伊藤巧のB.A.S.S.挑戦記 セントラルオープン準優勝の舞台裏。ふたたび海を渡ったクリスタルSのスローローリング!
ふたたび海を渡ったクリスタルSのスローローリング!
伊藤巧=写真と文
2月20日から22日、ルイジアナ州トレドベンドリザーバーで開催されたB.A.S.S.セントラルオープン。この記事ではアメリカデビュー戦で準優勝を決めた伊藤巧選手の手記をお届けします。
「泣ける」。メインパターンを聞いてそう思いました。
以下、伊藤選手による手記
アメリカでボーターとして出場する人生初の試合、B.A.S.S.バスマスターセントラルオープン第1戦トレドベンドリザーバーで準優勝することができました。プラから試合までの流れを振り返っていきます。
季節は春。水温は暖かいタイミングで14℃。試合直前からのたび重なる寒波で当日は水温10℃。かなり水温が下がっているコンディションでのスタートとなりました。
トレドベンドのこの時期の勝ちパターンを一切知らない自分は、とある条件が当てはまる本湖のシャローフラットのみを探すことにしました。地図を見ながら上流から下流までほぼすべてをチェックし、条件がそろったエリアは3ヵ所でした。
試合で釣るのはそのうち2ヵ所に絞りました。それぞれが比較的近く、タイミング次第でラン&ガンできるからです。トレドベンドは琵琶湖より大きい湖ですが、やる場所が2つしかないことに焦りを感じました……。
試合前日はサンダーストームに見舞われ、雷がやんでからプラに出船。さらに風と寒波におそわれガタガタ震えながらの練習になりました。しかし、最悪の状況下で水中の変化に気付き、メインルアーをクリスタルS1/2ozにすることに決めました。カラーは絶対ホワイトクリスタル。他の色よりも断然反応がよかったです。日米問わず、ホワイトクリスタルは定番色です。
タックル
ロッド:ロードランナー ヴォイス ハードベイトスペシャルHB680M
リール:カルカッタコンクエスト100
ライン:R18フロロリミテッドハードバス16Lb
ルアー:クリスタルS1/2oz
そして試合本番です。
スピナーベイトの使い方は中層スローロール。ローギアリールを使うことが大事でした。中層を引きバスに下から突き上げさせたり、シャローでは一気に魚の間合いに入り込ませたりするイメージでクリスタルSを引きました。
キモはとにかくゆっくり引くこと。ドンドンドン……とブレードを水に掴ませつつ、沈ませないように、ロッドティップの位置を高くかかげ、ラインの浮力を使うことを意識しながら中層を攻めました。「ここぞ」というところで、ロッドワークでクリスタルSを水面にフワッと出したりもしました。そうしたキッカケづくりも大切にして、牛久沼でスピナーベイトを巻いているイメージでやり続けました。
心の中で「ここは牛久沼…ここは牛久沼…」と、100回以上唱えて釣りをしてました。牛久沼くらい丁寧に攻めれば、スピナーベイトで魚が出てくるはずという意味も込めて。
Day1は水深3m前後の立木でクリスタルS1/2ozを中層スローロール。
4Lbクラス(約1800g)を混ぜつつ、シャローに魚がさすタイミングで6連発など、スタートして2時間ほどでリミットメイクして入れ替えを繰り返していきました。
そのほか状況変化に対応できるようにさまざまな釣りを試しました。たとえば6mレンジの立木へのフィネスアプローチ。ハミンバード360とガーミンライブスコープを駆使し、6.5inカットテールの5gネコリグを入れ、枝にラインを掛けてチョウチン状態でシェイクしたりしました(キャッチしたのはノンキーパー)。
結果、初日はとにかくクリスタルS1/2ozで釣りまくり、9本(記憶があいまいです)キャッチし、15Lb6ozで16位スタート。※1Lb=約450g
ここでひとつ問題が。プラからずっと使っていたクリスタルS1/2ozホワイトクリスタルがビッグバスとのたび重なるファイトで2つ破損……。残り1つになってしまいました。クリスタルS3/8ozのホワイトクリスタルのラバーをとり、1/2ozに移植することで対応。4個の新たなホワイトクリスタルのクリスタルS1/2ozが完成し、Day2へ。
しかし、Day2はサンダーストームでキャンセル。全員で最終日を行なうことになりました(本来は2日までが予選、3日目が決勝)。
「ん?サンダーストームが起きるとバスはどうなるか……」。
直前プラで感じていたイメージがあったので、その気持ちを持ちつつDay3へ。
そしてDay3。予感は的中し、朝からシャローでボイル多発。
「でも、こういう時はすぐバスがしらけそう……」。
そう感じつつ、クリスタルS1/2ozスローロールで2発。
スピナーベイトでミスバイトした魚に対してはフラットバックジグ1/2oz+ウルトラバイブスピードクローでフォロー。スキッピングからのスイミングで1発。
そのあとやはり魚がしらけてしまい、追加できないまま5時間経過。ここで、条件が揃ったエリアの一番沖側へ移動。岸から100m以上沖の水深6mラインをチェックしました。
水深6mに枝ぶりのいい木が沈んでいます。木のトップの水深は4m。ハミンバード360とライブスコープで木のポジションを確認しつつ、6.5inカットテールを水面下4mの枝でシェイク。
2分ほどシェイクするとゴツン!ときたのが4Lbクラス!
