スモールクランクと言ってもただ巻くだけではもったいない。 リフトさせたり、トゥイッチさせて浮かせたり、 バスに口を使わせるあの手この手を美津男先生が伝授!
ただ巻くだけでなくさまざまなアクションを駆使してバスを誘うことができるスモールクランク。詳しい使い分けは本文をチェック!
実践で学ぶ、スモールクランクのアクションバリエーション
編集部=写真・文、 もりなをこ=イラスト
スモールクランクと言ってもただ巻くだけではもったいない。 リフトさせたり、トゥイッチさせて浮かせたり、 バスに口を使わせるあの手この手を美津男先生が伝授!編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2013年7月号に掲載されたものを再編集しています
講師=鈴木美津男(すずき・みつお)
鈴木美津男先生のfacebook
1959年11月29日生まれ。東京都出身、茨城県在住。TBCでクラシック優勝4回、AOY獲得1回、レギュラー戦優勝多数の戦績を残すベテランアングラーで、“利根川親父”の異名をもつ。ハードベイトオンリーのバストーナメント「H-1グランプリ」の発起人でもある。もちろん自身もハードベイト使いで、2012年の鋼派とTBCクラシックをスモールクランク・クラッチDRで制した。本職は和菓子職人。茨城県取手市で伊勢屋を営む。
生徒=ヤマガタ
山形県出身。現Basser編集長。かつては巻きモノのバラシ癖が直らず、ハリが小さいからバレやすそうという理由でスモールクランクに苦手意識をもっていた。しかし、この取材でその威力を実感したため、スモールクランクにも対応するBasser30周年記念モデルのロッドを現在鋭意制作中。
生徒=ササキ
2012年の「H-1グランプリ」で年間優勝の幸運に恵まれる。スモールクランクは、「かわいいし、小さいバスもたくさん釣れるから」という理由で大好き。この道場以来、「ヤバい、デコりそう」というときには自然とクラッチDRに手が伸びてしまう身体になってまったという。
スモールクランクベイトとは……丸みを帯びた形状が特徴のプラグ、クランクベイトのうちボディーサイズが小さいもの。口を使わせやすい反面、アピールは弱いため、バスの居場所が絞り込めている場合など狭い範囲をねらうのが効果的
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1959年11月29日生まれ。東京都出身、茨城県在住。TBCでクラシック優勝4回、AOY獲得1回、レギュラー戦優勝多数の戦績を残すベテランアングラーで、“利根川親父”の異名をもつ。ハードベイトオンリーのバストーナメント「H-1グランプリ」の発起人でもある。もちろん自身もハードベイト使いで、2012年の鋼派とTBCクラシックをスモールクランク・クラッチDRで制した。本職は和菓子職人。茨城県取手市で伊勢屋を営む。
生徒=ヤマガタ
山形県出身。現Basser編集長。かつては巻きモノのバラシ癖が直らず、ハリが小さいからバレやすそうという理由でスモールクランクに苦手意識をもっていた。しかし、この取材でその威力を実感したため、スモールクランクにも対応するBasser30周年記念モデルのロッドを現在鋭意制作中。
生徒=ササキ
2012年の「H-1グランプリ」で年間優勝の幸運に恵まれる。スモールクランクは、「かわいいし、小さいバスもたくさん釣れるから」という理由で大好き。この道場以来、「ヤバい、デコりそう」というときには自然とクラッチDRに手が伸びてしまう身体になってまったという。
スモールクランクベイトとは……丸みを帯びた形状が特徴のプラグ、クランクベイトのうちボディーサイズが小さいもの。口を使わせやすい反面、アピールは弱いため、バスの居場所が絞り込めている場合など狭い範囲をねらうのが効果的
ボトムコンタクト時の鉄則とは?
根木名川上流へ流しながら、リトリーブスピードやロッドの構え、握り方などを教わったYとS。
美津男先生のロールキャスト
手返しのよさと正確性が両立するキャスト方法だと美津男先生。タラシは30㎝ほどと長めにとるのが軽いスモールクランクを投げるときのコツ
しかしふたりにはまだまだ疑問が……。
S 美津男先生、質問です。「みんなコレで釣れてるから」っていう理由で、クラッチDRばかり投げちゃってるんですが、もっとローテーションしたほうがいいんでしょうか? たとえばこのストレッチはボートポジションで水深80㎝と浅いので、クラッチMRにするとか、LC RTO0.7にするとか。
鈴木 潜行深度でというより使い方を基準にローテーションすることが多いかな。イラストAみたいな感じ。
イラストA
適合モデル例とひと言解説
①クラッチDR→スモールクランキンの基本動作
②モデル問わず→ピックアップ時のチェイスがあれば試すべき
③クラッチMR→バスが小魚を追い回している状況で効く
④ファットCB B.D.S.1.2、LC RTO0.7、1.0→カバーの表層攻略に
S なるほど〜。でも、こんなにアクションバリエーションがあると迷っちゃってイヤです。どれかひとつに決めてください!
