秋のシーバスフィッシングは一年の集大成ともいえる時期。産卵を控えた大型が執拗にベイトを追い回し、サイズ、ウエイトともに記録級がねらいやすくなる。この時期はハードルアー(プラグ)で攻略できることも多いが、要所で使えると釣れる魚が圧倒的に増えるのがソフトルアー(ワーム)だ。その勘所をアングラーズショップベースの三道竜也さんに聞いた。
要所で使えば釣れる魚が圧倒的に増える
写真・文◎三道竜也
秋のシーバスフィッシングは一年の集大成ともいえる時期。産卵を控えた大型が執拗にベイトを追い回し、サイズ、ウエイトともに記録級がねらいやすくなる。この時期はハードルアー(プラグ)で攻略できることも多いが、要所で使えると釣れる魚が圧倒的に増えるのがソフトルアー(ワーム)だ。その勘所をアングラーズショップベースの三道竜也さんに聞いた。
この記事は『つり人』2020年12月号に掲載されたものを再編集しています。
目次
千葉県木更津市の釣具店「アングラーズショップBASE(ベース)」勤務。シーバスのウエーディングゲームが好きで、長年住んだ東京を離れ、徒歩5分で小櫃川に行ける木更津に自宅を購入。ボートを使ったシーバスフィッシングのガイドもこなし、クロダイ、ヒラメなどの対象魚も幅広く楽しんでいる
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シーバスフィッシングにおけるワームとは?
シーバスフィッシングにおいてワームの存在感はまだまだ薄い。一部のエキスパートが使用している程度で、認知度は決して高いとは言えないのが実際のところだ。ところが、これがブラックバスの釣りになると、多くのアングラーがワームのほうがプラグに比べて比較的簡単に釣れるイメージを持っている。なぜだろうか?
秋はプラグがメインになることが多いシーバスだが、ジグヘッドワームを使いこなすことでチャンスはさらに広がる
理由の一つは、ブラックバスに比べ、シーバスはプラグのみで攻略できてしまうケースが多いからだ。大雑把に言うと、バスフィッシングは「個(数尾の場合も含む)」の魚を相手にすることが多い。有名なポイントであれば、魚が毎日のようにルアーを見ているケースもあり、「スレた相手をいかに食わすか」が大きな要素になる。
一方、シーバスはブラックバスに比べてはるかに回遊性が強く、さらに数十から数百で行動する「群」を相手にすることが多くなる。すると活性の高い個体と低い個体の両方がいることが多いので、アピールの強いプラグでも、活性の高い個体から反応してくれるので結果的に釣れる。ただ、同じ群れから何尾も釣れば活性の高い個体はいなくなり、群れ全体がスレていって、最終的に「魚は確実にいるのに食わない」状況になる。このような場面で威力を発揮してくれるのが、ローアピールの「ワーム」なのだ。
バチ抜けシーズンのパターンと思われがちなワームだが、秋も効果的な場面は意外なほどある
ジグヘッドリグの特徴を生かす
プラグは基本的に誰が使用してもそのプラグに設定されたレンジに到達し、レンジを維持することも比較的容易だ。しかし、シーバスフィッシングでワームを使う時は、ジグヘッドリグで使用することがほとんどなので、リトリーブすれば浮いてくるし、止めれば沈んでいく。その点、ワームでレンジキープをするのは、プラグに比べれば難しいといえる。ただ、リトリーブ速度を一定に保つことさえできれば、ジグヘッドリグはジグヘッドの重さを増減するだけで、むしろ簡単にリトリーブレンジを変えることができる。これがプラグになると、リトリーブ速度を変えずにレンジを変えるのは困難になる。「もう少しだけこのプラグで下のレンジを引きたい」と思ってもなかなか上手くできないが、ワームならばアクションもリトリーブ速度も変えずに、レンジだけを変えることが容易なのだ。
最初は表層で釣れていたのに反応が悪くなった……という状況において、多くのシーバスアングラーは「少し下のレンジを攻めてみよう」と、そのままレンジを下げることが多いと思う。その考え方もよいのだけれども、プラグでレンジを下げる前に、釣れていたコースやレンジに「プラグのアクションに反応しなくなったから、ワームを使ってみよう」と投入してみる。そこがシーバスフィッシングにおける、ワームの最初の使いこなしだ。
こんな場面で試してみる
■シンキングペンシルで表層から30cmくらいのレンジを流し込んで釣れていたがアタリがストップ
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
◆1g台~5g程度のジグヘッドに4インチ程度のピンテールタイプのワームをセットし、シンキングペンシルのように流し込む(ふたたびバイトが得られることが多い)
