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編集部2016年6月19日

草深幸範のヘビキャロ道場 :第4回(全5回)

Basser バス釣り

カスミでの釣りはショアライン沿いのカバーねらいが大半で、 取材でも沖の釣りを見る機会はほとんどない。 だからこそ、AもYもヘビキャロに興味津々。 教えて、草深先生!!

いよいよ湖上で実践レッスン。まずはキャスト、ズル引き、アワセを覚えよう

キャスト、ズル引き、アワセをマスターしよう

編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト


カスミでの釣りはショアライン沿いのカバーねらいが大半で、 取材でも沖の釣りを見る機会はほとんどない。
だからこそ、AもYもヘビキャロに興味津々。 教えて、草深先生!


編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ! ノ※この記事はBasser2013年8月号に掲載されたものを再編集しています

arai 講師=草深幸範(くさぶか・ゆきのり)
草深幸範先生のfacebook

1976年8月生まれ、東京都出身、東京都在住。2012年、W.B.S.のAOYを獲得。プロクラシックとスーパースリーデイズをすでに勝っていたため、同団体の3大タイトルを制覇してグランドスラマーとなった。その原動力は「沖の釣り」と「ヘビキャロ」。2005年のオールスタークラシック(霞ヶ浦大会)では3位入賞とビッグフィッシュ賞をダブル受賞してもいる。

murakawa 生徒=ヤマガタ
「ソフトベイトをダイレクトに操作できないし、アタリがわかりにくいからキライ」という理由で、キャロはほとんど食わず嫌い状態だったが、この道場取材で威力を実感。2015年10月号の遠投特集記事の取材では草深先生にオカッパリでの追加講習を受け、さらに釣らせてもらいご満悦。現Basser編集長。 (fujisan.co.jpにてBasserの定期購読を申し込むとデジタル版のバックナンバーが2年分以上読み放題になるサービスを実施中です!)


murakawa 生徒=アマノ
1キャロ=エサ釣りではポピュラーな中通しオモリ仕掛け。ハゼ釣りや、ソルトルアーのアジング、メバリングではよくやりますが、ヘビキャロでバス……となると、前世期まで遡るくらい昔で、その記憶は忘却の彼方。というわけで今回は生徒役を志願した次第。現ルアーパラダイス九州編集長。

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ヘビキャロとは……フックの前方にリーダーを介してスイベルとシンカーをセットしたものをキャロライナリグと呼ぶ。そのうち1/2ozなどの重めのシンカーをセットしたものがヘビーキャロライナリグ。遠投性とボトム感知能力が高く、シンカーとワームが離れているのでノーシンカー状態を作り出せるのが強み
 

今も昔も基本はズル引き

関東地方は梅雨入り宣言と同時に茹だるような暑さの快晴が続き、当日も朝から快晴。
洲ノ野原のスロープから出て最初に向かったのは牛堀の浚渫跡だった。


kusa06草深 今回は〝昔のヘビキャロ〞ではなく〝今のヘビキャロ〞を体感してもらいたいのでタックルはこちらで用意しました。まず、シンカーは1/2oz(14g)と3/4oz(21g )をメインに使います。3/8oz(11g )も使いますけど頻度でいえば圧倒的に3/4ozが多いです。3/4ozシンカーを扱うならロッドはヘビーアクションのハリアー、1/2ozシンカーならミディアムヘビーのフランカーがマッチします。リールはどちらもスティーズSV6.3を用意しました。※2013年当時のセッティングです。2016年現在の草深先生のタックルは第2回で紹介しています

amano03 じゃあボクはハリアーのセットを使います。うわ、軽! 7ft1inのヘビーアクションのロッドとは思えませんね!


y6 じゃあボクはフランカーで……なんじゃこの軽さは!




kusa03草深 リールが150g で、ロッドはさらに軽いから組み合わせるととんでもなく軽いでしょ(笑)。軽さは感度につながるし、ヘビーなリグをタテ捌きする釣りですから、余計にこの軽さと感度が武器になる。ヘビキャロ用のロッドは長くて硬いことが絶対条件になるから太くて重いことが多かったんだけど、今はまるで違います。細くて軽い。でも強い。


