実践でバド系ルアーの使い方を学ぶAとS。バド系を投げたいシチュエーション、巻くべきコースとは?
古沢勝利のビッグバド道場 :第5回(最終回)どこに投げて、どう巻いてくる? バド系はこんな場所を巻け!
編集部=写真・文、もりなをこ=イラスト
実践でバド系ルアーの使い方を学ぶAとS。バド系を投げたいシチュエーション、巻くべきコースとは?
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ!
※この記事はBasser2014年6月号に掲載されたものを再編集しています
講師=古沢勝利(ふるさわ・かつとし)
古沢先生の公式サイト
1967年12月8日生まれ。東京都杉並区出身、八王子市在住。JBトップカテゴリーで活躍(1999年JBワールド河口湖戦優勝)したのち、渡米し2002年から2007年までFLWツアーに参戦。2007年FLWツアープロ部門で年間8位を獲得。ビッグバドの使い手としても名を馳せ、2000年のJBワールド琵琶湖戦では初日にバドだけで7kgオーバーのウエイト(5尾)を持ち込み話題を集めた。2012年に自身のブランド「カッツバディ」からドラフトウェイカーをリリース。現在は定期的に湖上セミナー「マスターマインドミーティング」を開催している。釣り方のレクチャーだけでなく、参加者同士の交流を図り、個々のバスフィッシングが向上していくことを目的としたイベントだ。
生徒=アマノ
1969年生まれ、東京都出身。これまでの人生でまともにバド系ルアーを引いた経験はなく釣果も夜のナマズくらい。今回はふたりのバドラバーズに挟まれて出番なしだろうと端から傍観モードですが、これで釣ってみたい気持ちはもちろん強く、弟子入り志願。後日行なわれた編集部のヘドンルアー縛り釣行(Basser2014年8月号掲載)では古沢先生の教えを忠実に守り、ビッグバドで2尾をキャッチできました。現ルアーパラダイス編集長。
生徒=ササキ
1984年生まれ。広島県出身、東京都在住。ハードベイトのなかで、一番多くのバスを釣ったのも、もっともデカいのを釣ったのもビッグバド。2012年のH-1グランプリ初戦・牛久沼戦をビッグバドで優勝し、最終戦の新利根川でもビッグバドで釣って年間優勝したという麗しき思い出もあり、「僕のバスフィッシングのほぼすべて」と言うほど愛している。この道場のあとは潜らせるのをやめて水面で使うようになりました。
バド系ルアーとは……浮力の強いリップ付きのボディーと、テールに取り付けられたブレードが特徴のルアー。ヘドンがビールメーカーのノベルティーとして作った「ビッグバド」がその元祖。ゆっくりリトリーブするとブレードとボディーがヒットするサウンドを立てながら、水面に引き波を立てて泳ぐ。
古沢先生の公式サイト
1967年12月8日生まれ。東京都杉並区出身、八王子市在住。JBトップカテゴリーで活躍(1999年JBワールド河口湖戦優勝)したのち、渡米し2002年から2007年までFLWツアーに参戦。2007年FLWツアープロ部門で年間8位を獲得。ビッグバドの使い手としても名を馳せ、2000年のJBワールド琵琶湖戦では初日にバドだけで7kgオーバーのウエイト(5尾)を持ち込み話題を集めた。2012年に自身のブランド「カッツバディ」からドラフトウェイカーをリリース。現在は定期的に湖上セミナー「マスターマインドミーティング」を開催している。釣り方のレクチャーだけでなく、参加者同士の交流を図り、個々のバスフィッシングが向上していくことを目的としたイベントだ。
生徒=アマノ
1969年生まれ、東京都出身。これまでの人生でまともにバド系ルアーを引いた経験はなく釣果も夜のナマズくらい。今回はふたりのバドラバーズに挟まれて出番なしだろうと端から傍観モードですが、これで釣ってみたい気持ちはもちろん強く、弟子入り志願。後日行なわれた編集部のヘドンルアー縛り釣行(Basser2014年8月号掲載)では古沢先生の教えを忠実に守り、ビッグバドで2尾をキャッチできました。現ルアーパラダイス編集長。
生徒=ササキ
1984年生まれ。広島県出身、東京都在住。ハードベイトのなかで、一番多くのバスを釣ったのも、もっともデカいのを釣ったのもビッグバド。2012年のH-1グランプリ初戦・牛久沼戦をビッグバドで優勝し、最終戦の新利根川でもビッグバドで釣って年間優勝したという麗しき思い出もあり、「僕のバスフィッシングのほぼすべて」と言うほど愛している。この道場のあとは潜らせるのをやめて水面で使うようになりました。
バド系ルアーとは……浮力の強いリップ付きのボディーと、テールに取り付けられたブレードが特徴のルアー。ヘドンがビールメーカーのノベルティーとして作った「ビッグバド」がその元祖。ゆっくりリトリーブするとブレードとボディーがヒットするサウンドを立てながら、水面に引き波を立てて泳ぐ。
こんなときは迷わずバド系をチョイス!