鈴木 無茶言うな〜。一番出番が多い、っていうかスモールクランクの釣りではほぼ必ず実践するのは①。リトリーブスピードにかかわらず、ボトムや障害物にコンタクトした直後に浮かせるパターン。根掛かりしにくくて、なおかつフローティングのスモールクランクにしかできない芸当だよね。なかでもクラッチDRは、リップが長いからスナッグレス性能が高くて、なおかつお尻を振りながらのスローな浮き上がりでバイトを誘発しやすいというメリットがある。
美津男先生はルアーをLC RTO 0.7にチェンジし、シェードが絡むウッドカバー際の表層でトウィッチを試みた。チョンチョン→ フ~ッ(浮上)→ チョンチョン→ フ~ッのあとは通常のリトリーブでOK
S ロングリップだからといって深場をねらうわけではないんですね。
鈴木 そう。とにかく、「何かに当たったらラインを緩めて浮かせる」っていうのは鉄則! 大事なのは、沈み物ではなくて、ただのボトムにコンタクトしたときも浮かせること。そのまま巻き続けると、クランクがボトムを小突きながら左や右に突進しちゃって制御不能になるからね。
ラインとロッドの角度は130度。リトリーブ時にルアーの抵抗で適度にティップが入り、バイトを乗せやすく、またクランクが何かに当たったときの感触をキャッチしやすい角度だ。この角度が0度なら、バイト時にティップが入らないのでミスバイトになりやすく、また障害物にコンタクトしたときの当たりが強くなり根掛かりに繋がる。逆に90度なら、巻いている状態ですでにティップが入り切っているので、やはりバイト時にロッドが曲がらずバイトを弾いてしまう。また、ロッドは下構えでも上構えでもOKだが、美津男先生は写真のようにティップを水面に向けることが多いという。意図的なリフト(イラストA②)を入れやすいからだ
Y ポーズは何秒くらいですか?
鈴木 1秒くらいかな。そのあとの巻き始めが最大のバイトチャンスだよ。もうひとつ出番が多いのは②。意図的なリフトだね。
S これはどういう状況で繰り出せばいいんですかね?
鈴木 バスがクランクを船べりまで追ってきたのを目撃したら試すべし! バスが上昇する軌道に強く反応してるってことだから、リトリーブ中にロッドワークでクランクをリフトすることで同じ状況を作ってあげる。優勝したTBCクラシックのときは①と同時に②も試してたよ。で、バスが小魚を追い回しているときは③の超高速引きの出番。
イラストA
Y あっ、何の変哲もない護岸にオイシそうな単発ブッシュが……。
鈴木 ナイスタイミング。こういうときはカバー際、もしくは中にクランクを着水させて、2〜3回トウィッチして軽く潜らせて、その場でフワーッと浮き上がらせる(④)。カバーからバスがドン!と出てくるよ。座学篇でも言ったけど、コレは季節の変わり目に効くパターンだよ。
根木名川下流のワンド状の地形でYが45㎝弱の捕獲に成功。ギルがぽよよ~んと浮いていたので、それにならってクラッチDRをラインの弛みが取れないレベルのデッドスローリトリーブ。ホヨ、ホヨ、ホヨと首を振りながら表層を泳がせるとバスが下から浮上してルアーを引ったくっていったという
美津男先生がよく使う3色
シェルホワイト系(上)
ルートビア系(中)
ブラックバックチャート系(下)
シェルホワイト、ルートビア、ブラックバックチャートの三系統の出番が多い。安定感があるのは小魚っぽくも、エビっぽくもあるルートビア。低水温期など、水が澄んだときに効くのがシェルホワイト。ブラックバックチャートは美津男先生にとっては「ギルカラー」。ギルの婚姻色である黄色や背中の濃い色など、ギルの記号的なカラーが凝縮されているからだ。バスがギルの存在を以上に嫌うスポーニングシーズンに効くという
腹の色も大事。「基本はオレンジだけど、チラチラ感をもっと出してバスをイライラさせたいときはチャートを試すことが多い」とのこと。ちなみにフックセッティングは純正が基本。バラシを防ぎたいなどの理由で番手を上げることもあるが、ボディーが小さい分アクションが左右されやすいので、替えては試し、替えては試しと入念な試行錯誤が必要だ
シェルホワイト系(上)
ルートビア系(中)
ブラックバックチャート系(下)
シェルホワイト、ルートビア、ブラックバックチャートの三系統の出番が多い。安定感があるのは小魚っぽくも、エビっぽくもあるルートビア。低水温期など、水が澄んだときに効くのがシェルホワイト。ブラックバックチャートは美津男先生にとっては「ギルカラー」。ギルの婚姻色である黄色や背中の濃い色など、ギルの記号的なカラーが凝縮されているからだ。バスがギルの存在を以上に嫌うスポーニングシーズンに効くという
腹の色も大事。「基本はオレンジだけど、チラチラ感をもっと出してバスをイライラさせたいときはチャートを試すことが多い」とのこと。ちなみにフックセッティングは純正が基本。バラシを防ぎたいなどの理由で番手を上げることもあるが、ボディーが小さい分アクションが左右されやすいので、替えては試し、替えては試しと入念な試行錯誤が必要だ
スモールクランク・イコール・ギル!?
