DHAやEPAを摂取して健康になろう
魚を食べると健康に?
この記事は『つり人 2022年1月号』に掲載したものを再編集しています
講師◎矢澤一良
1948年生まれ。早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門長を務める。農学博士(東京大学:学位論文内容はEPA・DHA)。2006年にはマリンバイオテクノロジー学会より学会賞「岡見賞」を授与される。主な研究テーマは予防医学的食品・医薬品素材に関する研究や海洋資源の有効利用に関する研究など。
ADHDや認知症を予防や改善
DHAとEPAは不飽和脂肪酸の一種でアジやイワシなどの青背の魚に多く含まれており、どちらも中性脂肪を減らす働きが証明されている。また、中性脂肪が必要以上に多い肥満者は感染症にかかりやすく重症化しやすい。また、EPAは血管内で血液をサラサラにする効果、DHAは血管壁細胞を柔軟にする効果で血行をよくする。血行がよくなることで細胞に酸素と栄養素が行き渡り、体力の向上につながる。さらに重要なのは、よく流れるようになった血液が血管内の白血球を末梢まで早急に運べるようになり、外部から侵入してきた菌やウイルスを早く見つけられることで免疫機能を高めることだ。
DHAとEPAは、人間の体内では合成できず外部から取り入れる必要がある必須脂肪酸であり、体内の細胞膜やホルモン様物質の原料になる。「現代の日本で、生活習慣病やアレルギー疾患、認知症などが増えているのは、魚を食べなくなったのが大きな原因のひとつ」とも言われているほど健康への影響が大きい。
アジやイワシは美味しくて健康にもいい。さまざまな調理方法があるのも魅力だ
ストレス緩和やアレルギーの改善効果など効能は幅広い
DHAは脳にも効果的だ。魚を食べると頭がよくなるとよく言われているのは、魚に多く含まれるDHAが脳神経の伝達を活発にして情報伝達を円滑にするからだ。さらに脳細胞の働きを高める栄養素の増産や脳の血行促進によって、認知症や鬱病、ADHDなどの予防や改善にも繋がる。
ほかにも、DHAとEPAには、イライラや抑うつ気分などの改善、ストレス緩和、睡眠の質を向上、視力の向上、アレルギー体質・過敏性腸症候群の改善、がんの予防などさまざまな健康効果が発表されている。
20㎝程度のアジでは1尾分、15㎝程度のマイワシであれば2尾分が効果を期待できるDHA・EPAの摂取量だ
アジやイワシに豊富に含まれる健康維持に効果的な栄養素
良質のタンパク質・アミノ酸
タンパク質・アミノ酸は免疫力を高める。タンパク質というと牛肉や鳥肉など動物の肉を想像しがちだが、これには飽和型脂肪が多く肥満、動脈硬化や心筋梗塞を起こしやすくなるのに対して、青背のアジ・イワシなどの魚肉には不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)が豊富に含まれており、動脈硬化などを予防できる。
カルシウム・ビタミンDなど
カルシウムやビタミンDは骨や歯の材料であり、丈夫な体づくりに重要だというイメージは広く知られている。しかし、それ以外にも精神の安定や免疫機能の最適化にも関わっていることがわかってきている。
次のページではDHAやEPAが魚に多い理由を解説します。
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