鬼形毅さん、今井亮介さん、菅沼史朗さんにご自身が手掛けられたフロッグ専用ロッドの設計思想を伺ったインタビューを公開します! 今回は鬼形毅さんによるレジットデザイン・ワイルドサイドのフロッグスペシャルについてです。
荒野を開拓したショート・フロッグスペシャリティー
解説◎鬼形 毅
この記事は『Basser』2021年10月号に掲載したものを再編集しています。Basserのバックナンバーは定期購読をお申し込みいただくとデジタル版バックナンバーが4年分以上読み放題! 詳しくはこちらをどうぞ!好評発売中のフロッグ特集『Basser』2021年10月号では、鬼形毅さん、今井亮介さん、菅沼史朗さんによる「フロッグロッドの現在地」と題した鼎談を掲載しています。日本におけるフロッグゲームのスタイルの変化やそれに対応したロッドが開発されるまでの流れはぜひ誌面をご覧ください! オンラインでは、お三方それぞれにご自身が手掛けられたフロッグ専用ロッドの設計思想を伺ったインタビューを公開します! 今回は鬼形毅さんによるレジットデザイン・ワイルドサイドのフロッグスペシャルについてです。
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鬼形 毅(おにかた・たけし)
埼玉県出身。ティムコ勤務時代にロッドビルディングの経験を積み、レジットデザインの立ち上げのため独立。コンセプトの明確なロッドづくりで、瞬く間に多くのユーザーを獲得した。
ジャパニーズ・フロッギンに最適化された6ft台のレングス
―― テッケルの前田さんと協力してデザイン、ジャパニーズ・フロッギンに最適化されたロッドとしてデビューしたのがワイルドサイドのフロッグスペシャルの2本(65MHと69MH)でした。具体的に、どんな理想を追い求めて、どのような工夫が凝らされたロッドなんでしょうか。ワイルドサイドWSC65MH&69MH“FROG GAME SPECIAL”(レジットデザイン)
日本における現代式フロッギングのベンチマークとなった2本。足場の高さ(ティップから水面までの距離)で2レングスを使い分ける
鬼形 まずは短いこと。そうするだけで従来のフロッグロッドに比べて格段にキャストアキュラシーが出るし、操作性も上がる。
―― ブランクの特性やテーパーはいかがでしょうか。
鬼形 中弾性の素材で、キャスト時にしっかり曲がる。それでいて、ダブルフックのフロッグをフッキングできるパワーもある。テーパーに関しては、先調子ではなくティップにややハリがある。フロッグに限ったことではないけど、アングラー側で積極的に操作していくルアーには総じてティップにある程度ハリのあるロッドがいい。ルアーをちゃんと動かせないから。
―― そのほか細かい仕様はどうでしょうか。
鬼形 フロッグ専用ロッドを謳っているわけだから、まずはPEラインが扱いやすいことにこだわりました。まずはガイドセッティング。トップガイドをはじめラインが絡みづらい形状のもの、そして高さのあるものを使っています。水に濡れたPEラインはブランクにまとわりつきやすいので、ブランクから離れていたほうがいい。同じく、ラインの張り付きにくさという観点からブランクをアンサンドフィニッシュにしています。
あとはグリップです。うちのロッドと比較すると、全長が同じ長さのモデルよりリアグリップを長めにとってある。こうすることでグリップをひじの内側に叩きつけながらリズミカルにラインスラックを弾くことができます。あと、グリップエンドは軟らかくて丸い形状が絶対。フッキング時はここを脇腹で支えることになるから、グリップエンドが硬いとアザができます。
PEラインがブランクにへばりつかないよう、ストリッピングガイドには脚の高いモデルを採用
65MHと69MH、レングスの使い分けと意外な汎用性
―― 65と69のレングスはどう使い分けるんですか? ボートとバンクのディスタンスでしょうか?鬼形 それが違うんですよ。使い分けはアングラーの足場の高さです。
フロッグで理想のアクションを出すためには、ラインスラックをどう扱うかがとても重要。そのときカギを握るのがティップから水面までにどれくらい距離があるか。近い(ラインスラック少ない)と一発目の首振りはやりやすいけど、そのあとが動かしにくい。遠い(ラインスラック多い)と首振りはさせやすいけど、最初の動き出しがもたついちゃう。
レンタルボートとバスボートでは足場の高さが違うし、同じバスボートでもフロントとリアでは水面までの距離がまるで違う。アングラーの身長でもこの距離は変わってくるしね。その距離感の調整をロッドセレクトでできるようにレングスの違う2モデルを出したんです。
―― このロッドはフロッグ以外の用途で使っている人が多いですね。(各SNSで「#フロッグSPなのに」で検索)
鬼形 そうなんですよ(笑)。中弾性だけどある程度ハリとパワーがあって、このレングス。これって実はスピナーベイトのようなシングルフック系のムービングベイトにドンズバなんですよ。北(大祐)がコレでスピナーベイトを使ってオールスターを勝ったっていうのも大きいけど、ユーザーさんがウチの提案に縛られずにいろいろ使いどころを開拓してくれているのはありがたいことですね。
ワイルドサイドWSC63M(レジットデザイン)
フロッグ専用ロッドではないが、かなり小型のフロッグを使用する際は取り回しのよい6ft3inモデルを使用
ワイルドサイドWSC72MH(レジットデザイン)
琵琶湖などのウイードフラットでスプリンカー(回転するテールが付いたフロッグ)のようなただ巻き系のフロッグを遠投して引いてくる場合はこういったロングレングスタイプが有効
■鬼形さんの愛用フロッグ
ワッカー(テッケル)
チョーカー(テッケル)
Basser2021年10月号 表紙をクリックすると試し読みができます
定価:1,000円(税込)
出版年度:2021
A4変型判164ページ
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