A バド系にはどんな感じのバイトが多いんですか?古沢 アフターの時期はびっくりするくらい小さいバイトです。音を聞きながら巻いていると音が聞こえづらくなってきて、よく見るとウキがジワーっと沈むみたいにルアーが音もなく消し込んでいきます。
A そこからのアワセは?
古沢 それは通常のクランキングと一緒。バイトがあったらスラックを巻き取って魚の重みを感じたらしっかりとアワせます。フックもデカいですし、きっちり貫通させるにはしっかりとしたアワセが必要です。魚が体力を回復すれば通常のトップウォータープラグと同様に水柱を上げたりゴボっと反転して引っ手繰っていくような派手なバイトが増えるから、初夏以降も最高に面白いです。
S 具体的にバド系ルアーを通すならココっていう決まりはあるんでしょうか?
古沢 通常、トップウォーターやシャロークランクを通すところとそんなに変わりません。その1投のコースの中に何かがあるほど可能性が高まるのも同じです。たとえばカバーがあり、立ち木があって、ブレイクがある、とか、濃いシェードがあって柱のような縦ストがあってブレイクやウイードも絡む桟橋などです。
1投の中に複合する何かが多いほどいい。写真のように石積み、杭、ブレイクといったコースを引くなら少なくとも杭にはタイトに通せるコースを引く
桜川河口沖の石積み。春になると越冬場からバスが差してくる実績場
古沢 このようにひとつのコースに何かが複合していればいるほどいいですね。とくに桟橋とか橋脚など大きなマンメイドストラクチャーはデカバスがついていることが多いんだけど、引き方のコツがありますから別図(イラスト左下)を参照してください。
A あ、ボクは②のコースから引いていました。
S ボクもです。②こそドリームコースと思っていましたよ。
古沢 それも間違いではないんだけど、経験上、①から通すと見切られにくい。①のなかでもどの角からねらうかは風向きや太陽の位置や流れによりますが、とにかくストラクチャーにタイトに居着いているデカバスに対しては線ではなく点で食わせましょう。
S それはなぜですか?
古沢 まず長時間ルアーを見せないことで見切られにくくなります。しかも近づいてきたかと思ったら遠ざかってしまおうとするので、バスに捕食のスイッチが入りやすい。
桟橋やフローティングストラクチャーに対しては効率よく並行引きしたくなるが、本当にデカい魚のスイッチを入れやすいのは角だという。だからまずは両端の角を通してから平行引きを試みるのが古沢先生のやり方
「台船、ブイ、マットカバー、レイダウンなどの直下に産卵を終えたメスが浮いていることが多い。動きが鈍いだけで食い気はあるからバド系ルアーが本当に効きます」と古沢先生
くずれたヘラ台なども平行引きしたくなるが、あえて離したところから先端角へゆっくり導いていくのも手だ
A これだと多少ミスキャストをしても、その後のボートポジションの調整で角にかすめるようにトレースできますね(笑)。
古沢 はい。それも利点です。
S 長時間見せないほうがスレにくいのに、ボートからルアーの着水点はだいぶ離れていますね?
