O.S.P でハイピッチャーなどの名作スピナーベイトの開発に携わってきた橋本さんに、スピナーベイトのブレードに関することを伺いました。
スピナーベイト選びがもっと楽しくなる!
編集部=写真・文
O.S.P でハイピッチャーなどの名作スピナーベイトの開発に携わってきた橋本さんに、スピナーベイトのブレードに関することを伺いました。
この記事はBasser2020年11月号に掲載したものを再編集しています。
橋本洋一(はしもと・よういち)
東京都在住。O.S.P 立ち上げ当初より様々なルアーを並木敏成さんとともに生み出してきた開発部隊の最
古参にしてキーマン。プライベートではトーナメントにも積極的に参戦。
名門釣りサークル日本大学「チャートリュース」出身。若き日のお気に入りスピナーベイト遍歴は「バイブラシャフト→クリスタルS→SRミニ」
前回の記事→ バス釣り・スピナーベイトのブレード解説その2(全4回) ブレードが生み出すバイブレーション編
カップの深さについて
橋本 次は非常に重要な「カップの深さ」に関してです。
これもバイブレーションの強弱に強い影響を及ぼしています。
―カップが深いとバイブレーションが弱くなって、カップが浅いとバイブレーションが強くなる、とはなんとなくイメージできます。
橋本 そのとおりです。厳密には、「横方向のカップ」が深いと回転半径が小さくなってバイブレーションが小さくなり、浅いと回転半径が広がって遠心力が増し、回転系バイブレーションが強くなります。
―カップの深さにも縦横2種類あるんですね……。
橋本 「横方向のカップ」は、ブレードを横に切ったときの断面のカーブのことです。 このカーブがキツい(カップが深い)となぜ回転半径が小さくなるのか。
その理屈は簡単です。ブレードはこのカップの曲線に沿って円を描いて回ろうとするからです。当然、カップが深ければその円の径は小さくなりますし、カップが浅ければ回転半径は広がるわけです(イラスト参照)。
―目からウロコです……。
では、縦方向のカップの深さは何に影響するんです か?
橋本 ブレードの引っ張り力。つまり水噛みの強さです。
縦方向にカップがないブレードは、水が引っ掛からずにスルっと抜けてしまいます。 当然、引き抵抗は弱くなります。
―なるほど。引き抵抗やバイブレーションといったブレードの「強さ」という観点では、横方向のカップが浅いほど強く(回転半径大きい)、反対に縦方向のカップが深いほど強く(水を逃がさずグリップする)なるんですね。
橋本 そういうことです。
―今まで漠然としていたブレードの形状とその特徴が頭の中で整理できました。ありがとうございました。
カップの深さはブレードデザインの重要事項。同一の形状でもカップの
有無でブレードの性格はまったく違ったものになる
横方向のカップの例。左はタイフーン、右はハイピッチャーのブレード。横
方向にカップが深くデザインされたタイフーンのブレードは回転半径が小
さくなり大人しい回転に。ハイピッチャーは横方向が限りなくフラットに近
いデザインで、回転半径が大きくなり、引き抵抗やバイブレーションが増
強される
縦方向のカップの例。右がタイフーン、左がハイピッチャーのブレード。タイフーンのブレードには縦方向のカップがなく、水を抵抗なく後ろに逃がすデザイン。一方、ハイピッチャーはエッジが立った縦のカップがデザインされており、ここで水をグリップすることで引っ張り系バイブレーションの
原動力となる
次回はハイピッチャーシリーズ各モデルを紹介します。
ブレードの組み合わせ別のスピナーベイト紹介も!