全国おすすめ釣り場ガイド。神奈川県の「野島防波堤のカレイ釣り」をご紹介します。
シロギス釣りのトーナメンターが教えるカレイの大型ねらい
解説◎亀田智浩
この記事は月刊つり人2021年5月号の記事を再編集しています
全国おすすめ釣り場ガイド。神奈川県の「野島防波堤のカレイ釣り」をご紹介します。
亀田智浩
福島県いわき市出身、神奈川県在住、36 歳。江戸前サーフ所属。キス釣りトーナメントだけでなく、大もの投げ釣り、イシダイ、ルアーなどオカッパリ専門のマルチアングラー。主な実績は2016 年ダイワキスマスターズ全国大会優勝、2018 年シマノジャパンカップ投(キス)全国大会準優勝。個人記録はシロギス30.8cm、マコガレイ53.6cm、ナメタガレイ61cm、ホシガレイ64cm、マダイ75.3cm、スズキ97cm、ヒラメ88cm など。
目次
春の野島防波堤のマコガレイ釣りの傾向
マコガレイは最大50㎝以上にまで成長し、カレイフリークの間では50㎝以上のカレイを「夢のゴーマル座布団ガレイ」と呼んでいる。
カレイは12月から翌2月に掛けて産卵し、その前後の10~5月が釣期となる。産卵中は基本的に食い渋りとなるので、その前後の2回が釣期になる。
置きザオのカレイ釣りというとのんびりしたイメージがあるかもしれないが、常にサオ先をチェックしながら、順番にエサの交換をしており、エサ取りの有無に応じて仕掛けも交換するため、ほとんど休みのない釣りであった。実際、用意した3 箱のアオイソメは16 時までに2 箱以上を消費していた
今はまさに産卵後のいわゆる戻りガレイシーズンで、例年3月上旬から開幕するが、その年によって多少前後する。開幕直後はまだ産卵から回復していない痩せた個体が釣れるが、季節が進むにつれてカレイの身が厚くなってきて、活性も上がってくる。
野島防波堤のカレイ釣りの特徴は、45㎝以上の大型のカレイがねらえるだけでなく、カレイ釣りの仕掛けとエサでアイナメ、スズキ、マダイなどの嬉しい外道が釣れることも珍しくないこと。そのため大ものを見据えたタックルと太仕掛けを使用したい。
3 月上旬ながら当日は落とし込みでクロダイも登場。ドック先でひとりで2 尾を釣ったこの方のエサはノリだった
これから始める人へのアドバイス
まず始めに、堤防で釣りをするときは、落水時等の事故防止の観点からライフジャケットを着用すること。ライフジャケットは救命以外に防寒対策にもなり、ポケットがあるものは携帯電話やカレイ釣りに必要な小物や仕掛けを収納することができるので便利だ。
カレイ釣りに使用するサオは、全長4mほどでオモリ負荷25~30号の振り出しの投げ釣り専用ザオがおすすめだ。シロギス用の競技用などの並継ザオに比べると重くて感度もそこまで高くないが、もともと置きザオにして待つ釣りのため重さはデメリットにならないし、感度もそこまで必要がない。むしろ、安価で手軽なうえに大型のカレイや前述の嬉しい外道に対応することができる。
リールは投げ釣り専用のドラグ付きリールを使用する。投げ釣りのリールにはドラグが付いていないものがあるが、大ものが掛かったときにドラグを緩めておかないとタックルごと海に持っていかれるので必ずドラグ付きを使用する。
メインタックルは振り出しのサーフリーダー450CX-Tにドラグ付きのパワーエアロの組み合わせ。ミチイトはオレンジカラーのナイロン6 号をチカライトなしで直結。これなら入門しやすいだけではなく大ものねらいにマッチしているという
スプールに巻くミチイトは、カレイの投げ釣りをこれから始める人にはトラブルが少ないナイロンライン6号を巻くことオススメする。PEラインは伸びが少なく感度もよいが、ナイロンラインに比べてトラブルが多いため、最初はナイロンラインを使うとよい。6号の太さであれば、ミチイトの先にチカライトと呼ばれる、キャスト時にラインブレイクを防ぐことを目的とした太いイトを結ぶ必要もなく、チカライトがないため根掛かり時もテンビンやオモリを高確率で回収できる。
スプールに新品のラインを巻くときは、巻きすぎるとイト絡み等のトラブルの原因になるので、少し余裕をもたせて巻きすぎないこと。スプールのギリギリまで巻いても飛距離はほとんど変わらないうえにトラブルばかりで釣りにならなくなってしまうので、ここは気を付けたいところ。
投げていた仕掛けはこちら。遊動式の段差の2本バリ仕掛けで、状況に 応じて黒ハリスと透明ハリスを使い分けていた
次に必要なものが三脚だ。三脚を使用することでサオに傷が付かず、魚からのアタリをサオ先で捉えることができる。三脚をセットする際は三脚を安定させるため、水を汲んだバケツを必ずセットする。三脚にはセットするサオは2本までが理想で、その理由は3本セットすると中央のサオを回収する際、左右のサオや海中に入っているラインが干渉してしまうからだ。なお、野島防波堤には投げ釣りのサオはひとり3本までというルールがあるため、私は三脚をふたつ持参している。野島ではなく柵や壁がある釣り場では三脚を使用せずに立て掛けてもよい。
