『SEABASS Life NO.12 春号』の特集は「道具で釣りはどう変わる?」。シーバスゲームでフックの重要性が語られはじめて10年以上が経つだろう。ビッグベイトシーバスの流行りでフックアウトはさらに顕著な課題となってきた。長年、フックに悩み続けるビッグベイター衣川真吾とがまかつの松本太郎が本音をぶつける。
ようやく登場したビッグベイト専用フック
編集部=文
『SEABASS Life NO.12 春号』の特集は「道具で釣りはどう変わる?」。今号の特集記事の中からイチオシ記事を特別公開!
シーバスゲームでフックの重要性が語られはじめて10年以上が経つだろう。ビッグベイトシーバスの流行りでフックアウトはさらに顕著な課題となってきた。長年、フックに悩み続けるビッグベイター衣川真吾とがまかつの松本太郎が本音をぶつける。
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目次
松本太郎
ロックショア好きのGAMAKATSU PTE LTD 商品開発課所属。大阪在住。衣川との出会いによって改めて、フックまでを含めたタックルバランスに開眼。例え掛かったとしてもタックルがオーバースペックで魚の口を切ってバラしては意味がない。バランスの適正値を考える必要があるという
緻密なゲームでもフックが機能しないとすべてが台なしに
シーバスゲームの魅力のひとつはあの激しいファイトの面白さだろう。逆に課題とされているのは、その時に起こりうるフックアウトだ。フックアウトの原因はいろいろあるが、ひとつはフック自体のセレクトにもあるとされている。
今回は、GAMAKATSU PTE LTDの松本太郎がビッグベイトシーバスマスターである衣川真吾に会い、ビッグベイトシーバスに適したフックに関してのトークをまとめた。昨年、2人が会った時は、すでにこのフック、『トレブルRBビッグベイトSP』と『トレブルRBジャイアントベイトSP』は製造の最中だった。つまり、衣川の意見はこのフックには取り入れられてはいないが、以前から衣川が気に入って『トレブルRB-M』と『トレブルRB-MH』を使っていたこともあり意気投合。ビッグベイトシーバスのフックの世界が動き出した第一弾のセッション。
衣川(以下、衣)『トレブルRB』は昔、普通のシーバスゲームをやってた時から使ってて……今でもね。どんな釣りにも基準として合わせられるフックの形状。ザ・スタンダードといえる。そこから、魚の当て方や当たり方、ルアーによって『トレブルSP』に替えたりしてた。
松本(以下、松)元々は#2/0までしかなかった。その前身である『トレブル13』には、#3/0まではありましたけどね(3/0は海外販売のみ)。
衣 でも、『トレブル13』はちょっと軸が太かったんですよね。
松 単純に番手が大きくなるに従って、どうしても太くなってくる。それが今の技術である程度、細く強度も出せるようになってきた。っていう中で今回、『RB』の『ジャイアントベイトSP』っていう企画が上がってたぐらいのタイミングで衣川さんのお話をいただいたわけです。
昨年10月にがまかつから発売されたビッグベイト専用フック、『トレブルRBビッグベイトSP』(#1~3/0)と『トレブルRBジャイアントSP』(4/0、5/0)。まずは、ナノスムースコートを採用したモデルから
衣 それまでは、まぁまぁ#2/0でも対応できる部分が多かったんです。でも、年々ルアーサイズも大きくなってきて、どうしても10インチを超えるサイズとなると、#2/0以上のフックが必要となってくる。で、いろいろフックを買うわけです。でも、#4/0とか#5/0とかの市場に出てるフックは、ほぼオフショア用でごっついフックでシャンクも短い。青物とかの口に入れるのが前提やからね。ただ、それをシーバスねらいのルアーに乗せてしまうと刺さらないんです。そして、何よりフック自体のウエイトでルアー設定も大きく変わってしまうから、ちょっと現実的ではない。
松 “トレブルフック自体にこだわりがある”って、おっしゃってましたよね?
衣 見た目のザ・ルアー感ですね。それと実用面でも、僕は割とルアーを操作するほうなんで、よくエビるんですよ。エビたっ時にトレブルだとラインスラック操作で割と外れるんですよ。
松 今回、ビッグ&ジャイアントベイトシーバスのムーブメントの気運っていうのがあって出た話ではあった。衣川さんと出会えたのもタイミング的によかったんです。今回、衣川さんにゼロベースからお話を伺ったわけではないんですけど、言ってしまえば、ビッグベイトの釣り自体は10年じゃきかないくらい前からあることはある。
でも、一方で本当の意味でのタックルセッティングって結構、曖昧なままきてた中で衣川さんは黎明期からフックの重要性を問うてたんで、そういった部分もあってお声かけさせてもらったんです。正直、この『トレブルRBビッグベイトSP』と『ジャイアントベイトSP』は、今ある『RB-M』や『RB-MH』の形状を変形させたものではなくて、あくまでスタンダードであるラウンドベントのロングシャンクのフックをがまかつの味付けで作ったもの。
線材に関しては『トレブルS-RB』と同じになるんです。当初、シーバスでは評価の高い『RB』シリーズで採用しているトーナメントグレードワイヤーでやりたいと思ってたんですけど、このフックの企画が進んでたこともあって標準グレードのものを実際に衣川さんに使ってもらった。そこでこの線材で充分に対応できるものとご判断していただけたんで採用することにしました。
衣 あれやこれや言っても最終的にはフックなんですよ。どんだけ緻密なゲームを組み立ててもフックが機能せんと魚に当たった瞬間にすべて台なしになってしまう。
松 そうですよね。言ってしまうと、これまでの細軸の大番手っていう企画自体に用途を見出しにくかったんですけど、ビッグベイトシーバスで衣川さんみたいに大きなルアーで魚を引き出すっていうスタイルや醍醐味を提唱される方が多く出てきて必然的に必要になってきた。そうなると、がまかつとしては、“ないとダメだよね”ってなった。そして、このビッグベイトシーバスは一過性ではないと思った。これは確立されていくカテゴリーだと思います。自分の中でも期待値は高いです。
衣 今、市場に出てるビッグ&ジャイアントベイトに付いてるフックは、国内外問わずバランスが悪いものも実際にはある。でも、なかったらそれを使わないと仕方がなかった。
松 今は青物ばっかりですけど、昔は普通のシーバスをやってたんで共感できるところはあります。実際に衣川さんの釣りを見せてもらって、正直タックルバランスがすごい難しいと思った。あんだけのルアーを投げるためのロッド、それを動かすライン。かつ一般的にもバレやすいとされてるシーバスをねらうって……。
衣 僕はシーバスを70㎝のアジ(アジは口切れしやすい)や思ってやってますから。
松 アジですか、なるほど……。
後編「ボディーとフックポイントの距離を考える」に続く……。
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