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編集部2016年7月9日

川村光大郎のバックスライド道場 :第6回(全6回)

Basser バス釣り

カバー撃ちの定番、ノーシンカーリグ・バックスライドセッティング。タックルセレクトを誤るとフッキングですっぽ抜けるなどミスの原因となってしまう。正しいタックル&フックセッティングを覚えよう。

警戒心の強い見えバスも見事キャッチ!

橋脚や護岸際でもバックスライドが生きる!

編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト

前回に続き、川村光大郎先生と生徒ふたりがねらうのは橋脚周りと護岸際。

これらのスポットでもバックスライドの特徴が生きる!



 


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※この記事はBasser2012年9月号に掲載されたものを再編集しています

kawa01講師=川村光大郎(かわむら・こうたろう)

1979年生まれ。茨城県生まれ、東京都在住。オカッパリをメインスタイルに、10代のころから本誌に登場してもらっているアングラーで、いまや雑誌やDVDなど各メディアで引っぱりだこ。茂みが似合う男。O.S.Pの社員としてドライブスティックやドライブクローなどの超人気ソフトベイトのデザインを手がけている。ボートフィッシングでも釣りまくるのは変わらず、草深幸範さんと組んで出場した2010年のW.B.S.スーパースリーデイズでは、17200g(3日間合計)というトーナメントレコードで優勝。メインリグはドライブスティック4.5in逆刺し・バクスライド仕様だった。


s3生徒=ササキ

1984年生まれ。広島県出身、東京都在住。川村先生が優勝したスリーデイズを取材して以来、バックスライドの釣りに何度かトライ。そもそもテキサスリグなどカバーを撃つ釣り全般に強い苦手意識があり今回の道場はとっても不安。後日行なわれた編集部対決(2015年9月号掲載)でもびっくりアワセを連発。日々修行中。


amano03生徒=アマノ

1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。バックスライドでは1尾も釣ったことがない。道場に参加するにあたり、牛久沼の編集部対決(2012年9月号掲載)でバックスライド予習に励んだが、着水点やラインテンションの緩急、ブレーキ設定など、逆に疑問が増えて1日が終わった。この取材でその疑問も解決。ドライブスティックも大好きになり使用頻度が増えた。現ルアーパラダイス九州編集長。


バックスライドセッティングとは……フォールさせたとき、アングラーから遠ざかっていく方向にスライドするようワームをセットする方法。ノーシンカーリグか、ネイルシンカーを埋め込んだ形態が多い。オーバーハングしたカバーの下や、岸際のエグレのなかなどをねらいやすい

バックスライドの独壇場へ

kawa01川村 今度は橋をやってみましょう。この時期の橋周りは水門と並ぶ超1級のストラクチャーです。流れもあるし、橋げたが大規模なシェードを作って周りよりも涼しい風が吹き抜ける。暑さを避ける条件が集中していますよね。橋脚という縦ストラクチャーもあるし、橋の周りのブッシュやオーバーハングを含めた大小のシェードもすべてねらいめです。


amano02 あ、あの橋脚、バスがたくさん浮いていますよ!


20次に向かった橋の下の眼福。この光景を見てときめかないアングラーはいないだろう

kawa01川村 あ、本当だ。ギルもいますね。あのデカいのはコイかな。でもバスも数尾いますね。


amano03 この状況ではどのようにアプローチすればいいのでしょうか?


21立ち木の陰に隠れながら作戦を練る先生。SとAには手に負えないスレバスに思えるが……

kawa01川村 これが同じ縦ストでも単発の杭だったらバックスライドでは効率よく探りにくいです。縦に対して横方向へスライドしてしまうわけですから。だったらいずれどこかでバスと遭遇する縦方向に沈むルアーを落とし込むほうが効率的です。でもこの場合はバスが見えているわけだからねらいやすい。



kawa02川村 でも見えているやつはスレているだろうからワームは3.5inにサイズダウンして、カラーは透けたエビみたいなナチュラルカラーがいいかな。ただ、橋脚が単なる縦ストではなくH状に横ストも入っているのが厄介だな。


熟考の末、川村先生が選んだアプローチは下流側(左側)の死角となる橋脚にルアーを軽くぶつけたのち、手前に引いてからバックスライドさせるというものだった。が、キャストが微妙に決まらず魚がいっせいに沈んでしまった。

kawa01川村 あちゃ〜、こういうところは一発で決めないと食わないのに。まあでも時間を空ければまた魚が寄ってきますよ。さ、ここからは釣れますよ!


