASSIC 2015 DVD-105分
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2016/06/22