レッグワームリグで数々の勝利を挙げている小森嗣彦さんの釣りから、レッグワームはなぜ釣れるのか、その理由を分析しています。
トーナメントアングラー・小森嗣彦の代名詞
Basser編集部=写真と文
冬のリザーバーのディープ攻略で定番となっているレッグワームのダウンショットリグ。 毎年初バスはこのリグでキャッチしているという人も多いのではないでしょうか? この記事ではこのリグで数々の勝利を挙げている小森嗣彦さんの釣りから、レッグワームはなぜ釣れるのか、その理由を分析しています。
この記事はBasser2013年3月号に掲載されたものを再編集しています。
ソフトベイトとフックの品番まで絞り込まれた〝代名詞〞
JB TOP50で年間タイトルを3回獲得(2009、2010、2012年)。TOP50霞ヶ浦水系戦連覇(2009、2010年)、オールスタークラシック4回出場中準優勝2回(2009、2011年)、優勝1回(2012年)。これは2009~2012年までの4シーズンで小森嗣彦さんがあげた成績のハイライトだが、このすべてに濃厚に絡んでいるルアーがある。JB TOP50で年間タイトルを3回獲得(2009、2010、2012年)。TOP50霞ヶ浦水系戦連覇(2009、2010年)、オールスタークラシック4回出場中準優勝2回(2009、2011年)、優勝1回(2012年)。これは2009~2012年までの4シーズンで小森嗣彦さんがあげた成績のハイライトだが、このすべてに濃厚に絡んでいるルアーがある。
2.5inレッグワームのダウンショットリグ(フックはSSフック・ワーム19♯3)だ。小森さんは「トーナメントで釣る魚の7割はこのリグです」と言う(プラやガイド、プライベートも含めると「25%」になるという)。
アングラーと特定のルアーが密接に紐付けされている例はほかにもある。吉田幸二さんのクランクベイト、田辺哲男さんのスピナーベイト、河辺裕和さんのフットボールジグ……などである。しかし、小森さんのケースのように、ソフトベイトとフックのモデル、サイズまで固定されている〝代名詞的存在〞はちょっと記憶にない。
あいにく、2016年度からはTOP50シリーズにもエコタックルレギュレーションが適用されたため、現状Fecoに認定されていないレッグワームを使用する選手はいない(※2016年現在の情報です)。しかし、小森さんが2.5inレッグワームを試合で投入し始めた2007年以来、9年にわたって彼の使うレッグワームリグの威力はまったく衰えていなかった。
他選手のライトリグのスキルも非常に高いJB TOP50という舞台で、威力が持続していた理由は何なのか。しかも「シークレット」どころか、手の内をマル裸状態で見せている状態で……。
小森さんにとって、2006~2007年の冬の亀山湖ガイドの経験がレッグワームリグを本格的に使い始めるきっかけになったという
小森さんが〝レッグワームリグ〞と呼ぶ理由
小森さんがオールスター優勝を決めたあとのインタビューで、〝レッグワームリグ〞という言葉が出た。2.5inレッグワームにSSフック・ワーム19♯3を組み合わせたダウンショットリグのことだ。
「いたって普通のダウンショットリグなんですけど(笑)、僕の中ではそれくらい特別な存在ということです。レッグワームリグならではの特性、使い方があります。普通、ダウンショットリグといえばシンカーを何かに引っ掛けて一点シェイクする〝点〞の動きが基本です。ただしレッグワームリグではそれ以外の使い方も重要視しています」
「このリグの本分は『スピード』とくに横方向に速いテンポで引く〝線〞のアクションが大基本です。ほかにも、フォールやステイ、中層スイミングなど、使いこなしの幅が非常に広い。僕がサーチベイトに求める条件を完璧に満たしたルアーなんです」
2007年JB TOP50弥栄湖戦では同リグを使い9位入賞
サーチベイトといえば多くのアングラーはクランクやスピナーベイトなどファストムービングルアーを思い浮かべるだろう。しかし小森さんの考えでは、これらのルアーはフィールドコンディションやバスの活性、サイズを選ぶ。安定してバイト数が多いわけではないため、ベストな選択肢ではない。「サーチベイトはバイトを得やすいものでないと」と小森さん。
また、あらゆるフィールド、状況でレッグワームリグを投入する小森さんにとって、このリグはバスの居場所を探すだけではなく、状態も教えてくれる。同じリグを操り続けるからこそ、バイトが出る場所やバイトの深さ、タイミングを過去のデータと比較することができる。TOP50は3日間の長丁場で、同じコンディションが続くことはむしろ珍しい。このフォーマットで小森さんが他を圧倒しているのは、レッグワームリグによってその日の状況を迅速に把握し、アジャストしているからに他ならない。
そして、レッグワームリグはサーチベイトとして優秀なだけではない。小森さんが試合本番でバスを釣るのもまたこのリグなのである。
2012年のJB TOP50北浦戦では沖の浚渫周りでシェイクと横移動を織り交ぜて使いキッカーをねらった
「テンポが速いからこそ、口を使ってくれるバスに出会える確率が高いという理由がひとつ。あとは、レッグワームが非常に優秀なソフトベイトだという要因が大きいですね」
レッグワームが釣れる理由は次の項で触れるとして、ここで重要なのは小森さんがレッグワームを動かすスピードだ。「1回のシェイクでシンカーが3〜5㎝動くイメージ」と小森さん。これは一般的なライトリグのテンポと比べると非常に速い。実際のスピード感はDVD『小森嗣彦/橋本卓哉 ダウンショットリグ講座』でチェックしてほしい。
優勝したBasserオールスタークラシック2012年大会では、ピンスポットを立てに探る釣りも試した。写真は係留船をレッグワームリグで撃っているようす。このようにさまざまな使い方ができるのもこのリグの特徴。具体的な操作法の解説は第3回にて!
……次回、なぜ釣れるのか!? 小森嗣彦の〝レッグワームリグ〞 :第2回 「そもそもレッグワームとはどんなワームなのか?」
小森嗣彦選手のレッグワームリグでのヒットシーンは必見!
2020/1/5