その言葉どおり、河畔の樹木のオーバーハング下と対岸のブッシュ下で立て続けに3尾のバスを連発した川村先生。

27これは対岸の護岸の張り出しの下に浮いているバスのシルエットを確認して食わせた1尾。「これはジグやテキサスでは獲れなかった魚です」

kawa02川村 これこそが朝に話したバックスライドの独壇場になるシチュエーションなんですよ。


24ここが川村先生の言うところのバックスライドの独壇場だ。どこにでもある垂直護岸に垂れ下がったアシやブッシュが覆いかぶさりシェードを形成。水面との隙間はほとんどないが、無理に奥までルアーを突っ込まずとも、この着水点からバックスライドでシェードに浮いたバスの近くに速すぎないスピードで送り込むことができる

s4 う〜ん、正直カスミ水系ではどこにでもある垂直護岸にしか見えませんが……。


kawa01川村 そう。つまりバックスライドが効くシチュエーションはたくさんあるってこと。キモは魚が浮きやすい「被さりもの」。別図を見てください。上の垂直護岸だとバスは浮きにくいけれど下のように張り出しのある垂直護岸はかなり表層までバスが浮く。そこがもっとも濃いシェードになるから。


illust-c

amano03 上の垂直護岸ならジグやテキサスでも釣れそうですね。


25カバー奥をよく見ると、垂直護岸の上部は張り出していている。オーバーハング下のシェードはジグやテキサスでも撃てるが、魚が護岸の張り出しの直下に浮いていればだいぶ沖を素早く落下することになる。まさにバックスライドの独壇場だ

kawa02川村 そうです。上の垂直護岸の場合、バスは浮きにくいですから。でも下の垂直護岸の場合はジグやテキサスでは効率よく探れませんよね。


s4 たしかに。護岸の張り出しが水面より下にあるから、このシェードの表層に浮いている魚にはジグやテキサスは届けられないですね。


26低弾道かつ高速のピッチングで水面とのわずかな隙間にスパスパとルアーを撃ち込む川村先生。「ボクはブレーキを利かせた状態で使ってます。バックラッシュしにくいセッティングで使ったほうが安心して鋭く振り抜けますので」

28高度なキャストテクニックを要するところはSとAもお手上げで、隣でガンガン釣られるハメに

kawa01川村 そう。仮に下の垂直護岸でアシの下のシェードまで魚が浮いていたとしても、やっぱりジグやテキサスだと目の前をすぐに通過してしまう。ね、バックスライドの独壇場でしょ(笑)。


kawa02川村 じゃあ、さっきの橋脚を再度ねらってみましょう。30分以上経過したんでまたバスたちが橋脚に集まって浮いてますよ。今度は手前に落としてバスのいるほうへバックスライドさせてみます。よし、キャストも決まった。バスが沈んで行きましたね、追ったのかな? このままボトムに置いてみましょう……お、食った食った。下まで追いかけて食いましたよ!


22時間を空けた再度の挑戦は正真正銘の一撃だった。低活性に見える浮きバス、見えバスに口を使わせられることもドライブスティックのすごいところだ

amano03 スレっからしに見えたのに……。




kawa02川村 3.5inへのサイズダウンも効いたと思います。バックスライドと相まって、スプーキーな見えバスも意外なほど口を使うんです。


すっかり感銘を受けたAもこの橋脚の見えバスに挑戦するも、呆気なくバックラッシュで終了。

amano04A ぐわ、やっちまった……。




kawa02川村 うわ、ひどい……。いい機会なんで、ボクが用意したタックル(ブラックレーベル681MHFBとアルファス フィネスカスタム105H。ラインはモンスターブレイブ14Lb)を使ってみてください。アマノさんが使っていたアルファスのタイプFよりもスプール回転がいいから断然軽いルアーが投げやすく、ハイギヤだから手返しも向上します。


amano06 おお、キャストが伸びる! これなら橋脚のスレバスに勝てる!




s6 なわけないでしょーが……。




amano07 キ、キィトリャー!


