「今日は奮発してウナギだ!」「ウナギをご馳走するよ」文字を見ただけで条件反射でヨダレが出る。そんな魚はウナギをおいてほかにないのではないか。老舗ウナギ料理店の大将に蒲焼きのレシピをさばき方から聞きました。
老舗ウナギ料理店の大将に蒲焼のレシピを聞きました
写真・文◎葛島一美
この記事は月刊つり人2021年9月号の記事を再編集しています
「今日は奮発してウナギだ!」「ウナギをご馳走するよ」文字を見ただけで条件反射でヨダレが出る。そんな魚はウナギをおいてほかにないのではないか。
目次
- 前編
- 教えてくれたのは
- 関東式背開きの割き方
- 串の打ち方
- 後編
- 焼き方・蒸し方・仕上げ方!
教えてくれたのは
うなぎ柳
●住所:東京都江戸川区東小岩6-6-15
●電話:03・3658・2772
●営業時間:昼の部=11時30分~14時、夜の部=17時~20 時。月曜日定休
●交通:JR総武線・小岩駅から徒歩10 分
●主なメニュー:うな重特上3520円、上3190円、肝焼き1本440円など
ご主人の大山芳巳さんは初代の亡母が同じ小岩で営んでいたウナギ割烹で修業を重ね、近年になって現在の地に店舗を移し、今は夫婦で切り盛りしている。
住宅街の一角に佇む隠れ家的な店構えは敷居が高いようにも思えるが値段も手ごろで庶民的。この道50年の大山さんが焼き上げる蒲焼きはふんわり柔らかく、脂分のしつこさがなく風味豊か。味は一級品だ。
何よりも素晴らしいのは細かな骨を全く感じさせないこと。いくら高級な店に行っても小骨を感じさせる店は少なくありませんが、ここはヒレ切り、骨断ちといった細かな手間をしっかりかけています。
大山さんの店では供給、味ともに安定している上質な養殖ウナギのみを扱っている。
大山芳巳さん(71)はこの道50 年の熟練。「料理は丁寧に美味しくを心掛けています。ウナギのほかにも焼き鳥、釜飯、刺し身なども提供していますので気軽に足を運んでみてください」
関東式背開きの割き方
はじめに
解説してくれた大山さんは左利きです。右利きの方は逆手で逆向きに調理します。
大山さんが愛用する刃渡り24㎝の関東式ウナギ包丁(上)。「ウナギ釣りファンが買い求めるのなら、刃渡り20㎝のウナギ包丁を奨めます」。下はウナギをまな板に固定する目打ちだ。
捌き方
①首根っこから中骨に当たるまで切れ込みを入れる。ウナギは氷水の中に少しの時間泳がせておくと動きが止まり割きやすい
②手早くウナギの背を手前に向けたら、目の下の部分に目打ちを突き刺して固定したら胸ビレ付近に切り込みを入れる
③切り込みから刃先を差し入れ、中骨の上面に沿って胴体を割き始める
④胴体を支える指の腹でウナギの腹皮越しに切っ先の感触を確かめながら切り進める
⑤尾の先端部まで切り進める
⑥背開きに開いたら内臓をつかむ
⑦引きちぎるように内臓を取り除く
⑧開いたウナギを真っすぐに伸ばし、首根っこの位置で中骨の下面に切れ込みを入れる
⑨尾の付け根まで中骨をそぎ落とす
⑩中骨を引き終え、背開きに下ろしたら頭を胴体から切り離す
⑪腹部に浅く何本も切れ込みを入れつつ、残り骨を取り除くなど身を均等に整える
⑫尾の先端近くをつかむ
⑬ヒレ際に刃を当ててヒレを引っ張りながら頭に向かってそぎ取る
⑭関東式背開きの完成
串の打ち方
①割いたウナギの身を2 つに割り、串を打つ。本職は、焼き上げた蒲焼きが重箱にきちんと納まるウナギのサイズを必ず使う
②串は左右と中央の3本が基本
③串は皮と身の間に打つといわれるが、「皮目すれすれではなく身を1 ~ 2㎜すくうように打つのがコツです
④天然ウナギは金串を使って身を縫うように巻き通していく
⑤身が回ってズレないように2本の串を打つ
⑥肝焼きは天然ウナギと養殖ウナギを半分ずつ打ってくれた
次のページでは関東式蒲焼きの焼き方・蒸し方・仕上げ方をご紹介!
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