荻野貴生さんが連載で釣りまくった十八番リグ、シャッドテールワーム・ノーシンカーリグ表層引き。編集部員AとSが荻野先生に入門し、座学と実践で免許皆伝を目指します。 バス釣りの専門誌バサーが、バス釣りのテクニックから道具、試合の最新情報、初心者のバス釣り入門までバスフィッシングのすべてを公開しています。
生徒ふたりも使いやすさを実感。小魚系ベイトが浮き出す秋にお試しあれ!
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
Basserにて連載されていた「オギタ式。」で荻野貴生先生が釣りまくっていた技がある。シャッドテール系ソフトベイト・ノーシンカーリグの表層引きだ。
雄蛇ヶ池で、相模湖で、榛名湖で、印旛沼で、利根川で……。
フィールドを問わない十八番をAとSが学ぶ!
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2012年11月号に掲載されたものを再編集しています
講師=荻野貴生(おぎの・たかお)
荻野先生のブログ「荻野貴生のオギ日記」
1967年生まれ。東京都出身、東京都在住。プロガイドとして活躍しながらタックルショップ「GOOBER」の店主を務める。バスはもちろん、シーバスやメバルなどさまざまな魚種のエキスパートとして活躍している。かつてはW.B.S.に参戦し、クラシックやスーパー3デイズで優勝経験あり。2011年秋に新利根川で行なった「第2回レンタルボートスターウォーズ」ウイナーでもある。
生徒=アマノ(A)
1969年生まれ。東京都出身。前Basser編集長で「オギタ式。」の記者も担当していた。荻野先生の影響を受けまくり、BTS(荻野先生が愛用するシャッドテールワーム)のノーシンカーリグを偏愛している。編集部対決やプライベート釣行でも投げ倒し、Basser編集長になってからの初バスもBTSでキャッチ(新利根川)。今回は愛をより熟成させたいという理由で生徒役に志願した。
生徒=ササキ(S)
1984年生まれ。広島県出身。「BTSのノーシンカーリグ」の素晴らしさはアマノからさんざん聞かされており、何度か試したことがあるが、「巻くとワームが回転してしまう」という理由で挫折。リギングが悪いのか? 巻き方がダメなの? 今回の道場でそれも克服でき、引き出しのひとつに加わった。
荻野先生のブログ「荻野貴生のオギ日記」
1967年生まれ。東京都出身、東京都在住。プロガイドとして活躍しながらタックルショップ「GOOBER」の店主を務める。バスはもちろん、シーバスやメバルなどさまざまな魚種のエキスパートとして活躍している。かつてはW.B.S.に参戦し、クラシックやスーパー3デイズで優勝経験あり。2011年秋に新利根川で行なった「第2回レンタルボートスターウォーズ」ウイナーでもある。
生徒=アマノ(A)
1969年生まれ。東京都出身。前Basser編集長で「オギタ式。」の記者も担当していた。荻野先生の影響を受けまくり、BTS(荻野先生が愛用するシャッドテールワーム)のノーシンカーリグを偏愛している。編集部対決やプライベート釣行でも投げ倒し、Basser編集長になってからの初バスもBTSでキャッチ(新利根川)。今回は愛をより熟成させたいという理由で生徒役に志願した。
生徒=ササキ(S)
1984年生まれ。広島県出身。「BTSのノーシンカーリグ」の素晴らしさはアマノからさんざん聞かされており、何度か試したことがあるが、「巻くとワームが回転してしまう」という理由で挫折。リギングが悪いのか? 巻き方がダメなの? 今回の道場でそれも克服でき、引き出しのひとつに加わった。
BTS
シャッドテール系ソフトベイトとは……先端が左右に幅広い「シャッドテール」を備えたソフトベイト。リトリーブするとここが水を受け、テールを左右に振るようにアクションする。ノーシンカーリグ以外にも、テキサスリグ、ジグヘッドリグ、ダウンショットリグなどさまざまなリグで使いやすい。
シャッドテール系ソフトベイトとは……先端が左右に幅広い「シャッドテール」を備えたソフトベイト。リトリーブするとここが水を受け、テールを左右に振るようにアクションする。ノーシンカーリグ以外にも、テキサスリグ、ジグヘッドリグ、ダウンショットリグなどさまざまなリグで使いやすい。
フローティングストラクチャーはバスが見えないときがチャンス
前回は、ルアーを一定リズムで巻くことがバイトを引き出すのに重要だということを学んだ。たとえば、枝や杭に突っかかりそうなコースで巻く場合など、バスが獲物を追い詰めるイメージをもちやすいのだという。だから、杭の横でバイトがあったとしても、それは杭についていた魚ではなくかなり遠くから追ってきて食った可能性も高いのだ。
S シャッドテール表層引きはオイルフェンスや台船周りでも効きそうですが、そこで食ってきたバスもフローティングストラクチャーから離れた魚なんですか?
