カバー撃ちの定番、ノーシンカーリグ・バックスライドセッティング。タックルセレクトを誤るとフッキングですっぽ抜けるなどミスの原因となってしまう。正しいタックル&フックセッティングを覚えよう。
川村先生がキャスト、操作、アワセをマンツーマン指導!
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
川村先生のお手本フィッシュに続けとキャストを繰り返すAとS。キャストから操作、アワセまで熱血指導を受けて自分の魚をキャッチできるか?
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2012年9月号に掲載されたものを再編集しています
講師=川村光大郎(かわむら・こうたろう)
1979年生まれ。茨城県生まれ、東京都在住。オカッパリをメインスタイルに、10代のころから本誌に登場してもらっているアングラーで、いまや雑誌やDVDなど各メディアで引っぱりだこ。茂みが似合う男。O.S.Pの社員としてドライブスティックやドライブクローなどの超人気ソフトベイトのデザインを手がけている。ボートフィッシングでも釣りまくるのは変わらず、草深幸範さんと組んで出場した2010年のW.B.S.スーパースリーデイズでは、17200g(3日間合計)というトーナメントレコードで優勝。メインリグはドライブスティック4.5in逆刺し・バクスライド仕様だった。
生徒=ササキ
1984年生まれ。広島県出身、東京都在住。川村先生が優勝したスリーデイズを取材して以来、バックスライドの釣りに何度かトライ。そもそもテキサスリグなどカバーを撃つ釣り全般に強い苦手意識があり今回の道場はとっても不安。後日行なわれた編集部対決(2015年9月号掲載)でもびっくりアワセを連発。日々修行中。
生徒=アマノ
1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。バックスライドでは1尾も釣ったことがない。道場に参加するにあたり、牛久沼の編集部対決(2012年9月号掲載)でバックスライド予習に励んだが、着水点やラインテンションの緩急、ブレーキ設定など、逆に疑問が増えて1日が終わった。この取材でその疑問も解決。ドライブスティックも大好きになり使用頻度が増えた。現ルアーパラダイス九州編集長。
バックスライドセッティングとは……フォールさせたとき、アングラーから遠ざかっていく方向にスライドするようワームをセットする方法。ノーシンカーリグか、ネイルシンカーを埋め込んだ形態が多い。オーバーハングしたカバーの下や、岸際のエグレのなかなどをねらいやすい
1979年生まれ。茨城県生まれ、東京都在住。オカッパリをメインスタイルに、10代のころから本誌に登場してもらっているアングラーで、いまや雑誌やDVDなど各メディアで引っぱりだこ。茂みが似合う男。O.S.Pの社員としてドライブスティックやドライブクローなどの超人気ソフトベイトのデザインを手がけている。ボートフィッシングでも釣りまくるのは変わらず、草深幸範さんと組んで出場した2010年のW.B.S.スーパースリーデイズでは、17200g(3日間合計)というトーナメントレコードで優勝。メインリグはドライブスティック4.5in逆刺し・バクスライド仕様だった。
生徒=ササキ
1984年生まれ。広島県出身、東京都在住。川村先生が優勝したスリーデイズを取材して以来、バックスライドの釣りに何度かトライ。そもそもテキサスリグなどカバーを撃つ釣り全般に強い苦手意識があり今回の道場はとっても不安。後日行なわれた編集部対決(2015年9月号掲載)でもびっくりアワセを連発。日々修行中。
生徒=アマノ
1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。バックスライドでは1尾も釣ったことがない。道場に参加するにあたり、牛久沼の編集部対決(2012年9月号掲載)でバックスライド予習に励んだが、着水点やラインテンションの緩急、ブレーキ設定など、逆に疑問が増えて1日が終わった。この取材でその疑問も解決。ドライブスティックも大好きになり使用頻度が増えた。現ルアーパラダイス九州編集長。
バックスライドセッティングとは……フォールさせたとき、アングラーから遠ざかっていく方向にスライドするようワームをセットする方法。ノーシンカーリグか、ネイルシンカーを埋め込んだ形態が多い。オーバーハングしたカバーの下や、岸際のエグレのなかなどをねらいやすい
浅い小河川こそ繊細アプローチで
川村 じゃあササキ君からやってみようか。S では、先生と同じドライブスティック4.5inでいかせていただきます。ローライトで水も濁っているのでカラーはブラック・レッドフレークにします。
A じゃあボクはライムチャートでいこうかな。
川村 どちらも濁りの中で目立ついいチョイスだと思います。
S 苦手意識のある撃つ釣りで、背後には腕を組んだ川村先生とカメラを構える編集長……。緊張で手が震えてきました……。
案の定、ピッチングによる緊張の第1投は土管の手前でドボン。サイドキャストに変えた2投目は土管のかなり沖でドボン。そこからピピピピッとパニックアクションを演出しながら土管側へ誘導したものだから、テンションを緩めると見事に沖側へバックスライドするというありえない状況。
川村先生にお手本を見せてもらったのち、まずはSが土管攻略に挑戦。ピッチングで届かず、サイドキャストで入らず、オーバーヘッドキャストに……。しかし沖側へバックスライドさせたものだから、腹を抱えのけぞって大ウケする川村先生
川村 いろいろダメだけど何よりマズイのは着水音。これだけ小規模で浅い川のストラクチャーに対して、あの水音は逃げてくださいと言っているようなもの。対岸と違って岸の上にルアーを乗せるのが難しいなら土管の上に乗せちゃえばいいし、それも難しいなら、土管の左右の離れたところに静かに落として、そこから土管側へ誘導すればいいよ。
S 了解しました。今度はオーバーヘッドで。あっ!(ドボン……)。
川村 オーバーヘッドキャストはピッチングに比べると精度が落ちるし低弾道ではないから着水音も大きくなる。この距離ならピッチングでいけるでしょ?
