初めての川で、まずチェックしたいのは橋。橋の脇には、入渓点があることが多い。仮に入渓点が見つからなくても、橋は遠くまで川のようすが見渡せる。道路から川への傾斜のぐあいが分かるし、入渓しやすそうな場所を見つけることができる。
川はすぐ下なのに入渓点が分からない……
文と写真=編集部
先行者の存在、見つからない入渓点、雪道ドライブ……。渓流釣りは障害物競争……!? 好ポイントにたどり着くために釣りに出かける前に知っておきたい基本を解説します。
こちらの記事は月刊『つり人』2020年4月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
目次
- 入渓点の探し方:まずは橋から眺めてみよう
- 入渓点の探し方:川から道に上がるルートも考慮
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まずは橋から眺めてみよう
日本の川は急峻なので、里川は別として、渓流釣り場はだいたい谷になっている。川沿いに道路があっても、そこから川までの高低差があって、下りられないことも多い。
せっかく目的地に着いたのに、道を何度も往復するばかりで、なかなか川にたどり着けない……という悲しい事態が起こり得る。
こういう時に、無理に川に下りるのは危険。たいていの川は釣り人が入っているのだから、先人のルートを捜したほうが安全だ。
初めての川で、まずチェックしたいのは橋。橋の脇には、入渓点があることが多い。仮に入渓点が見つからなくても、橋は遠くまで川のようすが見渡せる。道路から川への傾斜のぐあいが分かるし、入渓しやすそうな場所を見つけることができる。
橋の上から観察すると、下りやすい場所が分かることも。また橋のたもとは、よく入渓点になっている
次に注目するのは、駐車スペース。釣り人が利用していそうな駐車スペースは、そこから川に下りる道がついていることが多い。獣道にしか見えないような踏み跡もあるが、注意深く捜してみよう。ただし本当の獣道だったり、あるいは川の直前で崖になっているようなケースもあるので、危険だと思ったら無理をせず引き返すこと。
入渓点の目印として、木の枝などにピンクテープが付けられていることもある。ただし、工事や林業で付けられているケースもあるので、必ずしも川まで下りられるわけではない。
川に入っている支流も、入渓点になるケースがある。ただし最後が滝や堰堤になっていることもあるので、これも無理は禁物だ。
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川から道に上がるルートも考慮
地形図を参考にすると、ある程度は入渓しやすい場所が分かることがある。ただし地形図の等高線(標高を表わす線)は、2万5000分の1地形図で10mごと。小さな崖だと、地形図には反映されないことが多い。傾斜が緩い場所を捜すのには役立つが、実際に下りられるかどうかは別だ。
地形図を見て道から川までが離れていると、わざわざ長い距離を歩きたくはないので、敬遠したくなる。しかし同じ高度差であれば、距離が長いほうが傾斜は緩い。これは現場で川を見る時も同様で、川が林の向こうにあって見えないような箇所では、傾斜が緩く下りられることがある。また木が多い場所は、多少傾斜がきつくてもつかまることができるので、下りやすいといえる。
傾斜のきつい場所を下る時には、充分に注意してほしい。春先はぬかるんでいたり、落ち葉が積もっていたりして滑りやすい。つかまることができる木があったほうがよい
初めての川では、釣りを終えて川から道に上がるルートも考えておくこと。ただし、実際にそこまで釣り上がることができるかどうかは分からない。地形図にはない堰堤や滝など、思いがけない障害物があるかもしれない。下りたルートまで戻ることも考えておきたい。通常、滝や崖は上るより下りるほうが難しいので、小さな滝だと思って越えても、あとで下りるのに苦労することがある。
入渓点を見つけにくいような険しい川では、怪我や事故の危険がある。万が一の時のために、目的地を家族や知人に伝えておくこと。登山の世界では、たとえば登山届を出したり、保険に加入したり、いざという時に備えて非常食など装備を整えることがある。だが釣りでは、なかなかそこまでする人はいないのが現状だ。
春先は夜の気温が氷点下まで下がることもある。帰ることができずに野宿ということになれば、命の危険もある。釣りに夢中になる気持ちは分かるが、くれぐれも無理はせず、危険かもしれないと思ったら引き返す決断をしてほしい。
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