荻野 いい質問ですね。もちろん、離れたところから食いに来るケースもありますが、フローティングストラクチャーにタイトについていた魚のほうが多いですね。
オイルフェンスやブイといったフローティングストラクチャーもシャッドテールの表層引きに適している
台船の際や隙間もこするようにして大胆にトレースする。「ソコまで投げる?」的な大胆キャストを心がけよう
S やっぱり。自宅から近い相模湖によく行くんですが、オイルフェンスにいい魚が浮いていることが多いんですよ。
荻野 でも釣れないでしょ(笑)。
S そうなんですよ……。バドとかトップ系を投げても、ほぼ無視されるか逃げられます。
荻野 ササキ君からバスが見えているということは当然バスからもササキ君が見えている。さらに言うと、ベイトフィッシュからもバスが見えている。つまりそのバスは釣れにくいし、本物のエサも食べにくい。
S ……どういうことでしょう?
荻野 別図を見てください。ササキ君から見えるということはバスのポジションはA、B、Cのいずれかですよね。でも、本気でベイトフィッシュを食いたくて待ち構えているバスのポジションはDなんですよ。だからアングラーからは見えづらいし、ベイトフィッシュからも見えない。だから、ベイトフィッシュは安心してAとかBの付近を無防備に泳いでバスに食われてしまう。昔から〝見える魚は釣れない〞って言いますが、あれは真理ですよ。
アングラーからバスの存在が見えないときほどチャンスは大
S そっか。見えないときがチャンスだったんだ!
荻野 2011年の夏の『オギタ式。』で西湖に行ったじゃないですか。あのブイについていたバスはまさにフィーディングモードの魚でしたよ。透明度の高い西湖で、遠い裏側から回ってバスの存在は確認できましたけど、普通のボートポジションからは見えない、まさにDでスタンバっていた魚です。西湖ではソフトベイトが使えないのでフローティングミノーのI字引きで2尾を釣りましたけど、ブイからヨコに伸びるロープもあるからBTSだったらもっとタイトに探れて勝負も早かったはずです。
カバーの中も巻いて釣れるメリットを実感
釣り開始から2時間。朝マヅメのモーニングバイトを期待したものの唯一のバイトはカバー最奥であった荻野さんへの1回きりだった。
荻野 ブッシュの最奥だったんで見えなかったけど音からしてデカそうでしたね。う〜ん、もったいない。
S フロントでエレキを踏む荻野さん、明らかに釣れそうなコースにルアーを投げてないっすよ。どうせボクらには入れられっこないブッシュの最奥だけはスキッピングで送り込んでますけど……。
A 核心部は触らずオレらに釣らせようとしているのがヒシヒシと伝わるな。どーにかしたいけど……。
S ん? んん? 巻いて巻いて……乗りました!
岬状に張り出したアシの茂みに投じたSのBTSが、泳ぎだしと同時にバシャっと襲われた。慌てず巻き続け、バットに重みを乗せるとフッキングが決まり本日1尾目が登場。
荻野 やりましたね! 朝に比べると巻きのリズムが安定していたし、巻きアワセもバッチリでしたよ。
S あざーす! なんかすごい釣れる気がしてきました!
A たまたまだよ……。
『オギタ式。』担当記者にして編集部きってのBTSラバーを自認するAは、このツーショットに自分がおらず、部下のドヤ顔を撮影していることに相当ブルーになったのだった……
S (バシャッ)あ、ほら、また出ました。巻いて巻いて……ドン! 本日2尾目でございます!
荻野 いいですね。完全に掴んだ感じじゃないですか。
A ……お前、オレが3年越しでわからないのに数時間で掴むなよ……。
S いやあ、なんでアマノさんがBTSを投げまくっているかわかりましたよ。すっごい便利ですもん。
荻野 そう、便利。杭やヘラ台といったタテストにも効くし、アシやゴロタ場、傾斜護岸にテトラといった面をスピーディーにサーチでき、今日みたいなピーカンでカバーの奥で動かない魚にもスナッグレス性能を活かしてこちらから出向いて行けるんですから。
S 正直、スピナーベイトとかバズベイトとかクランクベイトの出番が減りそうで怖いくらいです。
荻野 かつてはそうしたルアーを巻いたシチュエーションで今はBTSを巻くことが増えましたよね。でもそれらハードルアーの出番は絶対になくなりません。たとえば今日なんてバスが表層を意識していないはずだから、バズベイトの強い波動と大きなサウンドのほうがバスに気づかせやすいし、浮いていない魚の目線に合わせるという意味ではスピナーベイトやクランクベイトも効くでしょう。ただ、バスがベイトフィッシュを強く意識しているとき、それらとは異色の強すぎない波動がバッチリとハマることがある。あとは「ソコまで投げる?」的な使い方ができることがメリットですね。
S 最初に先生が食わせたブッシュ最奥なんて、バックスライド系でのみ入れ込めるカバーでした。
荻野 しかもそんなカバーの奥をヨコの動きで食わせられるんですから便利ですよ。
12Lbラインとミディアムパワーのロッドに対してあまりにも太いフックに最初はアンバランスさを感じたSだが2連続ヒットを達成するや「ベストセッティングでございます」と感服
午前中はササキの2尾で終了。インタビューを兼ねた長めのランチタイム&休憩を挟んだ午後3時から再び利根川に浮かんだ。向かった先は午前中にもチェックしたが水色が悪かったためすぐに引き上げた支流の根木名川。Aは鼻息も荒く右巻きのリールをセットしていた。
荻野 本流よりも根木名川のほうが多少なりとも流れがあるし、河口からある程度遡るとちょっと水温が下がって水色がよくなりましたね。
S 午前は右岸を釣りましたが午後は左岸を流していくんですね?
