春の渓流は雪代攻略がキーとなる。盛期とは違い苦労することも多いが、乗り越えれば感動の1尾に出会えるはず。
感動の1尾に出会うために
まとめ◎編集部
こちらの記事は月刊『つり人』2020年4月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
春の渓流は雪代攻略がキーとなる。盛期とは違い苦労することも多いが、乗り越えれば感動の1尾に出会えるはず。
暖かい午後に水温を下げるやっかいもの
解禁初期、まだ寒い時期にはそれほど気にしなくてよいが、少しずつ気温が上がってくると問題になるのが雪代である。午後になって、せっかく日が差してぽかぽかしてきたのに、水が白っぽく濁って冷たくなってしまう……。ひどい時には、釣りを諦めるしかない。
雪が解けて川に流れ込む雪代の量は、日によって、あるいは川によって異なる。基本的には暖かい日に多くなるわけだが、釣りをしている場所だけではなく、源流域の状況が関係するので読みづらい。通い慣れた川なら傾向が分かるが、初めての地域ではそうもいかない。
それでは、各地を釣り歩くベテランは、どのように釣行計画を立てているのだろうか? 最も手っ取り早いのは、地元の釣具店などへ問い合わせること。だいたいの傾向がつかめれば、あとは天気予報などから予測できる。だが、これはあくまで行く場所が決まってからの話。そもそも雪代の少ないエリア、または川を捜すにはどうしたらいいのか? あるいは釣りをしていて雪代が入ってきた場合、どうしたらいいのか? ここでは雪代の基本をレクチャーするとともに、対策を考えてみたい。
まずは雪代の基本的な法則を知る
まずは大まかな流れから。雪解け水は、当然ながらまだ寒い早春にはあまり出ない。気温が上がってくると増え、やがて残雪が少なくなると同時に減る。雪代が出るタイミングは南ほど早い。収束する時期も同じく南のほうが早い。
ただし緯度だけではなく、豪雪地帯の日本海側は積雪量が多いので雪代も増え、しかも遅くまで出続ける。また水源の標高も関係しており、源流域の標高が高いと遅くまで雪が残り、雪代の収束も遅れる。細かいことをいえば、北斜面と南斜面でも残雪量が異なるので、雪代の量は変わるのだ。
上記を念頭に置くと、雪代対策方法も見えてくる。要するに雪代の出るタイミングは場所によって異なるので、ある川で増水していても、少し離れた川ではそれほどでもない、ということが起こり得るのだ。
解禁初期は雪が解けるほど気温が上がらないことが多く、実はねらいめだ。しかしそれだけに水温も上がらず、魚の活性も低い。
やがて南のエリアから、気温が上がる日には雪代が入るようになる。そのため、早春は午前中がチャンスタイム。夜に気温が下がると雪が締まり、雪代はいったん収まるからだ。このころからが、釣り人が雪代に悩む季節のスタートとなる。
春の川は、雨が降らなくても雪代によって濁ってしまうことがある。水温も下がるので、これをどう避けるかが重要になる
地形図を広げて水源の山の標高をチェック
たとえば午前中は水も澄んでいて釣りになったのに、午後に雪代が入り始め、移動を余儀なくされたとしよう。大きな移動はできないので、近場で釣りができる川を捜すとなると、まず大まかな目安としては、地形図を見て水源の標高が低い支流を捜すとよい。標高が低い川は雪の量が少なく、雪代が出てもそれほど多くないと考えられるからだ。
複数の支流が流れ込む本流は、雪代を集めてかなり増水する可能性があるので、基本的には小規模な支流を選んだほうがよい。
たとえば同じ本流に注ぐ支流でも、右岸側か左岸側かで雪代の量は異なることがある。標高だけでは雪代の量は読めないので、ある程度の目星をつけてから、実際に見て回るしかない。早春の場合は、一気に上流域を目指して、気温が低く雪が解けにくいエリアに行く手もある。
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