まずは船長の指示ダナまでオモリ(エサではなくオモリ)を落とし、その後ハリスの長さ分イトを巻き取る。これはハリスを張るための重要な工程。この動作を抜かしてしまうと、シャクリを入れてもエサに動きが伝わらずアタリが出にくくなってしまう。
基本のシャクリと取り込みのコツ!
写真・文◎編集部
東京湾のタチウオ釣りでスタンダードな存在なのがテンビン釣り。魚の切り身を用いるエサ釣りだが、その動作はまるでルアーゲーム。シャクリのリズムや強さで恐ろしいほどの差が出る釣りなのだ。重要となるラインのセレクトからシャクリの極意まで、タチウオとの駆け引きを制する基本をお伝え!
この記事は月刊『つり人』2021年9月号に掲載したものを再編集しています
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目次
- 第1回:東京湾タチウオ釣りの概要
- 第1回:サオは7:3のライトゲームロッドでOK
- 第1回:ラインは視認性の高い船釣り用PEが◎
- 第2回:仕掛けは工夫ポイント多数!
- 第2回:エサ付けこそが隠れた勝負所!
- 第3回:基本のシャクリ
- 第3回:アタリから獲るまでの流れ
基本のシャクリ
仕掛けを投入してからの流れを解説しよう。まずは船長の指示ダナまでオモリ(エサではなくオモリ)を落とし、その後ハリスの長さ分イトを巻き取る。これはハリスを張るための重要な工程。この動作を抜かしてしまうと、シャクリを入れてもエサに動きが伝わらずアタリが出にくくなってしまう。
そのあとシャクリを入れつつ巻き上げていき、船長が指示する水深まで仕掛けを徐々に上げていく。縦方向に広い範囲を探るイメージだ。時には水面ギリギリでヒットすることもあるからタチウオ釣りは面白い!
指示ダナはタチウオの群れよりも上の層になることが多いため底までオモリは落とさない。タチウオはエサを食い上げる習性があるので群れにダイレクトに仕掛けを落とすと警戒されてしまうからだ。
シャクリが大事なポイント。サオ尻を脇に挟み、穂先を海面に向けて低めに構える。そして、オモリの重さを感じながらシャクリ。このときオモリの重さを感じなければ、それはイトフケが出てしまっているということ。すなわちシャクってもエサに動きが伝わりにくいのだ。
以下は千葉県富津の名門・ひらの丸船長から以前聞いた金言。
「アタリが出るシャクリ幅やペースはその日ごとに違いますので、まずは『30~40cmのシャクリ+リールのハンドル1/2回転』というペースでやってみてください。小さく強いシャクリが基本です。前アタリだけで終わってしまうようならハンドルの回転を1/4にしてみてください。浅場のタチウオは攻めの釣りです。本アタリまで持ち込める方法を探して、うまく釣れるシャクリを作ってくださいね」
「釣れるシャクリを作る」という言葉が胸に残った次第。
実際、シャクリごとの「間」を作らず動かし続けたほうが食い込んでくれるタイミングもあれば、シャクリ直後にすみやかにサオ先を戻し、ラインの小さなタルミを作って「間」をもたせたほうが食い込みがよくなる時間帯もある。その日ごとに当たりの動かし方があるというより、時間ごとに刻一刻とパターンは変わるものだと思っておいたほうがよさそうだ。
水平よりも低い位置からシャクリを入れていく
調整がだいじと書いたが、基準があってこその調整。そうでないと混乱してしまう。「30~40cmのシャクリ+リールのハンドル1/2回転」を第一歩にやってみよう!
アタリから獲るまでの流れ
タチウオ釣りは乗らないアタリが多い釣りだ。どうやって掛ければいいのだろうか。 基本的にはコン、コンという前アタリは無視してシャクリ続け、重みが強く乗ったらそれが本アタリなのでアワせる。状況により「本アタリが出やすいシャクリ幅やリズム」が存在することを頭に入れておこう。それを探し当てることがタチウオ釣りの醍醐味だ。シャクりっぱなしが乗るときと、一瞬の間が必要なときがあることも知っておきたい。
乗らなかった場合もそこから最低でも3mは誘いを継続。群れの別の個体が反応したり、同じタチウオが続けて食ってくることがある。
掛かったら引きを楽しみながら巻き上げればよいが、取り込みだけは要注意! 最初に必ずテンビンを掴み、その後サオを置き、ハリスをたぐってタチウオをスイングイン。テンビンを掴む前にタチウオがバレると反動で顔にテンビンが飛んでくる可能性があるので危ない。
タチウオが乗ったら重みを感じながら巻き上げてくればよい
東京湾は年によってタチウオの数が多い年、平均サイズがいい年、一発超大型が出る年とさまざまな傾向がある。だから飽きないのだ
取り込みの流れ 「まずテンビンを掴む」が鉄則! そして、タチウオを抜き上げるスペースをあらかじめ想定し整えておこう。左手にテンビン、右手にハリス!