■表層から1mくらいのレンジをミノーでリトリーブして釣れていたがアタリがストップ
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
◆7~10gくらいのジグヘッドに3~4インチのピンテールタイプかシャッドテールのワームをセットしてリトリーブする(プラグにスレたシーバスが反応するケースが多い)
■シンキングペンシルで表層から30cmくらいのレンジを流し込んで釣れていたがアタリがストップ
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◆1g台~5g程度のジグヘッドに4インチ程度のピンテールタイプのワームをセットし、シンキングペンシルのように流し込む(ふたたびバイトが得られることが多い)
■表層から1mくらいのレンジをミノーでリトリーブして釣れていたがアタリがストップ
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◆7~10gくらいのジグヘッドに3~4インチのピンテールタイプかシャッドテールのワームをセットしてリトリーブする(プラグにスレたシーバスが反応するケースが多い)
ローアピールの強さ
橋の明暗など、シーバスが多く集まるけれども人的プレッシャーが高めのポイントでは、それこそ最初は簡単にバイトしていたのに、数尾釣るとボイルはあってもバイトしなくなる……といったことがよく起きる。この「確実にいるけれど食わない」という状況は、シーバスがルアーを見切っている。その際、プラグでもカラーを変えたり、違うプラグでアクションやレンジを変えるなどして、反応を変えることはできるが、プラグだけではやはり限界がある。
ワームを選択肢に入れることでランカーサイズと出会う可能性はきっと広げられる
プラスチック素材の硬いプラグは、どうしてもラトルや重心移動から発生する音がシーバスに警戒心を与えやすいようで、何度もキャストすると確実に魚の反応が悪くなる。たとえサイレントのプラグでも、ボディーにフックが当たる音は消せないし、これは仕方のないことでもある。しかし、ワームならプラグのような不自然な音を発生させる要素が少なく、パターンを見つけることができれば、比較的長く釣れ続ける。
たとえばシンキングペンシルで表層から30cmくらいのレンジを流し込んで釣れていたのであれば、3~5g程度のジグヘッドに4インチくらいのピンテールタイプのワームをセットして、シンキングペンシルのように流し込むことでふたたびバイトが得られることが多い。また、表層から1mくらいのレンジをミノーでリトリーブして釣れていたのであれば、7~10gくらいのジグヘッドに3~4インチのピンテールタイプかシャッドテールのワームをセットしてリトリーブすることで、プラグにスレたシーバスが反応するケースが多いと感じている。
これらはほんの一例だが、考え方としてはプラグをサーチベイトのように捉え、反応やバイトするパターンが分かり、プラグで釣り切ったところで同様のパターンをワームに置き換えてさらに絞り出していくイメージだ。
ワームの弱点とは
と、ここまではワームのメリットばかり挙げてきたが、ワームももちろん万能ではなく、プラグよりすべてにおいて優れているわけでもない。当然、弱い部分もある。まずはローアピールであるがゆえに、集魚力は弱い。水を強く動かせるプラグに対して、ワームはどうしても水に馴染むようなナチュラルなアクションが多いので、シーバスを「捜していく」釣りには不向きな面もある。逆に「ここに必ずいる」と分かっている状況であれば、前述のように無類の強さを発揮する。
飛距離も当然ながらプラグに比べて不利である。シーバス釣りであれば、ジグヘッドのウエイトは14gくらいが限界で、飛距離だけを考えた場合、ワームはプラグには及ばない。遠くの表層をねらうなど、「広範囲を探る」という時の性能においては、プラグのアドバンテージがやはり大きい。
そして耐久性。ワームはソフトな素材を使用しており、数尾釣ると裂けて壊れてしまうことがよくある。プラグのように1個で釣り続けるのが難しいといえる。たとえばプラグで入れ食いの時にワームでも釣ることはできるだろうが、数尾釣るたびにワームを交換していたのではコストも掛かるし、何より非効率だ。このようなワームのデメリットも理解したうえで上手に使うことが大切になる。
★後編ではタックルセレクトとおすすめのワーム&ジグヘッドのセッティングを紹介!
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