23すっかり感銘を受けたAも橋脚の見えバスに挑戦。自前タックルは超バックラッシュで殉職したが、先生からお借りしたタックルで挑むと自分でもビックリのキャストが決まって2ヒット1フィッシュ

s2 マジっすか……。




amano03 浮きバスを直にねらうと散らしそうだったんで上流に堆積している枝の上にルアーを乗せたんだよ。


kawa01川村 土管の応用ですね。




amano03 で、枝からポロッと外して落とし込んで下流のバス側へバックスライドさせてみたところティップにグンと重みが乗りました。もちろんカラーは透けた系に替えて。


kawa01川村 バッチリ応用できてますね。




s4 たまたまっすよ……。




amano03 またまたっすよ! キィトリャー!




s7 もうやだ……。




柳の下ならぬ橋の下にいた3尾目のバスはジャンプでバレてしまったものの、川村先生から借りたタックルを使わせてもらい、さらに釣れる気がマンマンになったAに対し、Sの背中からはダメ人間が発する腐敗臭がプンプン……。

kawa01川村 大丈夫、絶対に釣れるから!




s2 なんか朝イチにもそんな言葉を聞いたような……。




kawa02川村 うわあ、完全なダメ人間の出来上がりだ。よし、朝イチの土管周りをもう1回やろう。新しいバスが着いているかもしれないし。


川村先生の読みは当たった。朝は減水して流れもなく淀んだ濁り水だったが、午後は一転して増水。早足で先行するSが土管を探ると25㎝のバスが落ちパクした。

s6 やった〜。釣れた〜。


30 31朝の土管に戻ってついにSが1尾。笑顔が微妙なのはバスが小さいからではなくバックスライド道場なのに落ちパクだったから。2尾目はサイズアップに成功してブイ!

kawa03川村 おお、ついに釣った! キィトリャー!って叫んだ?




s4 ……いいえ。ひとり静かに黙々と粛々と抜きましたけど……。




その後、33㎝も追加してサンドイッチの具から脱出したS。しかし、川村先生が激浅の川でサイトの釣りを見せたいと最後に入った釣り場では上流で川村先生に、下流でAにナイスサイズを釣られ、またもサンドイッチ状態。腐敗臭がほんのり漂ったところでこの日の釣りは終了。 

32最後はまたまた趣が大きく異なる激浅の垂直護岸へ。バスがつくカバーがほとんどないため、バスが移動するときに出す波紋(激浅なので)やシルエットを見て進む方向とスピードを見定め、バックスライドした先で出会うように計算してキャストすればご覧のとおり 33

34川村先生の言葉を証明するオトコ。これまで獲れなかった魚を手に自分でもびっくりしているのであった

川村先生をして「やったことがない人はもったいない」と言わしめるバックスライドの釣りは10月中旬までよく効き、無論、ボートからでも有効だ。ぜひお試しあれ!
 
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 バスの立場で考えてもみてほしい――ドタバタと何かが地面を叩く振動が水中へ伝わってきたあとで、ボチャン!と飛んできたエサっぽいモノに食いついたら、空気中に引っ張り上げられてしまった。同じことが何度か起こる。ドタバタの前に少し離れたところからバタンという振動も伝わってきた。バスは、ドタバタとバタンとボチャン!を危険を報せるサインとして学習する。サインというよりサイレンといったほうが正確かもしれない。
 ドタバタはアングラーの足音であり、その前のバタンは車のドアを閉めた音、ボチャン!はルアーの着水音である。
 アングラーはバスを釣りたくて水辺に立つのに、「今から飛んでいくのはハリが付いたニセモノだから食べちゃダメだよ」とバスに向けてサイレンを鳴らしてからキャストしていることがある。そういう矛盾が、川村光大郎の岸釣りにはない。
 地に足を着けて釣るからこそのメリットを生かし、デメリットを逆手にとってバスの裏をかく。グッドサイズのバスをたくさん釣りたい川村光大郎が、試行錯誤を繰り返しながら体得してきたオカッパリの方法論と技術をまとめた一冊。


 
 
 
 

  
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2016/07/09

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