S もう少し土管に近づいてもよろしいでしょうか。
川村 ここは浅いからできれば近づきたくないところだけど、基本、落とし込み一発で食わせる釣りだから精度が第一。自分にとって余裕をもってねらえる範囲内で、ギリギリ遠目から釣る意識でアプローチするといいよ。じゃあ今度はアマノさん。対岸の土管をねらってみてください。
A はい。ここは川幅も狭いし、ノーシンカーといってもドライブスティック4.5inは適度にウエイトもあるからピッチングで対岸の陸上に乗せられます。陸からズリズリして着水させたら川村先生から教わったパニックアクションでピピピピッ。で、土管の先端まで来たらラインを緩めてバックスライド。
川村 うん。ササキ君と違って繊細なアプローチができていますよ。
S ……対岸の土管のほうが投げやすいからですよ。
A なんとでも言ってくれ。ほら、ちゃんと土管の上に乗った。で、ポチャっとな。あ、アタった。それ、あっ、水面でバレた〜。
川村 静かに落とせたからこそ食いましたね。でもアワセがスイープで弱い。わりと太軸のストレートフックを使っているんで、ラインスラックを巻き取りつつガツンとパワフルにアワせましょう。
A 了解しました。あ、またアタった。そりゃ!
交代したAがあっさりバックスライドでの初バスをゲット。先生も嬉しそうです
アワせると同時に飛び出してくるほど小さかったが、Aにとっては記念すべき初のバックスライドフィッシュが登場。
A やれ嬉しや。
川村 早々にバスが釣れてよかった〜。じゃあ、ササキ君も続こう。
S はい。お、今度はピッチングが決まって静かなアプローチができましたよ。で、ピピピピっと水面で誘ったら、ラインをたるませてバックスライド……。
川村 していません。
S へ?
川村 今、手前のラインが枝の上に乗ってますよね?
S ちょっと干渉していますけど、ラインをたるませたらルアーは沈んでいきましたけど?
川村 それだと頭下げの吊るされた状態で、手前へカーブフォールしちゃってます。この釣りはいかにラインを何にも干渉させない、ドフリーな状態でラインを送り込めるかが勝負なんです。
川村 そういう意味では座学でも話したとおり、対カバー用として万能なリグではありません。でもね、テキサスやジグには到底できないバックスライドの独壇場というシチュエーションもある。それはあとのお楽しみ。
その後は川村先生によるマンツーマンの熱血指導が始まったが、Aの耳に聞こえるのは、「遠い!」「もっと静かに!」「もっとラインを緩めて!」といった川村先生の叱咤激励と「ありえね〜」という爆笑ばかり。一方のAは別の土管でせっせとバックスライド。際では当たらず、川の真ん中までピピピピッと引っ張ってからラインを緩めたところ土管に向かったはずのラインが途中で下流側へツツツーと走った。ラインスラックを巻いてバチコンとアワせるとたまらない手応え。おりゃっと抜き上げたのは筋肉隆々の42㎝だった。
Sの個別指導中に自習中のAがグッドサイズをゲット。これには思わず先生とがっちり握手
川村 やりましたね! これぞザリガニ食いのバス。素晴らしいコンディションじゃないですか!
A あざ〜す!! 今度は先生おすすめのブラック・レッドフレークに替えたんです。
恰幅のよい回復フィッシュのお出ましにわが世の春を謳歌するA
川村 うんうん、この水色に効きますよね。ボクも嬉しいですよ。あとはササキ君が釣ったら大成功だ。
A 早く釣れよ。
S ま、まさかの陸上サンドイッチ……?
