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編集部2022年4月12日

タイラバのアクションを名人が解説! 水中ではどう動いているのか? 後編

マダイ 船の釣り 魚種別釣りガイド

バーチカルでもドテラでも、タイラバが生み出す波動と潮流の影響はかなり釣果に影響する。私はその違いを感じやすくするためにリールはHG(ハイギア)タイプのモデルを使っている。たとえば自転車に乗っているとき、ハイギアはスピードは出るものの、登り道では足に負担を感じる。ギア比が小さいローギアタイプであればハイギアほど負担を感じない。つまり少しの抵抗で負担を感じやすいハイギアタイプを使うことで巻き抵抗を感じ取ろうとしているのだ。

フォールとローテーション

写真と文◎庄山英伸

 タイラバをやったことがない人が頭の中に描く水中イメージは、船の真下に真っすぐに落ちたタイラバが、同じような軌道を描いて真っすぐに上昇してくる、そんな感じかもしれない。しかしそれは実際の軌道とはだいぶ違うはずだ。水中のタイラバの軌道や姿勢やネクタイの動きを庄山英伸さんが解説する。

この記事は月刊『つり人』2021年6月号に掲載したものを再編集しています

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庄山英伸

福岡県北九州市在住。玄界灘におけるタイラバのスペシャリスト。船からの落とし込みのほか、かつてトーナメントにも夢中になったバスフィッシングがバックボーンにあり、リグや状況に応じた最適なタックルを使い分けやベイトに合わせたパターンフィッシングを得意にする。

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水面下のタイラバ。ここから着底まで、そして着底してからをどのようにイメージするかがこの釣りの面白さだ

水流、潮流とタイラバ+ネクタイの影響

 水中には、二枚潮に代表される潮流の差が存在する。また湧昇流や下降流なども海底の地形や周囲の環境により変化がある。これも脳内イメージできるようにしておくと釣りが分かりやすくなる。

 浅い水深ではそれほどの差は出ないものの、夏の深場などでは極端な二枚潮が発生することもあり、着底後一度しかリトリーブできず、その次からはどこに着底するか判断できないことから同船者とのオマツリを多発することもある。

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 バーチカルでもドテラでも、タイラバが生み出す波動と潮流の影響はかなり釣果に影響する。私はその違いを感じやすくするためにリールはHG(ハイギア)タイプのモデルを使っている。たとえば自転車に乗っているとき、ハイギアはスピードは出るものの、登り道では足に負担を感じる。ギア比が小さいローギアタイプであればハイギアほど負担を感じない。つまり少しの抵抗で負担を感じやすいハイギアタイプを使うことで巻き抵抗を感じ取ろうとしているのだ。

 このことはタイラバのみならず巻き物系のルアー釣りでは魚のポジションを知るうえで大事な情報だと思っている。どちらかといえば巻き物の釣りではローギアタイプのリールを使うことが一般的とされるが、それはスローリトリーブを重視するためであり、ハイギアであっても速く巻くためのハイギアではない。こういったタックルからの情報で潮流の速さや方向を考え、タイラバを投入する方向や距離を考えている。

 巻き物系のルアーフィッシングではアップクロスとダウンクロスという考え方があるが、リトリーブにより動くルアーに対して潮流が当たってくるのか、それとも後ろから押してくるのかによりルアーの動きが異なることは想像できるだろう。タイラバでは波動の違いになる。

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タイラバで何が大事かと聞かれたら「波動」と答える。これは強波動の遊動式の一例

 アップクロスで投入した場合は、潮流、船の移動の方向のより先に投入することで、メインラインを潮流に乗せて敢えてラインスラックを作り、タイラバが移動する軌道を変化させることができる。またそのスラックの影響でごく僅かではあるが、着底直前のタイラバとネクタイにただ落としただけとは異なる動きを発生させ、軌道の変化と相まって同船者とは異なる誘いの演出ができる。これがハマって入れ掛かりを経験したことは一度や二度ではない。私がよく通う船長はこの誘いを同調とかドリフトと言っている。

 最もアタリが集中するのは投入後3回までの誘い上げまでで、その後は潮流の影響を同じように受けるので、同調効果は薄れていく。この工夫が功を奏する場合は面倒でも再度投入しなおすこと。

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ローテーションで変えるのはひとつずつ

 マダイのみならず多くの魚類は、明るさ・音・波動・匂いなど、我々人間が考えるよりもより微細な変化や違いをはっきりと認識しており、そのことが私のルアーローテーションの手法の根拠にもなっている。

 常々、私が行なっている「変える要素」は何かひとつだけだ。たとえば色。ヘッドの形状も重さも同じで、ただヘッドのカラーやネクタイのカラーを変えてその反応の違いを確認する。もしくは質量(重さ)。色やタイプはそのままにヘッドの重さのみを交換して効果と魚の反応を確認する。

 さらに、質量、ヘッドのカラー、ネクタイもすべて同じで、ヘッドの形状のみを変えることで波動を変えて、バイトの質や回数を確認していくことでマダイの興味を絞り込むことができる。

 こうしてひとつずつ変えていき、それでもバイトが全くないときは、全部を変えることもある。そうなったらこれまでの経験を基に、水質や季節、船長から捕食しているであろうベイト種類を聞いてセレクトしていくが、そこでワンバイトがあれば、また何かひとつだけ交換していき、最高にマッチする構成のタイラバを探し求める。

 こういう釣り方を実践していると、ルアー選びやアプローチ方法にしっかりとした方向性が生まれ、結果、確実に釣果がUPする。自分自身、見知らぬ土地で事前情報もなくロケをしても不安にならないのは、この釣り方のおかげである。もちろんそれ以外にも工夫はあるが、自分で考えてマダイに近づいて行ってこそタイラバの楽しさが増す。同じ1尾のマダイでも「釣れた」から「釣った」になれば喜びもひとしおだ。

 

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決して落として巻くだけの釣りではない。むしろ腕の差が如実に出る釣りがタイラバだ

 

 

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春の産卵は水深80~100mの潮流の中で行なうことが多い。タックルは深場用を用いることが多く、また大型が出やすいためそれなりの太仕掛けを使う。メインラインはPE0.8号、リーダーは3号をメインに2.75号から3.5号を使い分ける。秋のマダイのサイズはまちまちで砂底にも漁礁にも岩礁地帯にも、また水深10mを切るような浅場にも出没する。これらに対してメインラインはPE0.6号、リーダーは2号をメインに1.75号から2.5号を使い分ける。春(深場用)

メインロッド●炎月プレミアムB72 M(シマノ)
リール●オシアコンクエスト201HG(シマノ)
タイラバ● TG ヘッド(ハヤブサ) 90gをメインに状況対応秋(浅場用)
メインロッド●炎月リミテッドB610ML-S/LEFT(シマノ)
リール●オシアコンクエスト201HG(シマノ)
タイラバ●VS+(ハヤブサ) 水深に合わせてチョイス

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着底から始まるのではなく着水した瞬間から軌道のことを考えるべき。イメージする際には今回の記事を参考にしてほしい


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