河川選びやねらうポイントが決まれば後はタックルだ。渓流釣りはその河川の大きさに合わせてサオの長さを選ぶことが一般的だが、増水時は少しでも長めのサオがあると役に立つ時がある。徒渉もできず、ソ行もままならない状況下ではサオの長さでねらえるポイントの数が変わってくるからだ。自分の身動きが制限される分、サオの長さでカバーする。
増水時は長めの竿と強い仕掛けで
解説◎大沢健治
渓流釣りを何年か続けると、必ず増水河川での釣りを経験する。雨による増水か、雪代による増水か、河川規模によっても状況は変わる。過去の経験を踏まえながら、春先の雪代による増水と降雨による増水対策を解説したい。
こちらの記事は月刊『つり人』2020年4月号に掲載したものをオンライン版として公開しています。
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解説◎大沢健治
埼玉県日高市在住。釣り歴は40年。小学生に上がる頃には近所の川や沼での雑魚釣りをはじめる。釣り好きがこうじて大手釣り具チェーンに就職。20年以上勤務していたため幅広い釣りをこなす。『全日本暇人協会』所属
増水時はワンランク強い仕掛けで
河川選びやねらうポイントが決まれば後はタックルだ。渓流釣りはその河川の大きさに合わせてサオの長さを選ぶことが一般的だが、増水時は少しでも長めのサオがあると役に立つ時がある。徒渉もできず、ソ行もままならない状況下ではサオの長さでねらえるポイントの数が変わってくるからだ。自分の身動きが制限される分、サオの長さでカバーする。
底がしっかり取れるようにガン玉の重さを調整する
ミチイト、ハリスは普段より太いものを使用したい。濁りが入る分、魚の警戒心も薄れ、太いハリスでも口を使うことが多い。大ものが掛かる確率も高くなる。その場合、自分の立ち位置からの移動も制限されるので、太くしたほうが安心だ。特に8月を過ぎてからの増水は産卵を意識した大ものが動き出すので油断はできない。オモリはミチイト、ハリスのバランスに合わせてしっかりと底をとれる重さに調整する必要がある。
流す際はゆっくりと、魚にエサを見つけてもらう感覚で流すとよいだろう。増水時では流れの速いポイントはあまり釣果に結びつかない。ハリは少し大きめなサイズを使用している。バレにくくするため、フトコロが広い袖型タイプのハリがよいだろう。警戒心が薄れるため、少し大きくしても問題ない。これも魚を掛けてから自分の動きが制限されていることを少しでもカバーすることにつながる。
エサは匂いの強いイクラやキヂが有効であると述べてきたが、もしない場合なら現場で採取するしかない。川虫のなかでも大きめなオニチョロ、クロカワムシなどがおすすめだ。大きなオニチョロは底石に張り付く力が強いため、流す際はオニチョロが貼り付けないタナをキープして流すとよいだろう。またバッタなどの陸生昆虫も試してみるのもよいと思う。
ニオイで誘えるキヂはニゴリが入った時に効果的だ
フォルムが大きいオニチョロが有効
キヂがない時は川虫を採取する。ニゴリが入って視界がききにくくなった状況下ではクロカワムシなどフォルムが大きい川虫が効く
少しでも危険を感じたら竿をたたむ
以前本流でサオをだそうと9mの本流ザオを持って出かけたことがある。現地に着くと本流のポイントは手が出せないほどの濁りと増水で、危険を感じたため中規模な渓流に移動したことがある。時間はすでに昼前で、1人の男性が6mのサオを持って車に戻ってきた。「どうでした?」とあいさつを交わすと全然ダメとのこと。まだ濁りも強く透明度は30cmあるかどうかの状況だった。
増水したからこそねらえる場所もある。逆境をチャンスととらえてサオをだしてほしい
私は9mのサオしかもってないので、それを振り回せるポイントはと見渡すと、すぐそばに頭上が開け、対岸に四畳ほどのタルミがあるのが目に入った。平水であれば6mのサオでも充分流せるポイントだが、増水により手つかずのポイントになっていた。その時手持ちのキヂでも一発で8寸ほどのヤマメが食ってきたのだが、4cmくらいはありそうな特大のオニチョロがさらによかった。食ってきたのは9寸超えのヤマメだった。その時に大きなエサの力を改めて感じた。 普段は0.2号の通し仕掛けでねらう神経質なスレヤマメの釣り場でも0.8号に大きなハリで連荘する釣り場に変えてしまうのが増水だ。
最後に増水では危険を伴うことも多い。大きな流木が流れ、浮き石も増える。土砂崩れ、落石、豪雪地では雪崩や雪庇など、とにかく無理な移動は避け、少しでも危険を感じたらサオをたたむ心構えが必要だ。特にスラブ地形の河川は一気に増水するので注意が必要。逆に一気に水が引いたときは鉄砲水の危険があることも覚えておきたい。そして、増水による濁り、また引き際などは、1ヵ所から何尾もの魚が釣れてしまうこともよくあるので、キープは節度ある数でお願いしたい。
このていどのササニゴリなら魚は普通に食ってくる
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