2012年のJB TOP50さめうら湖戦。優勝した山岡計文さんのメインパターンはミッドストローリングだったが、同船取材した記者は水面ピクピクに次々とバスが沸いてくる衝撃的なシーンを目にした。「水面はバスにとって特別な場所」という山岡さんに、夏の水面をバスのバイトで弾けさせる方法を聞いた。
先入観を捨てることがトップウォーターで釣るためのコツ
Basser編集部=写真と文
カバー×スイムジグの魅力
皆さんこんにちは。Basser編集部きってのカバー馬鹿、タニガワ”バンクビート“シュンスケです。
今月発売の『Basser』では、O.S.Pが放つ第6のジグ「ジグゼロ6・スリッパー」を紹介しています。製品の詳細や特徴、開発者の麻生雅之さんによる解説はこちらを見ていただくとして、ここではワタクシが実際に使って感じたことを書きます。
スリッパーは対カバー、それも利根川の本流にあるような込み入ったブッシュを攻略するためにデザインされています。そのため、スナッグレス性能の高い強めのブラシガードや、トレーラーをがっちり固定するためのキーパー&ペグホールドなど、カバーを快適かつトラブルレスに攻めるための工夫がなされています。
O.S.Pが放つ対カバー用スイムジグ「スリッパー」。バスが横方向の動きに反応しやすい今がまさに旬! トレーラーにはドライブシャッド4~4.5がベストマッチ。ジグ本体もトレーラーもピンクやホワイト、チャート系の視認性に優れたカラーがおすすめ
そしてこの釣り、何が素晴らしいかって、とにかく楽しいんです。カバーの奥までスキッピングでスリッパーを入れて、ルアーが見えるレンジを引いて、バスが白い横腹を見せながらバイトして、思いっきりフッキング。つまり「キャストを決める、ドキドキしながら巻く、興奮のバイト、全力フッキング」というバス釣りの魅力を詰め込まれているんです。
しかも、釣れるんですこれが。将監川・長門川の釣行は4時間くらいしかできなかったのですが、それでも3バイト1フィッシュ。1尾は抜き上げでポロリ。1尾はフッキングミス。キャッチできた1尾は40㎝くらいのナイスコンディションでした。へたっぴなボク的には大満足の結果です。
攻めたのは込み入ったカバー。4時間ほどこんなカバーにジグを突っ込み続け、引き続けてもロストゼロ! キャストミスで空中のカバーに巻いてしまったことを除けば、回収に行った回数もゼロでした
「スリッパー+ドライブシャッド」でスキッピングが自由自在!
では、スリッパーの具体的なインプレをば。
まず、その名のとおりスキッピングがめちゃくちゃしやすいです。キモはヘッドとトレーラーにあります。ヘッドは比重の低いビスマス合金で、しかも平たいフィッシュシェイプ。つまり、比重の高いタングステン素材に比べて同じ重さでも体積が大きいため、水面に突っ込みにくいんです。トレーラーチョイスもかなり大事で、大きくて丸っこいものほどスキップしやすいです。
この日はドライブシャッド4inを合わせました。もちろん、シャッドテール系以外のトレーラーもアリですが、スキップのしやすさで言えば「シャッドテール>ホッグ系>チャンク・ポーク系」となるかと。また、同じシャッドテール系でも、ボディーがリブタイプのものよりも、ドライブシャッドのような表面がツルっとしたもののほうが、スキップの距離が伸びると感じました(リブタイプは水に食いついてブレーキがかかる感じがする)。
麻生さんも言っていましたが、スキップは「ビシャビシャビシャ」という水面の波紋が大きいパターンよりも「ピピピピピ」というパターンが理想です。ビシャビシャ系のスキップでは、1度もバイトが出ませんでした。これは将監川のようなプレッシャーがかかったフィールドでは顕著な傾向だと思います。スキップ音がアピールになることもあると思いますが、バスがスレているフィールドではマイナスになることもあるはず。
なので、カバーと水面の間に空間があれば、スキップさせずに低弾道なピッチングやサイドハンドキャストで奥までルアーを入れたほうがよいこともあるはずです。そもそも、風などで水面が荒れてしまうとスキッピングが極端にしづらくなってしまうので、低弾道キャストを習得すればもっとバスが釣れるようになると感じました。というか、釣りを始めて早い段階でそのように次のステップのことを考えてしまうほど、「スリッパー+ドライブシャッド」の組み合わせはスキッピングがしやすかったです。
なにより、スキップさせなければトレーラーも長持ちしますし、ブラシガードが広がってそこにスカートが巻き込まれるといったことも軽減されてジグ自体の寿命が長持ちするので、そういう意味でも「スキップさせるか、させないか」を使い分けられることは重要かと。
将監川のようなプレッシャーがかかった釣り場では、ジグのウエイト5gにドライブシャッド4in、利根川本流などは7gのジグにドライブシャッド4.5inの組み合わせを基準にして、あとは水の濁り具合や巻きスピードに合わせてヘッドウエイトやトレーラーのサイズ、種類を調整していけばいいと思います。
キーパー&ペグホールドでトレーラーをがっちり固定できます
使い込むとこんな感じになります。ガードが広がりスカートが巻き込まれることが多くなるので、気になる人は広がったガードをカットしましょう。タニガワはスリッパーを4時間使い倒し、広がったガードを3本カットしましたが、将監川のカバーではカード力が不安になることはなかったです。ちなみに、ペグホールに爪楊枝を刺して使用すれば、このように使い込んでもトレーラーがまったく後ろ側にズレません。本当に感激。写真のようにフックとの接点部分が避けてきてトレーラーが寿命を迎えます