荻野 ここは傾斜護岸が続く変化に乏しい川ですけど、所々に濃い木々やブッシュがある。この時間帯に濃いシェードが形成されるのは左岸ですから。
荻野先生は左岸の10mほど沖にボートポジションを取ると、午前中よりもかなり速いペースで上流に向かって岸と並行にボートを進めた。当然、岸と垂直気味に投げてしまうと巻いているラインはU字を描いてしまい、ルアーをボートより下流から引っ張ってくることになり、一定のテンションや巻き心地を維持することはできない。
A 流しが速くなったんで、ルアーが置いてかれ気味になるなあ……。
荻野 だから前に前に、被せるようにキャストして、水を掴みつつ速めに巻いてください。
S 流しが速くて巻きも速いから手返しも速いですね。
荻野 この川の核心部はあくまでも点在する濃いシェードだから、そこ以外はサッと流します。あ、食った。大きくないけど(笑)。
第2ラウンドの午後は根木名川へ。先生の先制フィッシュでスタート
濃いシェードに入る前に、先生が最愛のパールカタクチカラーのBTSでサクっと1尾をキャッチ。撮影が終わると、濃いシェードがあるブッシュに差し掛かったところでボートをスローダウンさせる荻野さん。SもAも、その意味は痛いほどわかっている。ブッシュの上流にキャストしたSのBTSは何事もなく回収。ブッシュの奥へキャストしたAのBTSはカバーの奥でスタックしたもののポロリと外れた直後の巻き始めでボシュッ。
A 出た! 巻いて巻いて巻いて……乗りました!
遅ればせながらAも1尾釣ってホっとひと息。ベイトリールは右巻きでも左巻きでも気にしないで使っていたが、今回ほど右巻きの利点を感じたことはなかった
荻野 これで全員ゲットじゃないですか。8月でこれなら9月はもっと楽しめますよ。
S 先生、スプーンテールシャッドに替えてみてもいいですか。
荻野 もちろんです。BTSとは異なる波動なんで、どっちを好むか試してみるのは面白いです。
S 使い方は同じですか?
荻野 ハイスピードで巻けば細かいローリングとバイブレーションを生みますし、スローでもOK。スピード幅は意外に広いですね。しかもシャッドテールなのにジャークするとダートしますからロッド操作を加えてもいいです。サイズは5inがいいんじゃないんですか。
S なるほど。お、泳ぎがピリピリして巻き心地も違う。センターラミネートボディーのきらめきもいい感じです。
ボシュッ!
S 出た!
荻野 いいサイズですよ!
根木名川でのクライマックス。スプーンテールシャッド5inに変えた途端にSがナイスサイズを食わせることに成功
荻野先生がネットインしたのは本日初の40㎝アップだった。
S バラシが多いボクなのに3バイト3フィッシュ(その後1尾を追加して4バイト4フィッシュ)。もっと食い損ねが多いのかと思っていましたけど……。
荻野 みんな本気食いだからバラシが少ないんですよ。これが単なる水面ピロピロとの違いです。表層のわずかな幅でしかないけれど、上昇軌道で壁である水面に向かって泳がせるからバスの捕食スイッチが入っちゃうんでしょうね。
その後、本流にてAも1尾を追加して2バイト2フィッシュとした。
A 魚が手前に走ってきたのでバットに重みが全然乗りませんでしたけどボートの手前でようやくフッキングしました。
荻野 これまでのアマノさんならラインスラックを巻き切れずにバラしていた可能性が高い魚ですよね(笑)。でもちゃんとフッキングしているのは、本気食いしたのと巻きアワセで深く貫通させたからですよ。あとは水掴みと上昇軌道を意識しながら「ソコまで投げる?」的な攻めの釣りをすれば、この秋はもっともっと楽しめますよ!
片想いに終わるかと思えたAだが最後に愛が通じてこの笑顔。「船ベリまで巻きアワセしてよかった♥」
水温が低下する秋の釣りを先取りするにはあまりにも〝真夏〞なシチュエーションだったが、シャッドテールの表層引きの奥深さはSにもAにも充分に伝わった。そして取材直後、9月に入った途端に残暑も落ち着き、雨の日が増えてだいぶ過ごしやすくなった。荻野先生によれば途端にこの釣りが効きだしたというからますます楽しみである。
荻野貴生さん&沖田護さんコンビが映像でも活躍
BTSのノーシンカーでのヒットシーンも!
2016/8/24