06今回はロッドもリールもスティーズをレンタル。Yはミディアムヘビーパワーのフランカー、Aはヘビーパワーのハリアーを使用。リールはともにSV6.3。ふたりともその軽さと使い勝手のよさに舌を巻いた

y3 それが昔のヘビキャロとの大きな違いなんですね。




kusa02草深 うん。座学編では浮力のある低比重ワームを長く漂わせたいときはロングリーダー、ズル引きではなくシンカーをスピーディーにバンピングさせるリアクションの釣りにはショートリーダーがマッチすると教えましたが、まずは基準の70㎝リーダーでやってみてください(図A参照)。


zuA図A

Aはドライブシュリンプ4in、Yはドライブクロー3inをセットしてさっそく釣りを開始。

y4 とりゃ! おお、たしかにストレスフリーで気持ちよく飛びますね。サミングなしてもバックラッシュしません。


kusa02草深 うん。SVのよさはフィネスの釣りに注目が集まっているけれどバーサタイルですからヘビーリグの釣りでも最高に使いやすいです。


amano04 とりゃ! あっ……。




y1 あ……バックラッシュしないリールでバックラッシュしてる……。




kusa02草深 まあ、ロングリーダーで投げにくいですからね。シンカーまでのタラシは10㎝くらいにして、その下のリーダーやワームはあんまり気にしないで、ややテンプラ気味に投げるといいですよ。


amano03 了解です……。




ロングリーダーによる投げづらさで最初は何度かバックラッシュしたものの、数投するうちにコツを掴んだようすのA。

草深先生流ヘビキャロのキャスト

①シンカーまでのタラシは10㎝くらい。その先のリーダーやワームなどは意識せず、そのままやや後方まで振り上げる。最初から後方でロッドを寝かせる剣道の面打ちのような動作ではなく、しっかりとテイクバックすることで背後のロッド、シンカー、ワームを空中で直線にするイメージ

②リグの重みをブランクに乗せたら、通常のリグやルアーを投げるときよりもほんの少しリリースのタイミングを速くして、ややテンプラ気味にキャストする。リーダーを意識しすぎたり、リリースのタイミングが遅いと水平ライナーになって飛距離が出なかったりバックラッシュしやすい

③まるで力むことのないフォーム。ロングリーダーでもトラブルなくキャストが決まっていた。リーダーがあるので最初は戸惑うが数投もすれば慣れるはず。ただしロッドは7ft以上のロングロッドが扱いやすい


amano06 先生、カスミのヘビキャロ=沖の浚渫跡という図式をよく耳にしますが、なぜですか?


kusa04草深 基本にあるのはバスがハードボトムを好む魚だからです。泥底の柔らかいボトムは好まない。砂利を採掘するための浚渫ですから、もともと泥底ではない場所ですし、これ以上は掘れない硬さの岩盤まで掘られたところが浚渫跡ですから、まさにハードボトムなわけです。


y3 硬いうえに壁があってストンと水深が変わる変化があって、そこにベイトがリンクするならバスが好んでつくのも頷けます。


kusa05草深 だから昔のカスミでは沖の浚渫跡が絶対に外せなかったんだけど、水質の悪化やバスの個体数の減少、それに取って替わるように増えたキャットフィッシュの影響などで、本当に釣れなくなってしまった。


amano03 今やカスミといえばショアライン沿いのカバーを探る釣り場というイメージが強いです。


kusa05草深 まさしくそのとおりで、カスミの釣りが一変してしまってもう10年近く経っています。でもここ最近、水質や水位の変化なのか、確実に沖で釣れるバスが増えています。それに伴い、このヘビキャロの有効性が改めて見直されています。


amano06 なるほど。では基本の釣り方を教えてください。




kusa04草深 昔も今もズル引きが基本です。ただ、昔はド遠投して広範囲を探る釣りだったものが、GPSやサイドイメージが進化したため、ねらいどころがかなり絞れています。釣れる確率の低い場所まで遠投する必要はなく、1投でブレイクの上も下も探れるような効率のよいコースをショートディスタンスから探っていきます。


kusa04草深 広いフラットに一畳分の露出した岩盤などのハードボトムがあったとしたら、その角々を正確に探れるほどの精度がありますから、あんまり離れた場所にルアーを落としても効率が悪い。ほんの少し離れた場所に落として、ズル引いたときにシンカーから感じる底質の変化で「核心部に来たな」と察知したら、ズル引きを止めます。


kusa02草深 そして、核心部の中でも引っかかりがあるたびに止めて食わせの間を作ります。逆に、明確だった硬い感触が抜けることがある。これはシンカーが宙に浮いた状態なので、つまり急激に水深が深くなったことを意味しますから、すぐに立てていたロッドを前にしてラインを送ります。張ったままだとカーブフォールしてブレイクの際という、これまた核心部をスルーしてしまいますから。