次にカレイ釣りで必要なのはタモ網。カレイは抜き上げ時に外れてしまうことがあり、特に目測30㎝以上のカレイは重さが増して外れやすくなるので、タモ網で取り込もう。嬉しい大物外道が掛かったときにも必ず役立つ。タモの長さは堤防にもよるが高いところもあるので6mは欲しい。タモ網の枠は60㎝をオススメする。
桜が開花する頃が戻りガレイのピーク
今回は神奈川県の野島防波堤に戻りガレイを求めて釣行した。この日は曇天で長潮。カレイは、大潮では潮止まり前後にアタリが集中するが、小さい潮回りの日ではそれに関係なくアタリが出ることが多い。
村本海事にて受け付けを済ませ、朝一便の8時の船(4月以降の一便は7時出船)で数本ある堤防のなかから「ドック先」と呼ばれる堤防に渡り、3本のサオに期待を込めて投げ込む(野島防波堤の投げ釣りはサオ3本までのルールを厳守)
この日は下げ潮によく釣れる傾向のドック先の内側航路をねらった。8 時の渡船で渡ると下げっぱなというタイミングだった。「カレイは時合がはっきりする傾向があり満潮と干潮の前後にバタバタ食う場合が多いです」と亀田さん。当日のように長潮など小さい潮回りのときはラッシュがない代わりにいつ食ってきてもおかしくないとのこと
当日は3月上旬ということもあり、まだ水温も低く、エサ取りとなるフグの活性も低いようす。しばらくはエサ取りのアタリのみで沈黙していたが、10時20分頃、20mくらいの近場に投げ込んでいたサオのサオ先を強く叩くアタリが出た。
カレイのアタリは、サオ先が大きくお辞儀したり、一気にドラグを出したり、イトフケが一気に出たり、ときには全くアタリが出ず居食いしたりとさまざまであり、アタリがあってからはひと呼吸置いてから巻き上げるのが基本となっている。
カレイは口周りや飲み込んだときの内臓周りが柔らかいことからスッポ抜けを防ぐために、合わせるときは力を入れずにサオを立てながら巻き取るくらいの感覚でアワセをするとよい。
話を戻し、アタリが出たサオにアワセを入れるとズッシリと重量感が伝わり、魚の抵抗も伝わってきた。しかし、やたらと首を振るような、サオ先を叩くような引きだ。元気な引きを楽しませてくれたのは、野島防波堤で人気ターゲットである38㎝の立派なアイナメ。煮付けにすると非常に美味な魚だ。アイナメをクーラーにしまい、釣りを再開する。しかし、なかなかあとが続かず、いよいよ迎えの船の時間が近付いてきた。
根掛かり多発地帯に投げ込んだ1 本に大きなアタリがあったのは10 時20 分。アワセが決まると首を振るファイトを開始。一度巻かれてしまったが無事回収すると良型アイナメが登場!
1本目、2本目とサオを回収し、今日はカレイは釣れなかったか……と諦めながら3本目を手に取り、回収を開始した。すると、重みと抵抗を感じるではないか。期待を込めてリールを巻くと、なんと、小振りながらも本命のマコガレイが水面に姿を見せ、無事に取り込みに成功! まだ小振りでハリも飲み込んでいなかったことから、大きく育つように願いを込めてリリースした。
亀田さんに本命が飛び出したのはサオ3 本のうち2本を仕舞ったあとの最後の1 本の回収時。「びっくりするくらい小さいですが、このサイズでも14 号のハリに掛かるので大型ねらいに大きすぎることはないです」と言ってその場でリリース
道具をすべて片付け、ゴミを堤防上に放置していないか確認してから迎えの船に乗り込んだとき、事件は起こった。なんと、別の堤防でカレイをねらっていたキャスターが46㎝のマコガレイを頭に3尾、48㎝のアイナメ、そして、59㎝のマダイをすべてひとりで釣りあげていたのだ。他の場所は沈黙だったようで、まさに一人勝ち。聞けば、エサはアオイソメの房掛けのみで、時間に関係なく釣れ続いたようだ。野島防波堤でのカレイ釣りの最大の特徴である、カレイの外道に大型マダイという贅沢な釣果を目撃した日であった。本当は体験したかったが……(笑)。
今日はカレイにはよくない日だったのか……と思いきや、隣の青灯オカマに入った投げの釣り人が爆釣したとの情報が!
「これがあるから野島防波堤の投げ釣りはやめらないんですよ!」と我がことのように興奮する亀田さん。ひとりでは持ちきれない釣果を披露してくれたのは川崎市の内野武志さん。左からマコガレイ46㎝、41㎝、36㎝、アイナメ48㎝、マダイ59㎝。すべて内野さんがアオイソメのみで釣ったとのこと。長潮のためか特に時合はなく、釣れた時間帯はバラバラだったそうだ
さて、2月下旬頃から5月中旬頃までは、戻りガレイの最盛期。ちょうど桜が開花する頃にピークを迎えるので、春の戻りガレイを「花見ガレイ」と呼ぶこともある。水温もこれから上昇していき、産卵から回復した肉厚のカレイが期待できるとともに、マダイの釣果も目立つようになってくるので、ぜひ、野島防波堤に足を運んでいただきたい。
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