古沢 やっぱり魚からボートが遠いほど警戒心を与えないし、魚からルアーの着水点も離れているほど警戒されにくい。そして巻き物全般に言えることだけど、着水点から魚までの距離が短いと誘い切れないことが多いから、「ここで食わせる」というスポットの近くには着水させないほうがいい。だから引き代は長く取りましょう。
S なるほど。勉強になります。では、巻き物全般ではなく、これはバド系ルアーの独壇場というシチュエーションはありますか?
古沢 あります。それが水深50㎝しかないようなシャローで、しかも浮いている魚を相手にするときです。
ストレッチのなかの小さなワンドやポケットに対してはボートを寄せて接近戦。スタックしやすいアシ原や植物帯カバーなどに対してはピッチングも駆使してカバーのギリギリにキャストしていく
S それ、すっごくわかる気がします。だってさすがのボクでも王道的に表層に引き波を立ててカッコンカッコンしますもん。
古沢 だよね(笑)。こんな魚にワームを撃ち込んでも、目線と合っていない。しかもこの水深でバスが浮いているのは底のほうで何かがある場合が多い。たとえば表層だけ澄んでいてそこから下は濁っているとか、水温が低いとか、酸素が不足しているとか。
古沢 実際、パタッと釣れなくなるターンオーバーのときはバド系ルアーの独り勝ちになることがある。タフな状況でも魚に存在を気付かせやすく、また、対応できるくらい遅く、魚を驚かせないどころか仲間意識すら持たせる波動でスレさせないからだと思う。
こうした堅めの浮きゴミはリップを支点にしてもんどりうつように乗り越えるから大胆に通してみるべき
こうしたカバーの回避能力の高さはリップ付きのクランクベイトの一面を強く実感させられる。ポッパーやペンシルベイトではなかなかこうはいかないだろう
古沢先生は大胆にもこんな高さのある鉄板も乗り越えさせていた
進行方向の斜め45度に遠投していくのが基本。手前に水深や地形の変化に乏しい場合はショアライン沿いにボートを寄せて岸と並行にキャストしていく
着水点はなるべくカバーの際に。その際、カバーが倒れた竹や堅いアシなど乗り越えやすいものなら大胆に撃ち、枯れ草や枯れ枝などもろくてまとわりやすく乗り越えにくいものならギリギリ手前に着水させる
Sのヤル気スイッチをONにしたビッグバス!
A とりあえずロッドは6ft半のミディアムパワーを2本用意しました。1本はややファーストテーパー気味で、1本はややスローテーパー気味です。どっちが合っていますか?
古沢 それは使ってみて各自の判断でいいと思います。ボクは7ftのグラス製のクランキンロッドを使っていますが、やはり一長一短があって、グラスコンポジットのほうが短所は減るのかなとも思っています。もちろんカーボンロッドでもいいけど、あまりにも硬すぎるものは泳ぎが悪くなるはず。
しばらく2本のロッドを使い分けていたAだったが、一長一短の狭間で揺れる乙女心状態に。
古渡北岸のテトラ帯。「陽当たりがいいから水温が上がりやすく、テトラ、ブッシュ、ブレイクが複合し、越冬場と思しきディープにも近いから春の魚が上がってきやすいのでは?」と古沢さん
A カバーへタイトにキャストを決めやすいのはファーストテーパー寄りのロッドですね。アシや枯れ草に触れてもワンアクションで外しやすい。でも、泳ぎがせやすいのはスローテーパー気味のロッドです。ただ、ちょっと枯れ草に絡んだだけでスタックしやすく、キャストがよりシビアになるかなあ……。
古沢 そういうことです。キャストに自信があるなら泳ぎの質が高まるロッドを使えばいいし、キャストに自信がないならキャストの質が高まるロッドを使えばいいですよ……ん、んんん……?
S んんん……?
A あ、ロッドが激曲がりしてるじゃないですか!