午後は長門川と将監川を釣る。全体的に遠浅でシャローカバーが豊富。このときの水深はボートポジションで80㎝ほど。ロングビルのクラッチDRを入れるのは抵抗があったというSだが、いざ投げてみるとストレスなく引けたという。「何かに当たったら止める」を実践することが大事だと美津男先生
このあと、さまざまなシチュエーションでYとSがクランキングを学ぶためにエリア移動。長門川に入り、北総マリンの桟橋で食事休憩をとったあと釣り再開。
鈴木 う〜ん、根木名川と違って長門川にはギルがいない……。
S ギル? ギルなんていなくてOKですよ。
鈴木 これがダメなんだな。春先のプリスポーン期からアフター回復のシーズンまではギルの存在がカギを握ることが多い。
Y バスはギルが大好物だからですか?
鈴木 逆! ギルが大嫌いだから。春先のギルって、プリのバスのお腹をつつく性質があるみたいなんだよ。そのあともバスがネストを張ったらギルが卵や稚魚を食いに来る。で、バスが産卵行動を終えた段階では今度はギルがスポーンし始めて、立場逆転でギルそのものがバスのエサになる。
S 大嫌い、大嫌い、大好き……つまり威嚇、威嚇、捕食と、ギルへの態度がコロコロ変わるわけですね。しかもバスがいるところにはギルがいて、ギルがいるところにはバスがいるという……。なんて都合がいいんだ。
Y たしかに、6月ごろの霞ヶ浦水系ではワームの釣りで「ギルのバイトをやり過ごしてたらバスに変わる」って話をよく聞きます。
鈴木 そうでしょ? スモールクランクの釣りでも「ギル」はキーワードになる。スモールクランクってシェイプが扁平でギルっぽいし、同時にアクション時の水押しもギルに近いんだ。
S でも美津男先生、せっかくならギルカラーにすれば完璧かと……。
鈴木 今投げてるブラックバックチャートやブルーバックチャートって、実はギルカラーなんだよ。ギルの婚姻色になると身体が黄ばんだ感じになって、背中の色とのコントラストが出る。つまりチャート系のスモールクランクは記号的にギルを表わしてるんだ。もちろん、縞模様が入るとより「ギル度」は上がるよ。
S ふ、深い……。あ! とか言っていたらギルが釣れましたよ〜!
将監川と長門川をつなぐ水路でギルを掛け、これから待つドラマに胸を膨らませるS
長門川と将監川をつなぐ水路でSがギルをキャッチ!
色めき立つSだが、ギルの恩恵を受けたのは……。
釣ったのはY。同じスモールクランクでも、エリア選びを外すとバスのサイズはこうなる。プレッシャーに強く、バイトを得やすいルアーだけに、アングラーの魚を探す能力が問われるルアーなのだ
Y どうだ〜! 25㎝クラスだけど、流れとしては美しすぎる1尾です(喜)。
鈴木 よくやった! 条件がよかった根木名川で釣れたバスはすべて40㎝クラス。でも、水がよくなくて、ギルやベイトフィッシュが少ない長門川では釣れてもこのサイズ。スモールクランクの特徴を美しく表現した1尾だね! よく釣れるルアーだけど、同時にアングラー側の魚を探す能力も問われるということ。
Y ありがとうございます!
「ハイシーズンの利根川で腹を括ってスモールクランクを巻けばデコは100%ない」という美津男先生のコンフィデンスは、船中7尾(美津男先生2尾、Y3尾、S2尾、バイト数は船中10以上)という結果になって返ってきた。自信をつけたSは、翌週の鋼派でもクラッチDRを巻き倒しバスをキャッチ。スモールクランク、釣れます! B