ナマズは昼と夜はねらいかたが違う。夜のナマズ釣りが大好きな人によるデイナマ解説をご覧あれ。
ナマズは昼と夜はねらいかたが違う。夜のナマズ釣りが大好きな林さんによるデイナマ解説をご覧あれ。
現代ナマズ釣りに必要な2タックル
サンスイ渋谷店Part1でソルトコーナーを担当する林悠一さんはナマズフリークでもある。
「ナマズ歴は長いっすよ。でも最近は以前とは少し釣り方が違ってきています。特にデイゲームは」
そう言う林さんは昼夜で異なるセッティングの3タックルを用意している。そもそもナマズ釣りに使われるロッドの多くはナマズのバイトを弾きにくい柔軟なティップと、掛けてからは強引なやり取りができて抜き上げも可能なバットにパワーがある長さ6ftクラスのロッドが多用されている。合わせるリールは巻き物用に適したノーマルギアまたはローギアが使われてきた。
左は夜の巻く釣り用、真ん中も夜の巻く釣り用でオープンエリア限定のショートのグラスロッド、右は日中の撃つ釣り用
しかし、最近のナマズ釣りはナイトゲームだけではなくデイゲームが人気になってきており、ヘビーカバーをねらう釣りのためこれまでのタックルを使うとストレスが多いという。この日選んだ釣り場も水際がボサやアシに覆われており、水際に立つことも不可能なところばかりだった。
「こんなところでの夜釣りは危ないからやめたほうがいい。まともに横移動ができないし、不用意に前に出ればズボッと落水するかもしれない。視界も確保できないからルアーやラインがボサに絡みまくって釣りになりません」
しかし、明るい日中ならタックル選びさえ間違えなければ攻略可能だ。
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日中はヘビーカバーを撃つ
「本来、ナマズは夜行性ですので日没後は水面付近を積極的に回遊し、ルアーの波動を感じ取って近づいてきてバイトします。でも、日中はカバーと呼ばれる覆いかぶさった草木や樹木などの影、土管や橋の下の日陰に隠れてじっとしています。こうしたカバーの周辺にルアーを巻いて泳がせる釣りよりも、カバーの奥にルアーを撃ち込んでその場でシェイクする釣りのほうが効くわけです」
林さんがデイゲームで選んだタックル はコントロールよくカバーの奥へルアー を撃ち込めるミディアムヘビーパワーの7ft1inとエクストラハイギアのリールだ
「基本的に川の流心でバイトが出るのは夜だけです。日中はカバー付近をシェイクで誘って反応がなければ、少しだけ巻いて、そのあと一気にロッドを立てて即回収します。すると勢いよくルアーが自分側に向かってすっ飛んでくるので背後のボサにフッキングしてしまう前に急いでスラックを巻き取ります」
このセッティング以外ではできない超攻撃的なナマズ釣りといえよう。
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夜のルアーは多彩
ルアーは4種類に大別できる。ジッターバグに代表される金属製カップが装着されたカップ系ノイジー。林さんの中では7割はこのカテゴリーのルアーで釣っており、デイゲームでは9割以上がこのタイプという。
そのほかクローラー系、ダブルスイッシャー系、さらにビッグバドまで含めた4グループのルアーでナマズ釣りを楽しんでいる。
クローラー系ノイジー。上からガンディ-ニ、クレイジークローラー。やはり夜がメイン。波動が弱いものや波動が断続的に消える使い方をするとミスバイトばかりになることが多いので注意したい
ビッグバドのリップ曲げ・ブレードチューン。まさにオンリーワンの存在で圧倒的にこればかり釣れるときがある。やはりカバー撃ち用ではなく巻きで使いたい
上からベビーザラのダブルスイッシャーチューン、ドリラータイフーン、トリトンパル。基本的に夜に効くタイプ。ベビーザラのようなペンシルベイトはナマズにはあまり効かない。これこそがナマズが視覚ではなく聴覚を駆使してバイトしてくる習性を示している
「これらはナマズ釣りの楽しさを引き出してくれる芸達者たちですが、日没後からの徘徊するナマズを釣るためのルアーです。日中の理想は中空フロッグで実際バイト数は一番増えると思います。でもフックアップせずに無限バラシが続いてしまう。つまり、フロッグに近いスナッグレス性がありながら、トレブルフックに近いフッキング性を求めた結果が、カップ系ノイジーのバーブレスダブルフック仕様なのだ。前後にプロペラが付いているダブルスイッシャーや左右に大きな羽を持つクローラーや大きなリップがありトレブルフックを2本ぶら下げたビッグバドよりもカバーへのスリ抜けがよいのは言うまでもない。
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カエルが多ければナマズもヘビも
この日に向かったのは埼玉北部漁協管轄の中川上流域。
「三面護岸された川は少なく、雑草が生い茂ったナチュラルバンクの小河川が縦横無尽に走っていて、この時期は隣接する田んぼを目指してどんどんと細流に集結し始める頃です。こういう地形ですから、アシ際や流れ込みなどの1ヵ所でネチネチ誘う点の釣りをすべき昼間向けの釣り場で、当然、カップ系ノイジーの独壇場です」。
暗くなったら別の足場の低いオープンな釣り場に行く予定で、こちらはタダ巻きの線の釣りがメインになるため、レギュラーからスローテーパーのロッドを使ってバイトを弾かない釣りを心掛ける。
「ルアーは夜もカップ系ノイジーが効きますが、スイッシャーにしか反応しない個体もいたりするので一概にコレだけあればといった感じではないです。バドならではのブレードの音や引き波が抜群に効くこともあります。音にはとても敏感な魚なのでラトルの有無は釣果に大きく違いが出ますので基本的にラトル入りを選びましょう。日中の一点シェイクの釣りでも軸にプロペラが付いたフックに変えるのはとても有効です」
当日は前日に久しぶりにまとまった雨が降ったことで期待が高まったが、想定していた以上に水量が増し、流れも速いようだ。
時おり足もとのカバーの最奥からガボっという反転バイトがあるものの魚の重みが乗らないまま、次のホソ、また次のホソと足早に歩を進めると「うわ、びっくりした~」と林さんの声。
ナマズの大好物はカエル。そしてヘビもカエルが大好物とあって、ナマズの好釣り場であるほどカエルが多くヘビとの遭遇率も高まる。毒のないシマヘビやアオダイショウがほとんどだが、長靴はマストアイテム。藪漕ぎが多い釣りなのでヘビやダニやクモからも身を守れる肌の露出が少ない服装を心掛け、虫よけスプレーなども活用したい。
明るいうちにカバー撃ちで1尾、その後はオープンな釣り場で巻いて1尾と考えていたが、ようやく本命がヒットしたのはかなり暗くなりかけた夕マヅメ。足もとの流れ込みで食ってきた
夕マヅメの空にナマズ舞う
「流れ込みは昼も夜も効きます。まあ、でも本命が出てよかった」
と、今度は近くにある足場の低いオープンな釣り場で巻きの釣りでさらなるヒットをと目論んだのだが、天気予報どおりに強風大雨に加えて雷鳴まで轟いてしまっては納竿せざるを得なかった。「夜の釣りができなかったのは本当に残念。県内のこのエリアは夜釣りの規制もないですし、なんだかんだいってもナマズ釣りが楽しいのは夜ですから。産卵後の一服状態はあるものの夏はもちろん秋にも荒食いがありますから、ぜひ楽しんでみてください」と林さん。
※このページは『つり人 2023年7月号』を再編集したものです。
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