古沢 バスかなぁ……としたら相当デカいけど……あ、バスだバスだ!
Aにロッドの解説をしている最中に音が消え、ロッドに重みが伝わった……と思ったらナイスサイズのバスが食っていた!
S デカ! てか、太っ!
44㎝で1700gもあるフットボール体型の春バスがブルーバックチャートカラーのドラフトウェイカーのフロントの赤バリにガッチリとフッキングしている。
「これがバド系ルアーの実力ですよ」と、なぜかドヤ顔で写り込むS。それにしても素晴らしい体高。ウエイトは1700gもあった
古沢 プリの魚も釣れるんだね。いやあカスミにしてよかった(笑)。
S どんなバイトだったんですか!
古沢 ごめん(笑)。アマノさんにロッドの解説をしている最中だったから目を離していた。でも、ゆっくり巻いていたから潜らせたわけではないけれど、音はその前から聞こえにくかったからほんの少し潜っていたのかもね。
A どこで食ったんでしょう?
古沢 テトラ場だけど、食ったのはテトラが沈んで見えないところ。テトラのトップに浮いていた魚かも。
S (やっぱ沈ませたほうが食うんだ……)。こりゃあ、今日は釣れ釣れじゃないですか!
古沢 (え、そんなわけないじゃん……)。そ、そうだね。頑張って2尾目を出そう!
S ハイ!
古沢先生のヒット直後のSは、なぜかこれから悪事を働く顔でエナジードリンクを一気飲み。「やっぱバド系ルアーはスゴい。きっと今日は釣れ釣れの差し差しのウハウハだ。さあ、夕方までガンガン潜らせるために栄養補給だ!」とでも思っているのだろうが……
でもって夕方までひとりディープクランクベイト道場よろしくニーリングまでしてグリグリしまくったもののノーバイトに終わった
でもって夕方までひとりディープクランクベイト道場よろしくニーリングまでしてグリグリしまくったもののノーバイトに終わった
素晴らしいバドフィッシュを見てヤル気スイッチが入ってしまったSは「スロー? 何それ?」「引き波?何それ?」状態でビッグバドをマシンガンキャスト。着水と同時にズボっと沈ませて急潜航させてはファストムービングさせるいつも釣りを夕方までやり切ってノーバイト。一方、カッコンカッコンさせ続けたAもノーバイト。古沢先生も追加はならず。
古沢 古渡で早いうちに1尾出たから水温の上がる午後から小野川に入れば何かが起きるかと思ったけど、やっぱり時期的にそんなに甘くはなかったね(笑)。まあ、あの1尾がバド系ルアーで出たことが驚きだし。
S そうですか……。ボクは朝の1投目から夕方の最後の1投まで、釣れる気しかしませんでした……。
古沢 それはすごいメンタルだ。ある意味で尊敬に値するし、そこまでバドを信頼しているんだから本当にバド愛を感じるよ。正直、ボクなんて内心「やっぱりバドにはどう考えても早い状況だよなあ……」と思いつつ流していましたからね〜。
S そうなんですか……。
古沢 でも、何度も言うけど、早ければ4月下旬、遅くとも5月上旬には絶対的な信頼ルアーになって、ボクも「釣れる気しかしない」状態になって投げるよ。それにしても今日はボクもいろいろと勉強になったなあ。春先に釣れることもわかったし、潜らせて使うという裏道も教わったし(笑)。
A ボクは王道でアフターをねらってみます。
S ボクは……5月の自分の身体がどう動いてどの道を進むのか楽しみにしておきます……。
ドラマ魚は拝ませてもらったものの自身にはなんのドラマも起きなかったAは暮れなずむ湖上でビッグバドを手に「これからはSの与太話に耳を傾けず王道を進もう」と誓ったのだった
この取材の後日、6月に行なわれたヘドンルアー縛りの編集部釣行(※掲載は2014年8月号)にAはビッグバドを持ち込んでいた。そして、当時の新人アライの前で2尾をキャッチし、編集長(当時)の面目を保ったそうな
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