そのまま連発でリミットメイクし、15Lb4ozでウエイイン。
1位とは10Lb近い差を付けられてしまいましたが2位でした。
たくさんのトラブルもありましたが周りの方々の支えがありこの結果があります。
本当にありがとうございました。
次の試合も、気持ちを落ち着かせてのぞみたいと思います。
応援よろしくお願いいたします!
(手記おわり)
試合後、伊藤選手は自身のSNSにこう記しました。
「田辺さん、またロードランナーとコンクエストとクリスタルSのスローロールがアメリカにきたよ。」
田辺さんとはもちろん田辺哲男さんのこと。伊藤巧さんの師匠です。
田辺さんは26歳のころから国内のトーナメントに参戦しタイトルを総ナメ。
33歳でアメリカのB.A.S.S.インビテーショナルに参戦し、メガバックス戦でビッグフィッシュ賞を獲得するなど活躍。1993年にはケンタッキーインビテーショナルで優勝。外国人による史上初のB.A.S.S.優勝でした。
その後バスマスタークラシックに出場し6位入賞するなどアメリカで走り続けました。
田辺さんの戦いぶりは当時のBasserでも詳細に紹介されています。
アメリカの湖にて、ロードランナー&コンクエストでクリスタルSをスローロールする田辺さんの姿は記事で何度も目にしました。最高にキマっているセッティングによる十八番技……。そんな雰囲気や道具への信頼が写真から伝わってきてワクワクしたことを覚えています。
その姿が伊藤選手の心にもあったからこそ出てきた言葉なのでしょう。
師匠への感謝、異国で戦い抜く覚悟、受け継いだ技への誇り。
さまざまな気持ちが詰め込まれたメッセージに胸が熱くなりました。
2005年からは日本国内の活動に専念している田辺さんですが、そのバトンはしっかりと託されていたのです。ロードランナーの師弟リレーはまだ始まったばかりです。がんばれ伊藤巧!
B.A.S.S.セントラルオープンとは?
発売中のBasser2019年3月号でお伝えしているとおり、2019年は多くの日本人選手がアメリカのトーナメントに挑みます。
なかでも最多の日本人選手が参加するのがB.A.S.S.セントラルオープン。
オープンシリーズはエリートシリーズの下部カテゴリーという位置付け。
年間上位がエリートへの昇格権を得る仕組みです。
セントラルオープンに参加する日本人は青木大介選手、伊藤巧選手、伊豫部健選手、片岡壮士選手、加藤誠司選手、北大祐選手、北嶋一輝選手、木村建太選手、松下雅幸選手。
セントラル開幕戦は2/20-2/22、ルイジアナ州トレドベンドリザーバーが舞台になりました。
トーナメントレギュレーション等は発売中のBasser2019年3月号で詳報しています
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さらに、宮崎友輔さんが復帰を果たしたB.A.S.S.エリートシリーズ、そして10名以上の日本人選手が参戦するオープンシリーズの日程と開催地のまとめも。
また、作シーズンで17年間に及ぶアメリカでの競技生活にピリオドを打った清水盛三さんのこれまでを、ライバルたちや当時の取材担当者の証言をもとに振り返ります。
ほかにも青木大介さんや伊豫部健さんら注目選手へのインタビューなど、見逃せない内容が満載です。
特集は冬の定番・メタルバイブ!
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2019/02/24