キャストとタックルに関して
7gのスリッパーにドライブシャッド4.5inをセットしたものの総重量は23.7g(編集部計測)。僕が使っていた5gのスリッパー+ドライブシャッド4inの組み合わせでも総重量はそれなりにありますので、キャストはピッチングよりもサイドハンドキャスト(両手でロッドをホールドするキャスト)がおすすめです。チョイ投げではなくカバー最奥に滑り込ませるための鋭いロッドの振りが必要になるので、手首がよほど強い方でないと、ピッチングで1日はやり切れないと思います。
サイドハンドキャストがメインになると、ロッド選択が少し難しくなります。ピッチングのようなロッドを曲げないキャストならガチガチのヘビーパワーのロッドでいいかもしれませんが、硬いロッドでサイドハンドキャストをするとルアーが左方向に飛んでしまうため(身体の右側から振った場合)、ある程度曲がるロッドが使いたいところ。それでいて、強いブラシガードのついたジグをカバー内でフッキングするパワーも必要なので、悩ましいです。
個人的には、6ft5inのミディアムヘビーパワーくらいがいいかなと感じました(レンタルボートの場合)。バスボートはもう少し足場が高くなるので、6ft8inくらいのほうがフッキングストロークが確保できると思います。もし硬いヘビーパワーのロッドを使うなら、レギュラーテーパー寄りの、全体が曲がるロッドがいいと思います。
リールに関しては、エクストラハイギア×左巻き(右投げの場合)が断然オススメです。フッキング時のラインスラックの巻き取りや掛けてからの取り込みの速さを考えると、ギア比はハイギアに越したことはないと思います。巻き抵抗があるルアーではありませんしね。
そして、右投げの人は左巻き、つまりキャスト後に持ち替えをせずにリーリングが開始できるリールのほうが、着水直後からルアーを泳がせることができます。
キャストに関してもう1点。リールのブレーキは強めがいいです。この釣りはカバーに滑り込ませた直後からすぐ横方向に泳がせて、バスに反射食いさせるのがもっともベーシックな使い方だと感じました。つまり、たとえうまくカバー奥にルアーが入っても、バックラッシュをしてしまってはそれを直している間にルアーがボトムに沈んで、リアクション効果が薄れてしまうと思うのです。かといって、ラインが浮いた状態で無理やりリーリングしても、ラインがスプールでキンクして、ラインブレイクの原因になってしまいます(とくにフロロの場合)。
よって、慣れるまではブレーキを強めにして、ライントラブルをできるだけ回避したほうが釣果につながると感じた次第です。そもそもサイドハンドキャスト(両手)ならスイングに力を込められるので、多少ブレーキが強くてもカバー最奥までルアーを届かせることは充分可能かと思います。
繰り返しますが、スリッパーを使ったカバー攻略、最高に楽しいです。「カバーにバスがついているけど、テキサスやノーシンカーなど縦方向の誘いに反応がないな」と感じたときは、スリッパーをぶち込んでみてください!
■使用タックル
ロッド:ロードランナー・ヴォイス650MH(ノリーズ)
リール:タトゥーラSV TW 8.1L(ダイワ)
ライン:シューター16Lb(サンライン)
ロードランナー・ヴォイスの650MHはキャストで全体がしっかり曲がるミディアムヘビーパワー。スリッパー5g+ドライブシャッド4inの組み合わせだと、キャストは極めてしやすいです。ただ、その分「ガチーン!」というフッキング時の掛け感ではないので、もう少し硬いロッドのほうがフッキングは決まるかなと思いました。これはカバーの濃さやアプローチの距離、ラインの太さ(伸び)も関係してくるので一概には言えません。あくまで個人の感想です。ダイワのSVを搭載したリールはとにかくトラブルが少ないので、スキップを多用するこの釣りには最適だと思いました。ラインの巻き量をスプールの半分(「ハーフライン」と呼ばれる線がスプール内側面にある)に抑えると、近距離のピッチングや低弾道サイドハンドがかなりやりやすくなります。
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今号では、日本人選手たちが目覚ましい活躍を見せた2019年B.A.S.S.セントラルオープンを振り返り、彼らの戦いぶりや来期への展望などをまとめています。
すでにB.A.S.S.オープンに出場していた加藤誠司さん、伊豫部健さん、木村建太さん、松下雅幸さんに、今年がルーキーイヤーの伊藤巧さん、青木大介さん、北大祐さん、片岡壮士さん、北嶋一輝さんを加えた9名の日本人参戦は史上最多。それぞれ環境も立場も違う日本選手たちは、何のために海を渡り、そこで何を見て、何を感じたのか。参戦初年度でエリート昇格を果たした伊藤巧さんの躍進の理由や、これから待ち構えている試練、師匠である田辺哲男さんから託された言葉などに迫ります。
また、クライマックスを迎えた国内の主要トーナメントレポートも充実。JB TOP50では超新星・藤田京弥さん、TBCでは利根川の帝王・沖田護さんの最終戦に編集スタッフが密着取材。彼らの圧倒的な強さの秘密や、年間タイトル獲得に至る激戦の模様をお届けします。
2019/11/01