釣っても食べても◎なテナガエビは、生活のパートナーとしても最高だ。水槽越しだからこそ気付けるテナガエビの性質や行動もたくさんある(釣りに活かせる!)。ただし、魚と比べて水質の変化に弱いので長く飼うにはコツが必要だ。水の作り方から水温管理、エサやりなどの要点をまとめた。
一緒に暮らせば釣りにも役立つ!
写真・文◎編集部
釣っても食べても◎なテナガエビは、生活のパートナーとしても最高だ。水槽越しだからこそ気付けるテナガエビの性質や行動もたくさんある(釣りに活かせる!)。ただし、魚と比べて水質の変化に弱いので長く飼うにはコツが必要だ。水の作り方から水温管理、エサやりなどの要点をまとめた。
この記事は月刊『つり人』2020年8月号に掲載したものを再編集しています
◆関連記事テナガエビの釣り方/初心者にも簡単に釣れる! 安・近・短なテナガエビ入門 >>
前編:目次
後編:目次
今回テナガエビの飼い方を教わった「吉田観賞魚」
http://yoshida-fish-farms.com/
住所:東京都八王子市松木15-3
tel042-676-7111
営業時間:10:00~19:00
(火曜日は17時まで)
東京都八王子市にある観賞魚販売店で2021年に100周年を迎える老舗。テナガエビはもちろん、釣りの対象魚でもある日本の淡水魚のラインナップも豊富。釣り好きならワクワクすること間違いなし! 水槽やろ過器などの飼育機材のラインナップもかなり充実している。
教えてくれたのはエビ担当スタッフの山本雄央さん。ルアーフィッシングを愛する釣り好きでもある。いつか店内にテナガエビ釣り堀を設置するのが夢!
身近な水辺の生き物・テナガエビを飼おう!
テナガエビを飼うと毎日がもっと楽しくなる。テナガエビは入手も比較的簡単。観賞魚店に売っているし、釣ったテナガエビを生きたまま連れて帰ってもいい。釣ったテナガエビを飼う際は泥抜きのための生かし方のまま持ち帰ればOK。その際はバケツ内のエビの密度を低くしたほうがよい。釣る際はできればカエシのないハリを使おう。エビにダメージを与えないように気をつけたい。
ただし飼い方にはいくつかの注意点がある。甲殻類は意外と水質や水温の変化に敏感なのだ。この記事では水槽で長生きしてもらうためのコツをまとめた。うまく飼えば3年以上、なかには5~7年生きたケースもあるという。飼育下では自然下よりも寿命が延びる傾向があるようだ。
今回先生役を務めてくれた吉田観賞魚の山本雄央さんは言う。
「テナガエビは近所の川に住んでいるのに宇宙生命体感がありますよね(笑)。ルックスがヘンで愛くるしいし、しぐさもかわいい。触角をキレイに掃除している姿とか、とにかく面白く眺められます。エサをすぐに食べてくれると『ちょっと心が通じてきたかも』という気持ちにもなれます。いろんな行動の一部始終が見られるし、釣りが上手になる発見もあると思いますよ」
ではキーポイントをひとつずつ見ていこう。
吉田観賞魚の水槽にいたテナガエビとヒラテテナガエビ。30分以上眺めていたが、動きのバリエーションが豊富かつ謎で全く飽きることがなかった
必要な道具一式と基本
水槽の置き場所
直射日光が当たらず、なおかつ暖房やクーラーの影響がない場所が望ましい。玄関や廊下で飼っている人が多いそうだ。水槽は水が入るとかなりの重さになるので、安定している場所の上に置こう。観賞魚店に売っている水槽専門の台がベストだ。
①水槽 45cmまたは60cm水槽で広々と買うのが基本
②ろ過器 水の汚れをとり、なおかつ水に酸素を溶け込ませてくれる重要アイテム
③エアストーンやエアポンプ 絶対必要ではないが、あると溶存酸素量が増えるのでベター
④ヒーター 水温を一定に保つことができるためとくに冬は必要
⑤底砂 入れるとエビが落ち着き、また脱皮の際にエビが踏ん張りやすい
⑥流木や土管 エビの隠れ家を作ることはとても大切。「1尾1隠れ家」を徹底しよう
⑦フタ エビは意外と脱走する。フタは必須だ。コードを通す隙間はスポンジなどで埋めておくと安心。コードを伝って脱走するケースも多々あるからだ ⑧照明 エビの元気度には影響しないが、照明があると水槽内の細部がよりよく見える
45cm以上の水槽で広々と飼おう!
水槽は横幅45cm以上のものがオススメ。いわゆる「45cm水槽」か「60cm水槽」がちょうどいい。小さい水槽でも飼えなくはないが、水量が多いほうが水温と水質が安定しやすいためエビのコンディションが落ち着く。予算と家のスペースが許せば60cm水槽がベストだ。山本さんのオススメは「ワイド型」と呼ばれる細長いタイプ。水の流れが生まれやすく、川に近い環境を作りやすい。
横幅45cm以上で好みのデザインのものを選ぼう
ろ過器や照明が付属するセット品もオススメだ。写真はGEX「マリーナ450BKSTデュアルクリーンセット」(オープン価格)。水槽と上部フィルター、フタ、カルキ抜きなどのセットだ
テナガエビの数以上の隠れ家を!
テナガエビは種類を問わず気性が荒くナワバリ意識も強く、時には共食いも発生する。そのため45cm水槽であっても同時に飼うのは2尾までにとどめておくのがベター。重要なのはエビの数よりも多い隠れ家を用意すること。たとえばエビが2尾なら土管や流木を3~5つ入れるなどして各個体のナワバリを確保しよう。
生きた水草だけはやめておいたほうがいいと山本さん。エビが食べてしまうのと、外国産の水草だと農薬が付いていることがありエビが死んでしまうことがあるという。
隠れ家の置き場は基本的にどこでもOK。ただしろ過器の吸い込み口の周りだけは避けよう。
魚との混泳も避けたほうが無難だ。エビは意外と素早く自分の倍以上ある魚を捕食することもあるし、逆に魚が大きすぎるとエビが食べられてしまう。
底砂も必須。エビが落ち着くうえに、脱皮の際に踏ん張りやすくなり脱皮失敗のリスクを抑えることができる。45cm水槽であれば5~6kgで薄く敷き詰めることができる
吉田観賞魚では流木も販売している
エビは土管が大好き
後編「水の管理はテナガエビ飼育の最重要項目!」へ続く……
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