マダイの時合は潮替わり前後に多い。この日の潮回りは小潮で満潮が8時31分である。6時45分を回ったころ、潮が1・5ノットと流れ出すとアタリが出た。ガツガツと噛み付く感触が伝わるが、巻く手を休めずリトリーブを続けるうちにグンとティップが引き込まれ、フルソリッドで作られた愛竿「TAIGAME SSD」が弓なりになった。ほどなく真紅の魚体が朝日に照らされ浮上した。
魚を捜す面白さをプラス!ボートタイラバの世界
写真と文◎編集部
タイラバは手軽でシンプル。なのによく釣れるルアーである。そしてポイント探索の楽しみをプラスできるボートフィッシングは、この釣りの釣趣がさらに倍増する。
この記事は月刊『つり人』2021年6月号に掲載したものを再編集しています
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着底から5巻きに集中!
マダイの時合は潮替わり前後に多い。この日の潮回りは小潮で満潮が8時31分である。6時45分を回ったころ、潮が1・5ノットと流れ出すとアタリが出た。ガツガツと噛み付く感触が伝わるが、巻く手を休めずリトリーブを続けるうちにグンとティップが引き込まれ、フルソリッドで作られた愛竿「TAIGAME SSD」が弓なりになった。ほどなく真紅の魚体が朝日に照らされ浮上した。
「着底から5巻きでアタリが出ましたね。セオリーどおりですよ」
と中村さんの顔がほころぶ。着底からハンドル5巻きは中村さんの描く水中イメージでは次のような感じである。遊動ヘッドが着底するとボフッと砂煙が上がる。遅れて落ちてきたスカートやネクタイはハンドルを巻くと同時に底を這うようにヘッドに向かいドッキング。この時点で巻く手にタイラバの抵抗を感じる。このテンションが掛かる瞬間が概ね着底から5巻きくらいのタイミングなのだ。そして砂煙の上がった海底からタイラバが浮上する際に興味津々のマダイはたまらず食らいついてくることが多いという。
中村さんは着底からハンドル30 回転を目安にポイントを探る。潮が動き、適度な風が吹けばラインが斜めになる。底層のレンジキープが長時間できそうな場合やマダイが浮きがちな乗っ込み期は巻き数を多くする
その後サバの猛攻に遭いながらも30㎝ほどのマダイを1尾追加した。分厚いベイト反応がある場所は必ずサバが立ちはだかり、フォール中もリトリーブ中も食ってくる。これをかわして底までタイラバを届けられるとベイトフィッシュの下に付いたマダイをねらえる可能性も高い。魚についたマダイであれば、連発も見込めると中村さんは言う。ヘッド120gではフワッと落ちすぎてサバが当たりすぎることから160gのヘッドに替えて沈下スピードを上げた。
12時を回ったころ風が西寄りから南に変わり、やや強くなった。午後からは雨の予報である。このように風が強くなった瞬間や気候が変化するタイミングは、マダイの活性も高まることが多いそうだ。この時しっかりと魚の潜むポイントを探れていれば、ヒットの確率は上がると中村さんは話す。
水深99mから90mに盛り上がる海底変化で中村さんは集中した。この水深に対し、ラインは斜めになって136m出ている。
「いい感じでイトが斜めになっています。アタリが出そうだと思う時は、集中してゆっくりとリーリングします」
ほどなく中村さんの予感は的中した。魚が噛み付く震動が伝わり、それを無視して落ち着いてリーリングすると、強い引き込みとともにジーッとドラグが滑った。この日一番の手応えだ。マダイらしい叩くような突っ込みをしなやかなサオの曲がりが吸収する。やがて、体高のある桜色の魚体がゆらりゆらりと上がってきた。
魚の引きにどこまでも追従するようなフルソリッドの愛竿がしなやかに曲がり込みマダイの引きを吸収する
「あらゆるルアーフィッシングは釣れると信じるモチベーションが大切です。タイラバも信じて巻くことがまず大切。1尾でも魚を食わせることができればその威力を実感できます。それと自分の力でポイントを当てられるとさらにこの釣りは面白くなります。一年中やっても飽きない。それこそボートタイラバの世界なんです」
ふっくらとしたマダイを手にして中村さんは満たされた。南の空から雨が迫ってきたところでストップフィッシング。潔い自己完結の釣りができるのもボートならではの魅力である。
海面にゆらりと浮かび上がるマダイ。あらゆるマダイ釣法で喜びがマックスになる瞬間だ
カケアガリをタイトに通すイメージでリトリーブすると1.5㎏ほどのふっくらしたマダイが食らいついた
ファーストヒットは水上さんが釣りあげたホウボウ。タイラバに好反応を示す魚である
出船から約2 時間、満潮の潮止まり前に中村さんが食わせた
ヨリトフグがヒット。フグは税金みたいな魚だがそこには本命魚がいる可能性も高まる
ボートアングラーの便利アイテム
100 均ショップの便利アイテム「シリコーンスポンジホルダー」はボートアングラーに愛用者の多いアイテム。ロッドホルダーにすっぽり被せるとジグやヘッドの収納に便利
「TAI GAME SSD」と「TAIGAME TZ」。マダイのファイトに追随する無段階に曲がるフルソリッドのブランクスにガイドをスパイラル状にセッティング。穂先へのイト絡みが少なく、トップのネジレも軽減。TZはチタンフレーム&トルザイトリングガイドを搭載し、より軽量化を図っている。
愛機の「ELANDG Ⅱ 70」はハンドル1 回転で約81cm のイトを巻き取れる。ボートの真下を釣った場合はハンドル30 回転で底から約24 mの巻き上げとなる
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