y3 変化を感じたら手前に引かずに止めることが大事なんですね。
18魚探やサイドイメージがなくてもボトム感知能力に長けたヘビキャロの特性を活かせば地形変化を探り当てることはできる。当日も短時間ながらオカッパリをして、ドックから延びるミオ筋を感知。基本動作はボートからでもオカッパリからでも同じだ

kusa02草深 そう。シンカーは重いんだけど、食わせるワーム自体はノーシンカー状態なのがこの釣りのキモです。そのワームの持ち味を最大限に引き出せるのがノーシンカーであり、それを可能にするのが止めです。


amano03 遠くても深くても多少荒れていても操作しやすくノー感じとはならないヘビーリグなのにライトリグ並みの食わせの力があるんだ。


kusa02草深 そういうことです。もちろん、みんながみんな湖の地形を熟知しているわけでも高精度の魚探やGPSなどを持っているわけでもありませんから、ボトムの感知能力を活かして遠投して広く探るという使い方もできます。便利なリグですよ。


y3 しかも季節は6月上旬。まさに産卵明けの魚をねらうわけで、ガンガンと追い回すほどのコンディションでもないから止めが効くし、吸い込む力も弱いからラバージグやテキサスリグだと重みがジャマをしてしまうけど、ノーシンカーなので弱いバイトでも吸い込みやすいんですね。


amano03 先生、バイトはどんな感じでしょうか。ボトムをサビく釣りらしくプルプルでしょうか。それともコンッという金属的なバイト?


kusa05草深 どれも違いますね。基本、そういった明確なバイトは感じられないことが多い。とくに遠くで食わせたときはそうです。


y3 コツ……程度のショートバイトですか?


kusa02草深 そういう音で表現しにくいのがヘビキャロのバイトです。昔よりショートディスタンスになったとはいえ、ダウンショットやネコリグやテキサスでねらうよりは遠くで食わせることが大半ですから。ボトム感知しているのはあくまでもシンカーであって、そのシンカーが何かに当たって止めてしまえばリーダーは必ずしもピンとは張れていません。


kusa04草深 だから食わせが効くんですけど、もしかしたら居食いをしているかもしれないし、ワームを咥えたバスが横や手前に泳いでいるかもしれない。その状態でまたズル引きを開始すると、居食いをしていればシンカーがそれまでのようには手前にズル引けなくなる。ズル引いているつもりでも実際はラインが張ることでシンカーが上に浮いてしまうかもしれない。あらぬ方向に泳いでいれば、ズル引きの途中でシンカー以上の重みが加わるかもしれません。


y3 なるほど……。




kusa04草深 それまで感じていたシンカー以上の重みが加わったり操作する感覚の微妙な変化だったりが、ヘビキャロ特有のバイトといえます。もちろん、金属的な明瞭なバイトが出ることもありますけどね。


amano01 なんか難しそう……。




kusa04草深 ティップが入りすぎる感度の悪いロッドだと何が何だかわからないですよ。だから軽くて感度のよいタックルじゃないとやりきれません。


y3 シンカー以上の重みを感じるということはロッドをタテ捌きでズル引こうとしたときに察知するわけですよね?


kusa02草深 そう。止めたときに食って、でもそのときはラインテンションを抜き気味にしているから食った瞬間を察知することは難しい。シンカーをズル引こうとしたら、魚が食っているものだからシンカーが手前に来ず、ラインが張ることでシンカーが上に浮いたり、それまでとは引き感が変わる感じ。それは根掛かりのときとも似ているんだけど、表現するならやっぱりシンカー以上の重みが加わる、だね。


amano03 アワセは?




kusa04草深 バイトを察知したら、そのままロッドを前に倒しながらスラックを巻き取り、ロッドを立ててのけ反るようにアワせますね。わざわざロッドをヨコに寝かせてスイープにアワせることはありません。


草深先生流ヘビキャロのアワセ

①バイトはおもに止めていたリグをズル引こうとした際に察知できる。それまでになかった重みや感覚が伝わったら上にタテ捌きしていたロッドを止める

②ゆっくりとロッドを前方に倒しながらラインスラックを巻き取る

③リールを胸の上に引きつけながらロッドを斜め後方まで立てることで、遠くで食わせた魚にもしっかりとフッキングのパワーを伝える
 

 
  

2016/06/19

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