タイラバの釣り方は「底までタイラバを落とし、着底したらすぐにリールを巻き始めて、底から10mほどまでの間を一定速で巻き続ける」の繰り返し。マダイは基本的に底近くにいる魚なので、探るタナは底から10mが目安になる。
釣り方の基本「タッチ&ゴー」とは? 「ドテラ」ってなに?
まとめ◎編集部
和製漁具が発展して生まれたタイラバ。「アワセをしない」「ただ巻くだけ」という釣り方から、慣れないと「本当にそれで釣れるの?」と疑問も湧くが、全国の海で効果は実証済み。オモリの後ろにヒラヒラと揺れ動くネクタイとハリが繋がり、その動きに興味を示したマダイが食いついてくる。この春、チャレンジしてみよう。
この記事は月刊『つり人』2021年5月号に掲載したものを再編集しています
この記事の内容
- 第3回:タイラバの釣り方の基本はタッチ&ゴー
- 第3回:釣れない時も焦らない
- 第1回:タイラバに適した竿(ロッド)、リール、ライン
- 第1回:タイラバの概要・仕組み
- 第2回:タイラバの選び方
タイラバの釣り方の基本はタッチ&ゴー
タイラバの乗合船は、両舷に釣り人が入り主に垂直方向にねらうスタイル(上:バーチカルゲーム)と、船の片舷にだけ釣り人が並んでドテラ流しの船からねらうスタイル(下)の2つがある。釣れやすいのは横方向に広く探りやすいドテラ流しだが、東京湾の乗合船はバーチカルが基本になっているなど地域による
タイラバの釣り方は「底までタイラバを落とし、着底したらすぐにリールを巻き始めて、底から10mほどまでの間を一定速で巻き続ける」の繰り返し。マダイは基本的に底近くにいる魚なので、探るタナは底から10mが目安になる。
タイラバはリールを巻き続けたまま向こうアワセで乗るのを待つ釣りなので、最初のリールのドラグは無理なくラインが出る程度に緩めにしておく。やり取りの最中にラインがあまりに出ていつまでも巻けないようなら、少しずつ増し締めして調整。ヒットしてから取り込むまでも、ポンピングなどはせず、竿の角度を一定に保って焦らず巻き続けるのがコツだ
ただし、春の乗っ込み時期は中層に浮くこともあるので、その時は船長の指示にしたがい、底を取らずに直接指示ダナの間だけをねらう場合もある。
マダイは上から落ちてくるタイラバに気付いて寄って来る。なんだろう?エサなのか? と思って近寄ったマダイは、ある程度の段階からタイラバに興味を示しており、そのタイラバが生命感のある動きを失わないまま、今度は遠ざかろうとすると追尾を開始。我慢できなくなったところで、ガシガシと頑丈な口で齧りついてくる。そんな状態が、実際の水中映像でも確認されている。
タイラバが「どうやら釣れるらしい」と話題になったころ、「着底からタイムラグゼロで巻き上げないと釣れない」「完全な等速巻きができないと釣れない」「アタリを感じた時に合わせてしまうと釣れない」といったことが言われた。「そんなに難しい釣りなのか?」「合わせたら本当に釣れないのか?」と多くの人が疑問に思ったが、これは今でも通用する基本が含まれている一方で、そこまで難しく考えずとも解消された部分もある。
「巻き続けること」や「等速巻き」が大切なのは、たとえば管理釣り場のトラウトルアーフィッシング(スプーンの釣り)をイメージすると分かりやすい。巻くのをやめてスプーン(タイラバ)から動きが失われると、追尾してきたトラウト(マダイ)は途端に興味を失って引き返す。その状態からスプーン(タイラバ)を動かし直しても、一度引き返した魚を反応させることはほぼできない。スプーンもタイラバも、動き続けることで「生命感のあるシルエット」を保っていて、完全に食うまでそれを途中で止めないことが肝心なのだ。
初期のタイラバは、ヘッド、ハリ、ネクタイが一体化した固定式だったので、「オモリの着底=その瞬間にすべての動きが止まる」という状態になりやすかった。しかし現在のタイラバは遊動式。着底とその後の巻き上げをある程度連動させられれば、マダイの興味を充分に維持できるようになってきた。
等速巻きにしても理由は同じであり、必要なのは「ネクタイがヒラヒラと動いている状態をキープする」ことだ。それには一定速度のリーリングが適しているということであり、速さ自体は多少ゆっくりめでも、多少速めでも、実はどちらでも問題ない。迷ったら「1秒でハンドル1回転」くらいのリズムでまずやってみて、あとは自分の中で「それよりゆっくり(低速)」「1秒1回転(中速)」「それより速く(高速)」といった基準を作り、その日にアタリが出やすいスピードを探る。おすすめはタイラバを船べりで竿でスーッと引っ張って泳がせてみること。その時にヘッドの後ろのネクタイがヒラヒラとよく揺れる速さを確認したら、あとは海中でもタイラバがその動きをするようにイメージして一定速でリールを巻く。大切なのは何らかのイメージを持ちながら釣りを続けることだ。
それらを踏まえたうえでの投入から取り込みまでの一連の釣り方は、図を参照していただきたい。
アタリがあった時にびっくりアワセをせず、そのままのペースで巻き続けることは大切。初めは戸惑うかもしれないが、一尾釣れれば慣れるものなので、まずは集中力を保って釣りをしよう。
釣れない時も焦らない
マダイは“潮を釣れ”といわれるとおり、時合がはっきりしている魚だ。タイラバのシンプルな操作でなかなか釣れないと、つい自分の釣り方が悪いとばかり思ってしまいがちだが、この釣りは海の状況や魚の活性も大きく影響する。
一般に潮止まり前と潮の動き始めは、マダイの活性が急上昇しやすい。あらかじめ潮汐表を確認しておき、釣れない時も焦らず、一方で潮が動いていたり、マダイの活性が高まると期待できる時間帯は特に集中して釣りをする。こうしたメリハリを意識することも、タイラバの釣りでは釣果につながる。シンプルで奥深いタイラバの世界に、ぜひ一歩足を踏み入れてみよう。
春の乗っ込みシーズンは大ダイもねらえるチャンス