夏の定番。水門巡りでもバックスライド
ここから本流筋を上流に向かいつつ水門をラン&ガン川村 今度は本流の水門巡りをします。考え方は土管ねらいと一緒。水の動きがあってシェードができるからです。ササキ君、準備はいい?
S はい! フガフガです!
川村 まずはそっと近づいてシェードの1番濃い部分に落とし込んで、水門の角々とヘチを探ったら、水門の前や脇、周辺のブッシュを探って。
S いずれもアタりません。
川村 じゃ長居は無用です。バックスライドの釣りはバスの目の前に落ちれば食う確率が高いので、反応がなければそこにバスはいないと判断して次の水門に行きます。じゃあ、次もササキ君から。
A 最初はキミが追い詰められていく様が面白かったけど、水門みたいな小場所はあとから探っても釣れる気がしないんだよね。だから本心から言うけど、早く釣ってくれ! そして我先キャストを譲ってくれ!
S そう言われましても……。
川村 じゃあ次はふたりが並んで釣れる大場所に入りましょうか。堰の落ち込みなんでいろいろなルアーでさまざまなアプローチができますが、とくに反転流の中にある中洲のブッシュ下はバックスライド向きのピンスポットです。じゃ、そこはササキ君にねらってもらいましょう。
上流部の堰堤下へ。先生から「中洲にできたシェードは絶対にバスがいるよ」というアドバイスを受けフガフガ状態のSだったがノーバイト
しかし、ここは流れが強く複雑なためか中洲との距離が遠すぎるためか不発に終わったS。岸際の細流を探っているAもノーバイトだ。
川村 ここにバスがいないとは考えられないけど……ちょっと投げてみていい? ほら、一撃だよ!
S ……!!
「ここにバスがいないとは考えられない」と言って撃ち手が交代すると一撃!
これも体高のある42㎝だった。それまで数十投も探ったコースからナイスサイズをあっさり釣られたSの心境やいかに。
これまた見事なバスが潜んでいたもんである
川村 今度はちょっと川幅のある川の対岸にある小さな土管だけど、勢いよく水が吐き出している。しかもその上や周りにオーバーハングがあっていいシェードと複合している。ここも出るよ。
S う〜ん、これはどうやってアプローチすればいいんでしょうか?
川村 川幅がちょっとあるんでピッチングでは厳しい?
S 自信がないっす……。
「対岸の土管から勢いよく水が吐き出されているから着水音に神経質にならなくてもいい」と川村先生に言われ大胆にキャストしたところ、オーバーハングにラインがまたいでしまったS。でも、そのアプローチはアリだった
川村 OK。ここは吐き出しの水音が大きいから、それほど着水音に神経質にならなくてもいいよ。
S なるほど。じゃあ大胆にいきます。あ、オーバーハングにラインがまたいじゃった。失敗だ……。
川村 ええ、回収しちゃうの? もったいないなあ、それも正解なのに。
S へ?
川村 この場合、バックスライドは抜きとして、対岸からの遠投でピンスポットを釣るなら枝にラインを引っ掛けてのチョウチンはベストアプローチだよ。
S え、そうなんですか!?
川村 ええ、そうなんですよ(と言って同じ枝に見事にラインを掛けると即ヒット)。
S ズルい!
川村 今のは水面チョンチョンで食ってきたから、まさにチョウチンフィッシュ。キャストがうまく決まってのバックスライドもいいけど、ラインが引っ掛かるのもまたチャンスなんだよ。
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バスの立場で考えてもみてほしい――ドタバタと何かが地面を叩く振動が水中へ伝わってきたあとで、ボチャン!と飛んできたエサっぽいモノに食いついたら、空気中に引っ張り上げられてしまった。同じことが何度か起こる。ドタバタの前に少し離れたところからバタンという振動も伝わってきた。バスは、ドタバタとバタンとボチャン!を危険を報せるサインとして学習する。サインというよりサイレンといったほうが正確かもしれない。
ドタバタはアングラーの足音であり、その前のバタンは車のドアを閉めた音、ボチャン!はルアーの着水音である。
アングラーはバスを釣りたくて水辺に立つのに、「今から飛んでいくのはハリが付いたニセモノだから食べちゃダメだよ」とバスに向けてサイレンを鳴らしてからキャストしていることがある。そういう矛盾が、川村光大郎の岸釣りにはない。
地に足を着けて釣るからこそのメリットを生かし、デメリットを逆手にとってバスの裏をかく。グッドサイズのバスをたくさん釣りたい川村光大郎が、試行錯誤を繰り返しながら体得してきたオカッパリの方法論と技術をまとめた一冊。
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DVD-170分
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2016/07/06